2022/11/06
4041.
「兄よ!」
「妹よ!」
「・・・せーのっ」
「「タイトル変更記念企画、みんなで人狼ゲーーーーーム!!」」
4042.
「説明しよう! ついにこの作品のタイトルが変わってしまったがために、その記念にこれからみんなで人狼ゲームをする!」
「何の説明にもなってないだろ。崇、頼む」
「しょうがないな・・・人狼ゲームというのは、参加者を村人陣営と人狼陣営に分けて、ターンごとに村人が人狼に殺されて減っていく中で、誰が人狼かを暴いて処刑する物語だ」
「物語ではないだろ・・・」
4043.
「よし、でかした兄とみずき兄! 細かいルールは後回しにして、選手の紹介を行う! まずはこの私、満月美々香だ! 次、兄!」
「美々香の兄の涼太だ。よろしく頼む。はい、次」
「美々香の将来の義姉になる、明星みずきよ。今日は美々香には絶対に負けないわ」
「いや同じチームになる可能性かなりあるからな・・・逆に美々香ちゃんの義姉になれる可能性はほとんどないぞ。こんなことを言い出すようなやつが妹なんだが・・・兄の崇だ」
4044.
「美々香の母だよ。まったく、急に呼び出して何だってんだい」
「美々香の父だ。よくわからんがゲームってやつをやればいいんだな」
「わたくしは、誇り高き世界サバ・フィル・ハーモニーの社長令嬢に当たる者ですわ。そしてこちらが、当家の看板猫のクレセントちゃんです」
「うにゃーーーーーっ!」
4045.
「服部です。今日はお嬢様の勝利のために全力を尽くします。たとえ敵になっても」
「ちょっと、そんなことはやめてよね。ゲームにならなくなってしまうわ。委員長の橋口です。私がいる限り不正は許しません」
「担任の遠藤よ。せっかくだから今日は頑張るわ」
「生活指導の谷崎だ。このゲームが公序良俗に反するものじゃないか確かめたいと思う」
4046.
「以上12人が参加者・・・って、谷崎!!?」
「あぁ満月、久しぶりだな」
「谷崎、お前・・・サバ漁船から戻って来れたのか!」
「幸いにも、な・・・」
4047.
「おいおい良いのかよサバ令嬢。お前あれだけ華麗なおみ足を盗撮されてたってぇのに」
「谷崎先生は船の上で十分に反省の意を示してくださいました。1年ちょうどまでもう少しでしたがこの企画がありましたし、もうよいかなと」
「良かったなぁ谷崎ぃ? ご令嬢の恩情に感謝しろよ? フツーなら刑務所送りで1年じゃ帰って来れなかったからな?」
「無論だ・・・感謝してもしきれない」
4048.
「それにしても、ほぼ1年越しの復帰なのに随分あっさりとした発表のされ方だったわね」
「だな。なんせこの私も今知ったからな」
「俺だって、ここしばらく緊急告知が続いたから触れてもらえるんじゃないかと期待してたぞ。それがまさか、こんな形でとはな」
「何を言ってんるんだ。こうしてお前のために3話も割かれたんだぞ? 喜べよ、谷崎」
4049.
「まぁ積もる話もあるだろうがそんなのは後だ。ゲームを始めようぜ? 審判長の橋口、ルール説明を頼む」
「わかったわ」
「親も教師もいる中で審判長は生徒なのか」
「委員長だからな」
4050.
「では皆さん、私からルール説明をします。まず大まかなルールですが、昼のターンと夜のターンを繰り返していくことになります。今を初日の昼として夜からゲームが始まりますが、夜には皆さん自室に戻って頂きます」
「その“自室”を用意するためのサバ令嬢の家か」
「すごい豪邸よね。これで学校に通うためだけの別荘って言うんだから驚きだわ」
「驚くことかよ。世界サバ・フィル・ハーモニーなんだから当然さ」
4051.
