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49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第一章 呼び出された魂と黒竜の願い
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第二話 始めまして黒竜のブレス

10/6 修正

 叫んで見たものの、思考を読まれるという、どうしようもない事実から逃れられない事を悟った。

 深呼吸しながら、気持ちを落ち着かせてイシュタルさんとの話に戻る。



「と、とりあえず大体解りました。何をどうすればいいかは、今のところ具体的には解りませんが、出切る限りの事をした上で善処ある判断をしてもいいですか?」



 などと、どこかで聞いたような政治家の受け答えをしてしまった。

 これは、なんとな~っく上手く振舞っておこうと、単純に考え思ったからだ。

 ただ馬鹿な俺には、良い受け答えも浮かばず・・・仕方無しに、TVで見聞きしたうろ覚えの台詞をアレンジして言って見ただけだ。


 だが言葉とは裏腹に、高校生の俺でも、どんな事でも解りません、出来ません、やりません、無理ですは、生きていく上で上達や成果は望めないと思っている。

 だから、出来うる限りやって見た上で、出来なければ仕方が無い事にしたいと思う。

 まずはやってみましょう!というのが俺の今の判断だった。



「有難うございます、俊哉さん。」



 そういって、優雅なお辞儀をしたイシュタルさんの姿に、目を奪われ、見惚れながら、まずはどうするか聞いてみる。



「とりたてて最初は何もありません、直ぐにある場所に飛んでもらって、そこに居る、ある人の願いを叶えるだけです。」



ニッコリと微笑んで、天使の笑みをくれるイシュタルさん。

これだけで、ご飯三杯はいけそうだ。

そんな風に馬鹿な考えを巡らす俺に、イシュタルさんは言葉を続ける。



「さあ、リラックスして下さい、俊哉さんの気持ちの準備出来次第、直ぐに転送いたします。」



 ん?なんか焦って、直ぐにでも行動して欲しそうだな・・・まあ危険はなさそうだし、言われる通りにしておこう。

 俺は準備が出来た意思を込めて、イシュタルさんに頷いた。



「では、いってらっしゃいませ。」



 もうね、俺に向かって満面の笑顔を向けてくれるイシュタルさん。

 天使の微笑とは、まさにコレじゃないかと思う~~~♪

 などと鼻の下を伸ばしていると、突然、変な感覚に襲われる。

 どうやら転送の感覚に襲われているようだ。

 イシュタルさんに見送られて、俺の体は違う場所へと転送されていった。




 目の前が霞、ぼやける。

 この脱力感は、遊びに行ったテーマパークの絶叫マシンそっくりだ。

 初めて味わう浮遊感に酔いながら、足元がしっかりと地面を踏みしめる感触に安堵する。

 地面を踏みしめて、周りを見るが、目の前は真っ暗闇だ。


 なにもみえましぇぇ~~~ん!!


 そう!真っ暗なんですよ!まっくら!漆黒といっていいんじゃね?!



 「つか、此処何処よ?」



 って独り言を吐き、目を凝らし手探りで辺りを掴もうとする。

 何も無く、ただ手が空を切るばかりでどうにもならねーーー!!

 手探りする姿は、傍から見たら何処の赤ちゃんですかと!!と叫びたくなる滑稽さだ。


 ちょwイシュタルさん!何処飛ばしてるんよ!マジかんべん!

 必死の訴えを心に叫んでいると、何処からとも無く、ある気配に気づいた。


 ゆっくりと気配の方に目を向けると・・・

 暗くて見えないはずなのに、見えちゃいましたよ何かが!!

 大きい何かが輝いていやがりますよ、うん・・・あれかなー見間違えかな~テヘ♪


 俺夢見てるんだろうな~きっと。

 俺、この用件が終わったら、異世界満喫するんだ~そして俺はハーレム王になる!

 っと、適当な死亡フラグをビンビンに立て、気配のする物体を改めて見ました・・・

 フラグについては、やっぱりお約束は本当なんだと、この後、実体験する事になりましたとさ。


 暗闇に輝いていた物体は、直径1Mはあろうかという、金色に輝く目であった。

『そう目!ですよ目!』

 大事な事なので2回叫んでおきました!!


 定番でもお約束でもいいので、俺は今自分の心の安静を最優先にしたい!!と冗談を頭で考える。

 この行為は、現状への対応を試みている必死の思考なんだよきっと!!っと訳解らないながら、自分に言い聞かせる。


 パニックになっている俺は、金色の目に睨まれつつ、震える体を支えていた。

 次第に目が暗闇に慣れてきて、大きな目以外にも徐々に視界がはっきりしてくる。


 目が慣れて、目の前に居る物の全容が解るようになってきた。

 部屋の大きさは相変わらず不明だが、見える物体は理解できた。


 さっきから見える大きな金色の輝く瞳を持った、体躯は全長3・40Mはあろうかと思える巨大な竜が居る!!

