2022/09/04
3758.
「とりあえず報告書の方はまとまった。だがそれとは別問題で、9月中旬頃までに何ができるかで偉い人からの評価は随分と変わる」
「終わらないデスマーチね」
「まだ9月も上旬だからな。そんなに早く楽させたら怠けるだろう?」
「日本企業の悪い癖ですわよね」
3759.
「日本人も大して脳ミソが優れてる訳じゃないし、昭和に作ったガチガチ制度も普通に残ってるから根性でその差を埋めるしかない」
「そんなことやってるから失われた30年とか言われちゃうのよ」
「30年で終わればまだいいけどな」
「終わることがなければこれがもう新時代ですわね」
3760.
「成長を遂げない国。これが標準になるって冷静に考えると恐ろしいよな」
「30年続いてるって言われてるなら実際そうよね」
「まぁ給料変わんないのに物価これだけ上がったらな」
「昔は良かった。こんな台詞ばっかり聞くとゲンナリしてしまいますわね」
3761.
「さて作者の仕事物語後編に入ろう」
「続き言うほどのものあったっけ?」
「ある。いかにして、目標値までの残り70倍を達成するかだ」
「70倍・・・もってくださいまし、わたくしの体・・・!」
3762.
「実のところ、10倍ぐらいなら上げる算段が着いている。半年前に1000分の1に終わったのは装置が壊れて出来合いのものでやるしか無かったからだ」
「そもそも、高性能狙いのはまともに動かなかったって話よね?」
「そうだ。それがこの半年で解決し、1000分の1から70分の1までになった。これはこれでまだ本命仕様ではなくて、改良のアテがあるんだ」
「それは良かったですけれど、不良の原因が何だったのかは気になりますわね」
3763.
「不良の原因だが、実は元から潜在的に抱えていた」
「え、そうなの?」
「ああ。だが1000分の1狙いのやつではそれが顕在化されなかった。性能を上げようとしてたやつとの相性があまりに悪かったことで突然不良の連続となり、当然変えた部分の方を疑っていたのだが実は元からあったバグでしたってオチだ」
「それ自体はよくあることですけれど、“1000分の1狙い”という響きが切ないですわね・・・」
3764.
「まぁぶっちゃけ、性能上げるために変えた部分もダメだったんだがな。だからこそ潜在バグとの相性が悪かった」
「むしろ気付けて良かったんじゃないの? でも、どうやって1000分の1が70分の1になったの?」
「妥協して第2候補、いや第3候補ぐらいのやり方にしただけだ。それでも動きさえすれば1000分の1サンプルよりはマシなのができるからな」
「その結果の70分の1なんですのね」
3765.
「そしてここから対目標値で1分の1への長い旅路が始まるのだ」
「終わらない旅にならないといいけど」
「心配すんなよ。できなきゃ上層部の判断で強制終了されるから」
「絶対に避けたい終わり方ですわね・・・」
3766.
「ちなみに、この案件にはもう1つの目標値が設定されている」
「どんなものなの?」
「今まで語ってきたのは、心臓となるパーツの性能だ。だがそれとは別に、最終的な完成品の目標値まで設定されている」
「どうせその完成品目標に対しても1000分の1ぐらいしかないと言うのでしょう?」
3767.
「1000分の1? 笑わせるな。今までの最高記録は3万7千分の1だ」
「ねぇ私笑いたいんだけど」
「とは言っても、これは心臓パーツの数を積めばいいから上手くやればすぐにケタで上がったりする」
「その“上手くやれば”がどれだけ大変なことだと思ってるんですのよ・・・」