「せっかくですのでこの場で紹介しますわね。執事のジャン=ポールです」
「皆様、本日はようこそおいでくださいました。どうぞ、心ゆくまで遊戯の方をお楽しみくださいませ」
「すげぇ絵に描いたような執事の爺さんだな・・・」
「わたくし生まれた頃からの付き合いで、爺やと呼んでおりますのよ」
4052.
「橋口さん、失礼いたしましたわ。ルール説明の続きをどうぞ」
「はい。夜のターンですが、人狼は任意の村人を1人、殺害することができます。ただし初日に限り、ノンプレイヤーのジャン=ポール氏に犠牲者を務めて頂きます」
「じ、爺さん、私たちのために・・・!」
「皆様にお楽しみ頂けるよう努めるのが執事の役目にございます」
4053.
「だ、だからって何も、命まで張らなくても・・・!」
「心配しなくてもゲーム内での死ですからね・・・」
「ルール説明を続けます。村人は夜は死を恐れるのみですが、一部の村人には特殊能力が与えられ、それを行使することができます」
「へえ、そんなのがあるんだな。どんな能力なんだ?」
4054.
「その前に昼のターンの説明をします。夜が明けるとまず犠牲者が誰なのか明かされ、そこから議論が始まります。そして最終的に1人1票、怪しいと思った人に投票できます。その結果最多得票となった人が処刑され、再び夜のターンに突入です。
なのでここで上手く人狼を処刑する必要があるのですが、この議論で重要となってくるのが、いま言った特殊能力ということになります」
「なるほどな。確かに、何のヒントもなしに裁判してもクジ引きになっちまうしな」
「それで、どんな能力があるの橋口さん?」
「それじゃあ、ひとつずつ説明していくわね」
4055.
「まずは、霊能力者。これは、処刑された人物が人狼だったか、人狼じゃなかったかを知ることができる重要な役職です」
「マジか。ちょー重要じゃん」
「もちろん、嘘をつくことはできませんのでそのつもりで。不正については、初日に犠牲となるジャン=ポール氏が別室で全員の役職や能力で得られた結果を把握できるので、見逃すことはないでしょう」
「爺さん・・・死んでもなお酷使されるんだな・・・」
4056.
「次に、占い師です。占い師は、夜に誰か1人を占うことができ、その人が人狼か、人狼でないかを知ることができます」
「マジかよ。こっちもちょー重要じゃん。てかさっきの霊能もだけど、狙われて殺さるんじゃね?」
「そうとも限りませんよ。人狼は嘘をつくことが認められているので、偽の霊能力者や占い師が出て来ることがあります。そんな状態で本物を殺せば、自分が偽物だとバレてしまいますからね」
「なるほどな・・・ん? ちょっと待て。だったら誰が本物の占い師かわかんねーじゃんか!」
4057.
「それがこのゲームの基本です。人狼は嘘をつかないと負けてしまいますからね。偽物を含めた霊能力や占いの結果から、矛盾を見つけて人狼を処刑するのが村人たちの目的になります」
「深いな人狼ゲーム・・・」
「他にも役職はあるので説明していきます。次は、狩人です。狩人は1人対象を決めて、夜の人狼の襲撃から守ることができます」
「狩人って名前の割には人狼殺せないんだな・・・」
4058.
「まあそこはゲームなので・・・誰を守るかは自室で端末で入力してもらいますが、それが人狼が襲うと決めた相手と一致すれば、その日は犠牲が出ずに朝を迎えることができます」
「なるほどな。じゃあ頑張って私を守れよ狩人」
「まだ満月さんが村人になると決まった訳ではないんだけど」
「むしろ美々香ほど人狼が似合う人もいないでしょ・・・」
4059.
「次の役職は、猫又です。これは、処刑される場合はランダムで誰か1人、人狼に殺される場合はランダムで人狼を1人、道連れにしてしまいます」
「マジかよ。死神みたいなやつだな」
「猫又のネーミングの由来は私にも分かりません。村人チームに所属しますが、どちらにも不利に働きうるので特殊な役職と言えますね」
「運よく人狼がこいつを食ってくれるのを祈るしかねぇな」
4060.