 竜だよ竜!!あの竜ですよ!!しかも黒竜とキタコレーーー


 その巨体には、当たり前だが、びっしりと黒く鮮やかな鱗が生えている。

 真っ暗な空間なのに、鱗の黒色が周囲と同化せず、その色をハッキリと目に移らせる、まさに漆黒というべきだろう。

 鱗に反して口元は、赤く尚赤く、その牙は獰猛な様相を見せ付ける。


 俺が知っている、地球の想像通りの西洋風な竜。

 その姿は威風堂々とし、見るものを恐怖させるにたるオーラを放っている。

 

 竜と俺はお互いを視認しあう。

 片や驚愕に耐えようと必死な俺。

 片や目の前の物に対し、何の感慨も感じて居ない黒竜。


 両者は暫し見詰め合った。

 しかしその後、黒竜の行動で、全てが一瞬にして終わった。


 そう、黒竜が俺に向かってブレスを放ったのである。

 大きな口をあけ、喉の奥?から輝く紅球が膨らむのが見え、瞬く間に俺に降り掛かり、四肢を炭化させ、体を消滅させたのである。


 俺が消滅した後、暗闇にはもう何も無かった。

 あるのはただ、黒竜が此処であった事など無かったかのように、また静かに佇んでいるだけだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ちょおおおおお、なんですかあれ?死んでますよ俺?!」



 死んだ瞬間に、またもイシュタルさんの居る教会のような場所に生き返る。

 生き返り、事態の深刻さに俺は、直ぐイシュタルさんに抗議の声を上げてしまっていた。



「竜が居ましたよ!竜!しかも黒いし怖いし何ですかあれ!?願いを叶えるべき人が居ませんってかぁ、見つけようにもあれ無理ゲーです!しかも一瞬にして灰ですよ灰!ロストしたらどうすんですか??」



 っと一気にまくし立ててしまった。

 ちょっと言い過ぎかもしれないが、実際ブレス攻撃で死んだ衝撃は強く、焼ける瞬間が思い出されて今でも恐怖が俺を竦ませるほどである。


 ただ、恐怖とは別に、竜に対する憤りもあるから声を荒げている。

 まあ、竜に日本人の和をもって尊しとする精神があるとは思えないが、見ただけで殺されたことに非常に腹立たしく思っているのだ。



「やっぱりこうなりましたか・・・申し訳ありません俊哉さん・・・最初に直ぐ戻ってこられるのは皆さん同じなのですよ。どうか落ち着いて再度行ってもらえるでしょうか?」



 俺を気遣いながらも、再度行って欲しいと頭を下続けるイシュタルさん。


 んん???

 何故此処まで必死になるんだろう。


 天使が、一般ピーポーの俺にに頭を下げる事が、普通に神と人の立場で考えれば在り得ない光景だとは思うが・・・


 相当焦っているんだなーとは思い、イシュタルさんの必死な姿に心を落ち着ける。

 それにしても、途中の『皆さん』って言葉が引っかかるな~俺以外にも挑戦者が居たとは思うが同じってどう言う事だろう。



「あの~皆さんと同じとは?どういうことで?」


「あ、申し遅れましたが、俊哉さんの以前にも、召還され、お願いを叶える依頼をしてくださった方々がいるのですが・・・皆さんやっぱり、最初に殺されてお戻りになるのでつい。」



え?俺だけじゃないの?殺されて戻ってくるの?



「え~っとじゃあ、他の方はどうやってこの難関を突破されたんですか?いや突破した人は居るんですか?」


「はい、突破した方はおられません。最初から辞退された方と、言って見たものの俊哉さん同様死んだことで無理と判断され、途中で辞退して元の世界で新生されております。つまり誰も成功した方は居ないのです。」



 ハハハハハ・・・やっぱ無理ゲーなんじゃねこれ?!



 心で悪態をついて溜息を吐き出す。

 そんな俺を見て、残念そうにするイシュタルさん。

 俺としても、彼女を見て心が痛くなってくるが無理が解って突っ込むヤツは居ないと思う、俺も辞退した方が良さそうだと考え始めていた。


 徐々にイシュタルさんが、うれいを帯びた顔になてくる、その姿は悲壮そのもので、見た俺の心を掻き乱す。

 俺は、イシュタルさんの悲しげな顔を見て、何故かどんどん切なくなってきて・・・どうしても何とかして上げたいという想いが強く沸いてきた。


 それに始めて見たときから、イシュタルさんは綺麗だと・・・俺の理想だと思えるほどに美しい。

 出会った時の、イシュタルさんを思い出すと、やっぱ笑顔で居て欲しいしな~っと思えるし、こんな悲しい顔はイシュタルさんに似合わないと思う。

 そんな風に考えていると、イシュタルさんが顔を真っ赤にして上目使いに俺を見ている・・・あ・・・思考読まれてる?


 読まれた思考を恥ずかしいと思う事は無かった。

だってそれ以上にイシュタルさんのはにかむ姿に萌えてしまったのだから。


 赤くほほを染めるイシュタルさんにドキドキしてた。


 か・・可愛いじゃねーかこんちくしょう!

 このままハイさようならなんて出来そうもないじゃないか!!


 さっきまでの恐怖は嘘のように無くなり、ただ目の前に居るイシュタルさんに、いい格好をしたいと思った。


 俺の男心に火が付いていく!



「ックぅうー!やりますよ!やります!何度でもやります!だから、もう一回行きます!!ただ、兎にも角にも、あの黒竜を何とかしないといけないんので、あそこを避けて送ってもらえないでしょうか?」



 そう言って直ぐに死んでしまう事態を回避するようにお願いしたのに、イシュタルさんの反応が鈍い。

 イシュタルさんは、キョトンとして口に人差し指を当て首を傾げている。


 そんな仕草をしたら惚れてまうやろ!!

 と決意も他所にドギマギしていたら、イシュタルさんがこう言って来た。



「その~願いをかなえてあげて欲しい人は、その黒竜なんですが・・・避けてもらっては困ります。それと、死んでもまた生き返りますので、安心して行って下さい。」



エエエエェェェェェェェエッェェェェェェェェエェ~~~~




2度目の絶叫である。

読み直すと拙い・・・

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