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2022/04/10

2937.


「うっし、放課後なったしサバ部いくかー」


「ついに我らがサバ部が始動するのですね、お嬢様」


「いやもう設立から半年経ってるが」


「その半年で大して何もしてないんだけどね・・・」



2938.


「ちーっす、2人とも来てるかー? って、うちの兄だけか。みずき兄はどうした」


「お前が病院送りにしたんだろうが全治2週間だぞ」


「あぁ・・・でもありゃ私が蹴らなくても全治2週間だろ。痔で足引きずる奴なんて初めて見たぞ」


「そこに後ろから蹴りを入れる人も初めて見たわよ・・・」



2939.


「あなたが明星さんのお兄さんですね?」


「お前話聞いてたか? こっちは私の兄だ」


「おっと、じゃああなたが満月さんでしたか」


「「は・・・ちょっと今から体育館裏に行く?」」



2940.


「なんだそいつ? サバ令嬢が家来を増やしたのか?」


「ま、そんなところだ」


「この度サバ部に入部することになった服部です。どうぞよろしくお願いします、満月先輩」


「礼儀正しくていいじゃないか、“先輩”って呼ばれてこその部活だよな」



2941.


「服部、お茶」


「すみません満月先輩、僕はお嬢様の言い付けのみを守る存在。いくら先輩でも他の人物の言うことには従えません」


「は? お前何のためにウチに来たの?」


「サバ令嬢に呼ばれて来てんだよコイツは」



2942.


「まぁいいや、やかましい女子どもしかいなかったからな、丁度いい」


「服部がプラスになるビジョンも見えないけどな」


「大きなマイナス要員である美々香がそれを言うの?」


「は? どう考えても私よりみずきがマイナスだろ?」



2943.


「美々香さんも自身がマイナスであることは否定しませんのね・・・」


「というかお嬢様、この2人大丈夫なのですか? さっきから随分と口が悪いのですが」


「気にすることはありませんわ。この程度ならば日常茶飯、野良猫が威嚇し合っているのと変わりませんから」


「「は・・・野良猫?」」



2944.


「言ってくれるわねサバ令嬢さん。あなたは飼いならされ過ぎて免疫力に欠ける心身だというのに」


「夏にエアコンの壊れたウチのボロアパートから泣きながら逃げ出したことを忘れたとは言わせないぜ?」


「ジョン、ベンジャミン。忘れさせなさい」


「「あ、ちょっ・・・! ストップストップ!」」



2945.


「いがみ合ってるのか息が合ってるのか分からない2人ですね・・・」


「いずれにせよ所詮は庶民。飼いならされてるのがどちらかはお分かりでして?」


「そういや忘れてたぜ。放課後に空き部屋でゲームしながらクッキー食えるのもサバのお陰だっ・・・ん・・・!?」


「あら、それは菓子開発部の失敗作。どうやって食べさせようか考えていたのですが手間が省けましたわ」



2946.


「てんめ・・・何食べさせやがんだこの・・・!」


「ザ・サバ・デペンデント・クッキーですわ。服用を続けるとサバを食べたくてしょうがない体になってしまう・・・のですが、あまりの不味さに連日の服用が困難な代物となりました」


「失敗したって自覚のあるものを試食させんなよ」


「それより何でクッキーなのに“服用”なのよ・・・」



2947.


「相変わらず怪しいものばっか作ってんだな、世界サバ・フィル・ハーモニー」


「失礼しちゃいますわね涼太さん、あなたにも強引に食べさせて差し上げますわよ?」


「制裁用として使ってんじゃねぇよ・・・」


「さすがお嬢様、防衛に関しても抜かりありませんね」



2948.


「皆さんも皆さんです。サバ部員らしくもっとサバに愛情を注いでは如何ですか?」


「人数合わせしてやってるだけで十分だろ」


「そうでもないぜ兄よ。なんせあと1人部員が入らないとお前らはストレートで卒業できない」


「は・・・!?」



2949.


「嘘、だろ・・・?」


「わたくしがそんなつまらない冗談を言うとでも?」


「フッ、まぁせいぜいサバ部員らしくサバ愛の普及に務めることだな」


「もう令嬢が服部同じように誰か連れて来いよ・・・」



2950.


「心配すんなよ。もし私らと同じ学年になってもサバ令嬢が留年しない限りは卒業できる」


「いや妹と同じ学年になるぐらいなら退学するんだが」


「退学も休学も不登校も許されませんわよ? あなたの存在が何者かに消されてしまっても別の人物に“満月涼太”の戸籍を当てて通わせますから」


「犠牲の波及が凄いわね・・・」



2951.


「いや待てよ、あと1人いりゃ良いんなら崇の奴を留年させればいいだろ」


「それはダメですよお兄さん。私の兄にはさっさと自立してもらわないと困りますから。一方でお兄さんは、留年しようと将来は私が養えます」


「ちょっと待てよみずき。お前のこと嫌がってるこいつを狙うよりは、全く別の人物に“満月涼太”の戸籍を与えてそいつ狙った方がよくね?」


「美々香あなた・・・たまには良いことを言うわね」



2952.


「お前らなんちゅう会話をしてるんだよ」


「全くですわね。よもや、実の兄や友人の兄を別人にしてしまおうとする人が現れるなんて」


「いや最初に戸籍がどうとか言い出したのはお前だからなサバ令嬢?」


「もしもの時は少々手荒な手段も厭わないというだけの話です」



2953.


「心配せずとも、みずきさんがあなたと結婚できてもできなくても当家には影響しませんから、そのためだけに戸籍を操作するつもりもありませんわ」


「言うてサバ部が存続できなかったら響くのか?」


「そうですね・・・廃部が1年早まればざっと2千億円は変わりますわね」


「何の命運を握らされてんだ俺たちは・・・」



2954.


「当然美々香さんもみずきさんも、事故に遭ったりせぬよう。ご自身の戸籍を別の人物に使われるのが嫌ならば」


「そこまでするんならもう他の奴に金でも渡して入部してもらえよ」


「それは流石にまずいでしょう。もっとこう、一般の方には自然にサバを好きになってもらいませんと」


「サバ依存症になるクッキーなんて作っといてよく言うぜ」

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