「次の役職ですが、パン屋です」
「パン屋ぁ? 何ができんだよパン屋に。もしかして人狼を懐柔して味方にできるのか?」
「そこまではできません。パン屋は毎朝全員にパンを配給します。ですがそのパンに何かある訳でもありません。死んでしまうとパンの配給がなくなり、その人がパン屋、つまり村人チームだったことを全員知ることができます」
「なんか何とも言えない役職だな・・・」
4061.
「続いて、狂人です。これは、人間でありながら人狼に味方する裏切り者です」
「あぁ!? なんだそいつは! ブッ殺してやる!」
「はい。なので狂人は処刑してください。もちろん人狼同様に、霊能力者や占い師を自称して攪乱してきます」
「厄介な奴だな・・・」
4062.
「更に厄介なことに、狂人は霊能力や占いの結果では白、つまり人狼ではないと出力されます」
「なんだと・・・!? つまりそいつが死んでも、狂人が死んだのか村人が死んだのか分からんということか・・・!」
「そうなります。ただし狂人が生き残っていても、人狼が全滅すれば村人チームの勝ちです。また、狂人は誰が人狼なのか、人狼も誰が狂人なのかは把握することができません。狂人になった場合は村人に悟られないように人狼に味方する必要があります」
「難しい役どころだな・・・」
4063.
「でも、ゲーム関係なしに狂人な美々香にはピッタリなんじゃない?」
「あぁ? てめー血祭りにあげられたいのかみずき?」
「ちなみに狂人には、人を殺す能力はありません。また、人狼は狂人を殺すこともできます。そうと知ってか知らずかを問わず」
「でもわざわざ殺す必要なんて・・・あーでもあれか。霊能とか占いの偽物が死んだのか本物が死んだのか分からんようにはできるのか」
4064.
「その辺りの駆け引きも重要になってくるでしょう。さて、次が最後の役職です。これが最も特殊なもので、妖狐です。村人チームにも人狼チームにも所属せず、どちらかが勝利条件を満たした時に生きていれば、漁夫の利で1人勝ちになります」
「マジか! なんてヤツなんだ女狐!」
「まだ女の人がなると決まったわけじゃないでしょ・・・」
「いずれにせよ、村人も人狼も、まずは妖狐が誰なのか暴き出して処刑に持ち込むと良いでしょう」
4065.
「ですが、人狼が妖狐を殺してくれることもあるのですわよね?」
「実は、それがないんです。妖狐は、人狼の襲撃を受けても死にません。ただし、占い師に占われると呪殺という形で死んでしまいます」
「なるほど。ってことは狐を殺す手段は処刑が呪殺ってことか」
「ちなみに処刑に成功しても、霊能力の結果は白と出るだけで、妖狐を処刑できたと把握することはできません。占いの結果も白ですが、そっちだと死ぬので分かります」
4066.
「しっかし、人狼に加えて妖狐まで気にしなきゃいかんとは、中々に難しそうだな」
「その妖狐になってしまっても立ち回りが難しそうよね」
「お前ゲーム関係なしに女狐みたいなもんだからピッタリだろ?」
「え、何? ケンカ売ってるの? 場外乱闘も上等よ?」
4067.
「言うまでもなく暴力や脅し、賄賂は禁止です。ジャン=ポール氏に加え、SPの方々がいることもお忘れなく」
「うぉっと、ここがサバ令嬢んちだってことを忘れてたぜ。ジョンとベンジャミンに加え、総勢10人を超えるSPたち・・・」
「SPだけでこのゲームできちまうな。 ところで委員長とやら、村人と人狼それぞれの勝利条件を確認させてくれ」
「そうですね。村人の勝利条件は、人狼の全滅です。狂人が生き残っていても、人狼が全滅していれば勝ちです。ただし、人狼全滅時に妖狐が生き残っていると妖狐の1人勝ちになります」
4068.
