第六章:帰り道と、未来の味
フィン編、エピローグです。
心も体も温まる食事を終え、フィンはマーサさんに礼を言って店を出た。外はすっかり暗くなり、空には満月が輝いていた。魔石の街灯が、帰り道を優しく照らしている。
フィンは、今日の出来事を反芻しながら、ゆっくりと家路についた。
刺激的で斬新な「陽炎の実」の串焼き。
素朴で滋味深い「森のパン屋」のパン。
そして、心温まる「ひと息の灯」の煮込み料理。
様々な味との出会いがあった。市場調査という目的も十分に果たせた。新しい食材の発見もあったし、流行の味の秘密も分析できた。明日の仕事に役立つ情報は、山ほど手に入った。
だが、それ以上に大きな収穫は、フィン自身が心の底から「食」を楽しみ、その多様な世界を肯定的に受け止められるようになったことだった。かつて呪いとさえ感じた「絶対味覚」は、今や、世界に溢れる無数の「美味しい」を発見し、分析し、理解し、そしてそれを他の誰かと分かち合うための、かけがえのない「贈り物」なのだと、彼は確信していた。
(ケインさん、リサさん、マーサさん、そして、今日出会った味を作ってくれた全ての人に……感謝しないとな)
フィンは、空を見上げた。月明かりが、彼の進む道を優しく照らしている。
(明日は、どんな味に出会えるだろうか? 灯火亭で、どんな新しい味を創り出せるだろうか? そして、ギルド・ポテンシアで、どんな新しい才能の『味』を見つけ出すことができるだろうか?)
彼の心は、未来への期待で満たされていた。もう、うつむいて歩くことはない。彼は、自身の持つ特別な力と共に、自信に満ちた足取りで、明日へと続く道を、しっかりと歩き始めた。彼の休日は、静かな満足感と、明日への確かな希望と共に、ゆっくりと幕を閉じた。
最後までありがとうございました!
しばらくお休みします。
スピンオフを書くか、新作を書くか。
お楽しみに〜




