第1章 記憶の中の世界
海野家の少年海野ノゾミは幼き日に寝る前に読んでもらった本を思い出していた。
「むかし〜むかし海にはカジキドラゴンと言う生き物がおったそうなカジキドラゴン····」
物語を読んでいたのは父親の真だった。
「カジキドラゴンか会ってみてぇなぁ」
ノゾミはあまりにもリアルな描写に本当に存在したんじゃないかと信じて疑わなかった。
「父ちゃん!俺カジキドラゴン見つける!」
ノゾミが言うと
「やれやれまたか」
そう言いながら頭を抱える真。
「あれは絵本の話なんだ。見つけるって言っていまだに見つかってないじゃないか。」
口では否定しつつもどこか優しい眼差しで見つめる真。
「絶対に居るんだ!探してる場所が問題なだけで」
「そこまで言うなら俺は応援するが応援が事実にはならないぞ」
「おう!ありがとう父ちゃん!」
「待て待てどこへ行くノゾミ」
白髪混じりのノゾミの祖父の守が用事から戻ってきた。
「ノゾミがカジキドラゴン探すってしつこくてな」
真が説明する。
「ありゃ空想上の生き物だからのぉ。でももしかしたらもしかするかもしれんぞ。」
優しい口調で話す守。
「海には危険だらけだ。かぁさんだって波に飲まれて亡くなったんだぞ」
やっぱり危ないと否定的な意見に変わった真。
「大丈夫!」
勢い良く駆け出したノゾミを誰も止めようとはしなかった。いや速すぎて出来なかったのである。