「次に、人狼の勝利条件は、村人の数を人狼と同数まで減らすことです」
「あ、そこは全滅じゃなくていいんだな」
「同じ数になってしまえば裁判で負けませんからね。ちなみに、初期の人数とは関係なく、その時点で生き残っている村人と人狼の数を比較します。
妖狐はこのカウントには含まれず、例えば村人2・人狼2・妖狐1となれば、人狼の勝利条件を満たしてかつ妖狐が生き残っているので、妖狐の勝ちとなります」
「うわ、そう聞くとめっちゃ厄介だな妖狐」
4069.
「てか人狼ってオオカミのクセに村人全員惨殺とかできないんだな。1夜に1人ずつで同じ数に減るまでってウケるんだけど」
「数的不利を覆せるほどの身体能力はないんでしょう、きっと」
「でも1対2とか2対3になっても律儀に投票に参加するって考えるとめっちゃシュールだよな」
「まぁそこはゲームなので・・・」
4070.
「ではルール説明も最後です。肝心な人狼の人数ですが、2人です。これに狂人を加えた3人が人狼チームになります。人狼はお互いが誰か把握することができるので、夜は自室で端末を使って連絡を取り合うことができます。ただし狂人と人狼はお互いを把握できないので、狂人の人は1人で作戦を練ってください」
「誰が味方がわかんねえ状態で作戦立てるってのもシュールだな」
「他の役職、霊能力者、占い師、狩人、猫又、パン屋、妖狐は1人ずつです。そして残りの3名が、一般市民となります。知恵と勇気を振り絞り、時には処刑も受け入れて、村人を勝利に導いてください」
「処刑されちまっても村が助かればOKってどんだけ人格者なんだよ一般市民・・・」
4071.
「ではゲームスタートです。日が暮れたという前提で、各自自室へと入ってください。役職は部屋に置いてある端末で確認できます。端末は投票にも使うので昼のターンではここまで持って来てください」
「では皆様、客室へとご案内します。こちらへどうぞ」
「爺さん・・・これから死ぬってぇのに、なんていいヤツなんだ。主人とは大違いじゃないか」
「ゲーム会場を提供したわたくしによくもそんなことが言えますわね美々香さん?」
4072.
「こちらが客室となります。皆様、ご自身のプレートのある部屋へとお入りください。わたくしめは、これにて」
「さらばだ爺さん・・・お前のことは、一生忘れないぞ・・・」
「ほほほ。では死んでしまった暁には、冥界にてお会いいたしましょう」
「さすがは世界サバ・フィル・ハーモニー、執事がお茶目だな」
4073.
ギィィィィッ。
「うおっ、なんて豪華な部屋なんだ。1人用なのに広さだけで4人暮らしのボロアパート超えてんじゃねぇか。ゲーム内の1日をリアルにここで過ごしたいぐらいだぜ。
っと、端末はあれだな。さーて役職でも確認するかー。マジで狂人とかなったら面白いんだけどなー」
【あなたの役職は、猫又です】
「うぉ・・・っ! こりゃまた予想外のが来たぜ。えっと、処刑されたら村人含む全員からランダムで1人、人狼に殺される時は人狼をランダムで1人道連れ、だったな。そして所属は村人チーム。死ぬことが仕事ってなんかヤだな・・・いや、死して発動する能力は強力! ゆえに猫又最強!」
4074.
【朝になりました。広間に移動してください。今日は、パンの配給がありました】
「なるほど、パン屋が死んだらこれで分かるのか。さーて行くかー。まずは爺さんが犠牲になってそこからゲームスタートだな?」
「あら美々香、おはよう。あなたが味方じゃないことを祈るわ?」
「へっ、そっちこそ。敵に回ったら心おきなく処刑してやるよ」
4075.
