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異世界では「マーケティング」スキルが最強でした~追放された元45歳コンサルのビジネス知識、異世界だとチート級⁉︎寂れた食堂から国家の危機まで救ったら王家にも頼られまくってます(最愛の恋人もできました)  作者: 鈴城幻司
番外編:絶対味覚の休日 ~フィン・ラウルと市場の囁き~

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第三章:未知との遭遇、陽炎の実

陽炎の実を使った料理をいただきます!


「へい、お待ちどう! 陽炎スパイシー串、一本銀貨2枚だよ!」


威勢の良い店主の声と共に、熱々の串焼きがフィンの手に渡された。大ぶりにカットされた鶏肉と、色とりどりの野菜 (パプリカ、玉ねぎ、ズッキーニに似た野菜)が交互に刺され、表面には赤みがかったオレンジ色のスパイスパウダーがたっぷりと振りかけられている。湯気と共に立ち上る香りは、やはり独特だ。辛そうでありながら、果物のような甘い香りも混じっている。


フィンは、屋台の脇にある簡素なテーブルにつき、まずはじっくりと串焼きを観察した。


(見た目は悪くない。焼き加減は……少しだけムラがあるか? 肉の表面は香ばしく焼けているが、中心部への火の通りが均一ではないかもしれない。そして、このスパイス……陽炎の実のパウダーか。粒子は細かく、色は鮮やか。乾燥させて粉末にしたものだろうが、オイルか何かでマリネしてから焼いている可能性もあるな……)


彼は、串の先端の鶏肉を、ゆっくりと口に運んだ。瞬間、舌の上に鮮烈な体験が広がった。


(む……!! これは……!)


まず感じるのは、唐辛子系の直接的な辛さとは違う、じわじわと広がるような、しかし確かな熱量を持つ辛味。舌の奥を心地よく刺激する。だが、それだけではない。同時に、柑橘系の果物のような爽やかな酸味と、花のような甘い香り、そして微かな苦味が、複雑な層を成して押し寄せてくる。


(辛味、酸味、甘味、苦味……そして、旨味。五味のバランスが、この小さな一粒のスパイスの中に凝縮されているというのか? 信じられない……!)


脳内の味覚データベースがフル回転し、成分の分析を始める。


【陽炎の実:主成分カプサイシン類似物質 (低刺激・持続性)、クエン酸、フルクトース、テルペン系香気成分、アルカロイド (微量)……推定原産地:サルメディア南部・火山性土壌地域?】


(なるほど……この複雑な味わいは、生育環境に由来するものか。そして、この辛味と清涼感の同居……! まるで、舌の上で小さな爆発が起きているようだ!)


次に野菜、そしてまた鶏肉へと食べ進める。


(鶏肉は……やはり、火入れが少し甘いな。中心部の温度がやや低い。もう少し高温で短時間で焼き上げるか、あるいは低温でじっくり火を通すべきだった。この素晴らしいスパイスのポテンシャルを、完全に引き出しきれていないのが惜しい)


(野菜は……悪くない。特にこのズッキーニに似た『水月瓜』との相性は抜群だ。陽炎の実の刺激を、瑞々しい甘みが和らげてくれる)


(全体の味付けは……塩と、おそらく少量の魚醤か? それに、隠し味として……間違いない、これは『蜂蜜酒』の甘みと香りだ。これで全体の味をまとめ、若者好みの中毒性のある味に仕上げているのか。店主、なかなかやるな……)


一本の串焼きを食べ終える頃には、フィンの額にはうっすらと汗が滲んでいた。刺激的な味だったが、不快な後味は残らない。むしろ、もう一本食べたくなるような不思議な魅力があった。


(流行る理由は理解できた。この斬新な味覚体験と手軽さ。そして、おそらくは希少性。灯火亭でこのスパイスを使うなら……そうだ、鶏肉ではなく、脂の乗った豚肉や、あるいは淡白な白身魚と合わせたらどうだろう? 火入れを完璧にし、他のハーブとの組み合わせで香りをさらに引き立てれば……)


フィンは、頭の中で新たなレシピの可能性を探りながら、満足気に頷いた。仕事のヒントも得られたし、何より、未知の味との出会いは、やはり純粋に楽しかった。


純粋に楽しそうで、羨ましい。


続きは一時間後にアップします!

どうぞよろしくお願いいたします。

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