2023/01/08
4296.
「緊急告知!」
「何だよまたかよ。どうせ大したことじゃないんだろ?」
「当面の間、本作は不定期更新となります」
「・・・・・・は!?」
4297.
「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい。美々香お前言っていいこと悪いことがあるからな? おいおいおいおいおいおいおい」
「黙れ。ガタガタ抜かすな」
「待て待て落ち着け。ちょっと落ち着け。もっと落ち着け。台本をもっかい見直せ告知とやらをもう一度改めて聞こうじゃないか」
「お前が落ち着けよ」
4298.
「フーーーーッ。よし美々香、いいぞ。テイクツーだ」
「この年末年始、ヤツは自分を見つめ直した」
「おい詳細に入るな! 告知とやらを言い直せ!」
「その結果、今の状態が続くのは良くないと判断した」
4299.
「おい! 話を聞け! 一旦話を戻せ!」
「ヤツには本業がある。お世辞にも成功してるとは言えない物書きとは違って、カネが入る定職がな」
「だから待て! 躊躇なく話を進めるな!」
「お前こそ話を進めることに協力しろやタコ」
4300.
「さて、定期連載というのは、言うまでもなく定期的に最新話を更新することだ。暇な時も、忙しい時も、健やかなる時も病める時も」
「いやあいつ体調崩したらサボってるだろ」
「ヤツは、忙しいことを理由にプライベートの用事を投げることを嫌うのだが、そうも言ってられなくなってきた。プライベートを理由に仕事をすっぽかすことは、もっとできないからだ」
「くそ、もう話を聞くしかないのか・・・」
4301.
「当然ながら、ネット上で物書きやってるなんてことは誰にも言ってない。だからこそ、言い訳には使えない。というか、言い訳にした時点で“そんなの辞めればいい”としかならない。なんせ、自分の意志で始めたものだからな」
「あいつの悪い癖だよな。やりたくて始めたものが、いつしか義務感覚になっている」
「どれもこれもヤツの意志の弱さ、そして考えなしにあれこれ手を出すのことが原因だろう。その結果の今だ。
だからって責任持って続けりゃいいってモンでもないがな。このまま続けてたって明るい未来がある訳じゃあない。時間と気力を浪費するだけだろう」
「まあ、もう何年やってるんだ話だしな」
4302.
「とは言え、これまでやってきたことが無駄だとはヤツも思ってない。物書きをやったことで得られたものはあった。だが、それも飽和しきった。今のまま惰性で続けても人生でプラスにはなることはない、という判断だ。
それもそうだろう。この手の書き物には作者の人生が乗る。一度、それまでの人生を乗せてしまえば、あとは人生を過ごしながらの執筆になる。当然ながら日々の経験値が執筆ペースを上回る必要があるが、同じような毎日が続くアラサーではとても追いつかない。ネタ切れを起こすのは必至だ」
「まあ所詮、ヤツの人生がその程度だったという話だな」
「てな訳で、チャージ期間が必要になった。そのためには、経験値が低い活動はカットせざるを得ない」
「で、削減対象がこれかよ・・・」
4303.
「しょうがないだろう。カネにならないし、休日に仕事する時間も削ってるからな」
「休日に仕事する前提はやめろ。あいつ休日労働はカネにならないはずだ」
「確かにそうだが、これを不定期更新にした程度で人生の密度は変わらない。今までにない何かをする必要がある。それが結局、仕事にまつわる分野のプロになることだ」
「給料もらってる時点でその道のプロであるべきなんだけどな・・・」
4304.
「ヤツだってそう思ってるさ。でもあいつ、広く浅くってタイプなんだよ。仕事仲間の専門外のことも多少は知ってて重宝されるが、結局は“多少”レベル。それぞれが、その道のプロには負ける。ヤツにはこれといった武器が無い。
周りにとって専門外の分野ができるから煙に巻くことはできるが、その場しのぎに過ぎん。そんなことを繰り返しているようでは、いつかはヤツも必要とされなくなる日が来る」
「だからヤツは稼げるうちに稼いで、職を失ったら隠居するんじゃなかったのか? 50までに脱サラして第2の人生を謳歌するのが目標なんだろ?」
「そうなんだが、これも不定期連載になるというだけで、引退そのものの意志はないからな。もう1回言うぞ? こういった書き物には、書く人間の人生が乗る。何かを変えなきゃ、これから書くものも大したことないやつが続くんだ。
何をすればいいかなんて分からないが、どのみち本業の方で、メインの分野を極める必要がある。決して物書きに直結するものではないが、何か1つの道を極めた、あるいは極めようとしたというのは必ず未来の作品にプラスの影響を与える。このまま何年も、浅い経験値を得ながら浅い文章を書き続けるよりはよっぽど良いだろう。少なくとも、ここしばらくは物書きとしての経験値が人生の経験値になってない」
「他でもなく、ヤツが作品作りを極めようとしなかったからなんだけどな」
4304.
「だが、カネにならないものに対してそこまでの労力を割けるほど暇じゃない」
「カネになるものにできなかったのは、他でもない作者自身だろ?」
「まぁそうなんだがな。それ以前に、これをライフワークにするほどの度胸がヤツにはなかった」
「あったとして、失敗してる気はするけどな。そうなったら、高卒の人間が定職捨てて何バカなことやってんだって話にもなる」
4305.
「そう。結局、ヤツが物書きであり続けるためには、生活費を別口で得る必要がある。もちろん、人生の経験値もな」
「ま、今回はそのための一時休みってところか」
「言うてこれは30分もあれば1回分できるから、それなりの頻度でやるだろう。書く気分になった時に書くという、あるべき形でな」
「“毎週末に書く気分になる”、ってのが一番の“あるべき形”だったんだけどな」
4306.
「まぁそこは諦めよう。人間、心の奥底の感情まではコントロールできない。気分の乗らない時だってあるさ」
「そんな言い訳に甘えてたら、何もできなくなるんだけどな」
「だからこそ、本業の分野を極めようという気分になったことは良いことじゃないか。人生の経験値ってやつは、物書きとしての作品だけじゃなくて、本人の顔、仕草、言葉、口調、全てに乗るからな。あまりに雑な日々を過ごしていると、もっと歳取った時に恥をかくことになる。今は、ヤツが生まれ変わることを信じるしかないな。次は物書きとして成功するかも知んねぇぞ?」
「けっ。そんな日が来るのかよ。だがまあ、ヤツがレベルアップしたら俺らの会話もワンランク上がるんだろ? 乗ってやろうじゃねぇか、その賭けに」