「よし、全員集まったな。とりあえず委員長、仕切ってくれ」
「私が人狼か妖狐ってこともあるんだけど・・・いいわ。 では皆さん、今を2日目の昼のターンとおきます。処刑をやってないので霊能力は発揮されませんが、誰が霊能力者かはモニターに表示されます。
もし、人狼や狂人が偽の霊能力者を騙ることにした場合は、端末し入力してもらっているので、それも含めて一斉に表示されます。心の準備はいいですね?」
「いいぜ? 偽物でも本物でもかかって来いや」
【満月幸代さんが、霊能力者を名乗りました】
4076.
「お? 1人だけ?」
「偽物が現れなかったみたいね。満月さんのお母さんが本物の霊能力者で確定でしょう。村人チームは嘘をつくことが禁止されてるから」
「そうなのかい? まあ、偽物が出なくて良かったよ」
「母さんが霊能力者ってなんかウケるんだけど」
4077.
「では次、占い師をモニターに出しますね。占いは初日からできるので、誰を占ってどんな結果になったか、偽物がいる場合は、誰を占ってどんな結果が出ることにしたのかが表示されます。どうぞ」
【明星崇さんが占い師を名乗りました。占い結果:満月涼太さん、白。
橋口綾音さんが占い師を名乗りました。占い結果:満月幸代さん、白。
遠藤先生が占い師を名乗りました。占い結果:谷崎先生、白】
「え、3人もいんのか!?」
「偽物が2人いる、ということですわね」
4078.
美々香「委員長、これはどういうことだ!? てかお前まで占い師かよ!?」
橋口「もちろん、本物とは限らないわ。ゲームを進める中で推理してちょうだい。本物の占い師の結果だけが本当で、偽の占い師のものはでっち上げ。それが当たっている可能性もあるけど」
美々香「え、難しくないかそれ」
涼太「1つずつ詰めていくしかないだろう」
4079.
涼太「まず崇、何で俺を占ったか聞こうか」
崇「疑ってるからに決まってるだろ? 白で残念だったがな」
涼太「てめぇそれでも友達かよ! フザけやがって」
美々香「てか初日は適当に占うしかないだろ・・・まぁ後でみずき兄が偽物だって分かったら、兄の白も当然帳消しになるってこったろ?」
4080.
サバ令嬢「ですがこれ、例えば涼太さんを処刑して、明日お母さまの霊能力の結果で黒が出たら、崇さんが偽物だって分かるんですのよね?」
橋口「その通りです。霊能力者に偽物がいないので、その作戦でいくのが良いと思います」
涼太「待て待て待て待て! それだけで俺を殺すのか!? 俺は村人だ! 白だ! 村人は嘘をつけない! ゆえに俺は白だ!」
サバ令嬢「人狼は嘘つけるのですからその理屈は通りませんわよ・・・」
4081.
美々香「まぁ大人しく死ねよ兄。時には処刑を受け入れることも大事だって委員長が言ってたろ?」
涼太「フザけんな! それだけで死んでたまるか! というか委員長! お前も占い師名乗ってるけど偽物なんじゃないのか!? 審判長が実は敵ってことも十分あり得るからなぁ!? 面識のない母さんをいきなり占ってるのも怪しい!」
橋口「自称占い師が3人出ている以上、今すぐ私の白を証明することはできません。ゲームを進めていく中で信用してもらうしかないですね。お母さんを占ったのは、意外なところを突いてみようと思っただけです。もちろん、霊能力者が誰なのか明かされる前にやってますから」
美々香「委員長の方がよっほど大人じゃねぇか。一応人生の先輩なんだからさ、ここは大人しく処刑されようぜ?」
4082.
