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2022/04/24

3000.


「さーーん、ぜーーーん、・・・えーーーーん!!」


「何が3千円なんだ?」


「私の市場価値」


「それは山ほど抱えてる借金を返してから言え」



3001.


「お前は自分が負債の塊であることに気付いてるのか?」


「負債? 何言ってんだよ。借用書を書いたワケでもないから私に負債はないんだぜ?」


「お前こそ何言ってんだよ。口約束でも返さなきゃいけない義務は発生するぞ」


「そんなの無かったことにするに決まってるだろ?」



3002.


「相変わらずですね美々香さんは。生きてて恥ずかしくないのですか?」


「お前こそ随分なこと言うじゃねえかよ。この際だから言わせてもらうけどな、他人からの借りを無かったことにする程度で恥ずかしがってたら生きていけないぜ?」


「本当に美々香さんには恥を知ってもらいたいものですね」


「大事なのは、恥をしないことじゃなくて損をしないことさ」



3003.


「話は済んだか? せっかくの3000話記念なんだから美々香の生き様が話題になるなんてもったいないだろ」


「何言ってんだよ。記念すべき日だからこそ主人公たる私の生き様にスポットが当たるんだろ?」


「言うて今更掘り下げようがないだろ」


「何とかしろよ。後付けでも何でもいいからさ」



3004.


「美々香がこんなにがめついのは過去にこんなことがあったからです~、ってか? 想像絶するものがあったとして今さら言われても冷めるだけだろ」


「まぁな。どのみちマジで何もなく私はこの性格なんだがな」


「よいではありませんか。その方が存分に美々香さんらしさがありましてよ? 天性のロクでなしなんですのね」


「お前は何でさっきからそんな突っかかってくるんだ?」



3005.


「というか服部はどうしたよ。新キャラなのに記念日に不在か?」


「彼は私が置いて来ました。はっきり言ってこの戦いには付いて来れません」


「3000話記念に何の戦いがあるんだよ・・・」


「人生とは、いついかなる時も戦いなのです」



3006.


「あーやべえ話題がねえ。おい兄なんとかしろよ」


「なんで俺が」


「ここは年長者たる涼太さんに打破して頂きたいですわね」


「都合のいい時だけ年上扱いしやがって・・・」



3007.


「ていうかさ、マジでお前“兄”ってこと以外に年上要素ないよな」


「学年が1個上ってのも特に意味を成すものでもないしな」


「じゃあ留年しようぜ?」


「それは人生への影響がデカすぎる」



3008.


「ここはひとつ、早生まれについて語ろうではないか」


「1月1日から4月1日生まれまでについてですわね?」


「その間に生まれた奴は、ひとつ上の学年に取り込まれてしまうという」


「ぶっちゃけ、俺らの感覚からしたら同級生の中で誕生日が遅い連中のことだから“早生まれ”って言葉に違和感があるよな」



3009.


「そこはほら、モチベのためだろ。ただでさえ誕生日が遅いんだ。ネーミングだけでも早生まれじゃないと劣等感が凄いだろ?」


「当事者たる美々香が言うならそうなんだろうな」


「生まれるのがあと1週間遅かったら、クラスで一番チビってことは無かったんだけどな」


「言うて1学年下でも平均よりは随分低いけどな」



3010.


「でも一番チビよりマシじゃん? 幸いにして運動神経は平均並みだったが」


「ですがまあ背丈や身体能力は人生にそこまで影響しませんわよ。問題は、精神の発達が最大11ヶ月差ある中で同じ教育を受けることですわね」


「それも実際どれほどの差が出るんだ? ぶっちゃけ私の場合1学年下に取り込まれてても平均以下だった自身があるぜ?」


「堂々と言わないでくださいまし」



3011.


「そこには、議論の余地があるな。確かに、小学校入学時に6歳0ヶ月か6歳11ヶ月かの差はあるが、それまで人生経験は大して変わらんだろ」


「小学校入学をスタートラインにしてる時点で下々の民なんだよ。世の中には幼稚園受験からあるんだぞ」


「それは11ヶ月の差がデカくなりそうだな・・・」


「当然、お受験の結果によりそれ以降の人生経験、というか受ける教育そのものが変わるんだ」



3012.


「ですがそれを言ってしまいますと、地域によっては幼稚園受験そのものがありませんからね。中学受験でさえ挑戦する人は1%以下、というところもあるでしょう」


「そう聞くと地域差の方がデカく思えてきたな・・・だが少々話題が変わりそうだから早生まれに戻そう。スタートラインも小学校入学後でいいや」


「たまに一斉テストとかやってるが、あれって誕生月ごとの統計とか取ってるのか?」


「取ってるんじゃないのか? 私らのモチベに関わるから教師も親も積極的には何も言わないが」



3013.


「でも3月生まれの奴もそんな少ない訳じゃないよな」


「親が何も考えてないだけだろ」


「また生々しい話を・・・この話題ですと仕方ないですが」


「お受験とかやるとこは絶対4月狙ってるよな」



3014.


「まぁぶっちゃけ3月生まれでも頭良い奴いるよな。あれって4月生まれならもっとヤバかったのか?」


「どうだかな。日が変われば遺伝情報も変わってるだろうからな」


「ゴホンゴホン、そこは無視いたしましょう。正直なところ、当人が怠けないという前提に立てば差は出ないのではないですか? 必要な努力量に差がある可能性は否定できませんが」


「努力する気になれないんだよな~。必要な努力量に差があるってのがどんなことだと思ってんだよ。不利ってレベルじゃねぇぞ」



3015.


「結論にいたしましょう。まず、平均で見れば早生まれが不利であることは認めざるを得ませんね。教育のスタート時に心身とも発達途中なのですから。ですがそれよりも、性格まで含めた個人差の方が大きく出るでしょう」


「個人差がデカい中で“平均値の劣勢”までのしかかって来るんだよなぁ・・・両方が悪い方に振れた私を見ろ?」


「説得力が尋常じゃありませんわね・・・」


「でもコイツ4月生まれだったら自分が年上とか言って威張るだろ。社会的に見れば3月生まれだったのはプラスだ」

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