涼太「待て待て待て待て! 自称占い師の中に2人偽物がいるんだろう!? どっちも人狼か、片方狂人で決まりじゃないか! だったら本物もろとも1日ずつ処刑していこうぜ!? そうすれば片方狂人でも敵は人狼1人になる!」
遠藤「それはやめた方がいいんじゃないかしら。妖狐が潜んでいるんだもの。自称占い師に妖狐がいる可能性もあるけど・・・妖狐を殺すことができる占い師を削るのは得策じゃないわ。人狼は妖狐を殺せないから、処刑か呪殺しかないのだし」
サバ令嬢「わたくしもそれに賛成ですわ。占い結果が出ている人を処刑して、霊能力者の結果を見て偽の占い師を暴き出す。自称占い師の処刑はそれからでも遅くはないでしょう」
みずき「さすがにこればかりはそうした方が良さそうね・・・お兄さんには、申し訳ないですが」
4083.
涼太「待て待て待て待て! その作戦で行くとして、俺を吊る必要はないだろう! 占い結果が出ているのは3人いるんだからな!」
崇「えっと確か・・・俺が涼太に白の他は、委員長が涼太の母さんに白、遠藤が谷崎に白だな。霊能で確定してる涼太母を殺すのは無いとして、涼太か谷崎の2択だな」
谷崎「そうだな。それぞれ満月兄か俺のどっちかに入れるってことで良いんじゃないのか? 満月兄も、これで折り合いを付けようじゃないか」
涼太「くっ・・・それしかないみたいだな。ちくしょう、ちくしょう・・・! 崇! マジで恨むぞ! 俺を占いやがって・・・! お前偽物だったらマジ許さないからな!」
4084.
崇「安心しろ。俺は本物だ。そして村人は勝つ。だからお前は心おきなく死ね」
涼太「マジで心の置き場がわかんねえんだけど」
橋口「そんな満月先輩に、最後のチャンスを与えます。もし、猫又か狩人の場合は名乗り出てください。特に、猫又の場合はランダムで村人、霊能力者さえも道連れにする可能性がありますから」
涼太「くっ・・・どっちも、違う・・・」
4085.
橋口「じゃあどうしようもないですね。谷崎先生はどうですか?」
谷崎「俺も違う。普通の村人だ」
母「それで、アタシが霊能力ってやつの結果を見ればいいんだね。この先生か涼太が、人狼か妖狐って可能性もあるんだね?」
橋口「ありますが、処刑されると決まってもそれを明かすことはNGです。特に妖狐だと白で出ますから判別できません。ゲームに影響が出るので黙って死んでください」
4086.
美々香「委員長が教師に“黙って死ね”って言えるなんて、凄いゲームだよなこれ」
遠藤「でもこれ、占われた人を処刑するって作戦だと、占う相手を選びづらいわね」
美々香「そんな遠藤のために私が指定してあげよう。これはOKなんだろ委員長?」
橋口「全員が納得すれば構わないわよ。とりあえず言ってみたら?」
4087.
美々香「そうだな・・・せっかくだし全員今日と変えるか。みずき兄はみずきを、委員長は親父を、遠藤はサバ令嬢を占え。異論はないな?」
涼太「おいちょっと待て。ちゃっかり自分を外してんじゃねぇよ」
みずき「そうよ美々香。それでみんなが納得すると思ってるの?」
遠藤「じゃあ私が満月さんを占うわ。よく考えたら一番信用できないし」
4088.
美々香「くっそが・・・! まぁいいぜ? どうせ白って出るだけだからな」
サバ令嬢「投票に移りましょうか。クレセントちゃん、端末は使えますわね?」
クレセント「うにゃーーーっ!」
美々香「そういやクレセントもいたんだったな。こいつが猫又だったら面白いけど」
4089.
橋口「それでは皆さん投票をお願いします。誰が誰に投票したかは全員が分かるのであまりフザけないように」
美々香「兄を殺すことができるってぇのにフザけるわけないだろ?」
涼太「くっそ・・・せめて美々香に入れてやるからな・・・!」
美々香「別にいいけど谷崎の票増やさないとお前が吊られる率が上がるぞ?」
4090.
【投票結果:
満月美々香さん → 満月涼太さん
満月涼太さん → 谷崎先生
明星みずきさん → 谷崎先生
明星崇さん → 満月涼太さん
満月幸代さん → 満月涼太さん
満月亘さん → 満月涼太さん
サバ令嬢さん → 満月涼太さん
クレセントさん → 満月涼太さん
服部波斗さん → 満月涼太さん
橋口綾音さん → 満月涼太さん
遠藤先生 → 谷崎先生
谷崎先生 → 満月涼太さん
投票の結果、満月涼太さんが処刑されます】
涼太「おい!! なんで親父と母さんまで俺に入れてんだよ!!」
母「そりゃあゲームのことを考えると、出来の悪い息子よりは先生を残しておいた方がいいと思うさね」
父「右に同じだ」
4091.
スッ。
涼太「うわっ! 何だ! ジョン! ベンジャミン! 放せ! やぁめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
サバ令嬢「ちなみに、死んでしまわれた方は応接室にてジャン=ポールと共にゲームの続きを観覧頂きます」
美々香「死んだら応接室に通されるってなんかウケるんだけど」
4092.
橋口「では夜のターンに移ります。皆さん自室に戻ってください。あ、狩人の方は満月さんのお母さんを守ってくださいね。霊能力者が殺されては困りますから。端末での入力をお忘れなく」
美々香「ってことは人狼も母さんを避けて殺しに来るワケか。怖ぇぜ」
みずき「大丈夫よ。美々香みたいな厄介者は残しておいた方が人狼側も得でしょうから」
美々香「あぁ~~ん? てめぇナメとんのか?」
4093.
美々香「言うてやることねぇな。他の連中が端末入れるの待つしかねぇか。って、待てよ? 遠藤が偽物だったら私に黒って出す可能性あんのか!? そうなったらマジぶっころ! おい人狼、私を殺しに来るなよ? 猫又だから道連れでテメェらだって損なんだからな!」
【朝になりました。広間に移動してください。今日は、パンの配給がありました】
美々香「あ、終わった。ってことはアレか? 殺されなかったみたいだな。ナイス判断だぜ人狼。生かしといた方が得って考えられてたらムカつくがな」
みずき「おはよう美々香。どうやら無事だったみたいね? やっぱり味方だと思われてるんじゃないの?」
4094.
美々香「そういうテメェこそ。私と同じく生かす方がいいって思われてるんだろうよ」
みずき「私のは人徳よ。お互い占われるから結果が楽しみね?」
橋口「皆さんおはようございます。人狼が襲う対象が狩人に守られておらず妖狐でもない場合、犠牲者がモニターに表示されますよ」
【谷崎先生が人狼に襲われて死んでしまいました】
4095.
美々香「谷崎ーーーーーーーーーーーーー!!」
みずき「せっかく処刑は免れたのに、なんてこと・・・」
美々香「せっかくサバ漁船から舞い戻って来たのにこんな早く死ぬなんて・・・よっぽど運のないやつだな」
サバ令嬢「ですがこれ、誰を襲うかは人狼サイドが選べるんですのよね?」
4096.
橋口「そうなります。この場合考えられるのは、谷崎先生の白を示すことによって昨日の遠藤先生の占いに説得力を持たせることです。遠藤先生が人狼なら、有り得ますね」
遠藤「え、ちょっと、そうなの? だけど、そう思わせるために人狼が私の占い相手を殺した可能性もあるのよね?」
橋口「もちろんです。自称占い師が3人いる以上、私も疑われるのは避けられませんから、いかにして皆に信用してもらうかになります」
みずき「本当に難しいわねこのゲーム・・・」
4097.
美々香「ついに始まってしまった、タイトル変更記念人狼ゲーム! 多くのメンバーが集まったのも束の間! さっそく兄が処刑され、夜には谷崎が犠牲になってしまった!」
みずき「あ、これ来週に持ち越す流れね」
美々香「兄の霊能結果は白なのか、黒なのか! 偽の占い師は一体誰なのか! そして私はみずきに勝つことができるのか! ゲームはこれからヒートアップを迎えるッッ!」
サバ令嬢「なんでみずきさんと敵対してる前提なんですのよ・・・」