2022/04/09
2923.
「えー、今日から新学期ですが、新しい仲間が加わったので紹介したいと思います」
「「「おぉぉ~~っ」」」
「マジかよ転校生かよ」
「どんな人なのかしらね」
2924.
てく、てく、てく、てく。
「皆さん、おはようございます。京都から転校して来た服部波斗です。よろしくお願いします」
「おい、京都で服部ってまさか・・・」
「ふふふ。ついに念願叶って服部君にお越し頂けることになりましたわ」
2925.
「やっぱお前かサバ令嬢。どんな裏の手を使ったんだよ」
「“裏の手”とは何ですか人聞きの悪い。今回は表ルートですわよ。京都事業所から服部という社員をこちらに転勤させただけですわ」
「いや十分に私的な事情で人事決めてんじゃねーか」
「こんなことで引っ越しさせられた服部さん一家が気の毒ね」
2926.
「何を仰っているのですか2人とも? 社員は会社側の都合で異動できるものなのですよ」
「その“都合”がビジネスに一切関係ないんだが?」
「そんなのいくらでも名目を立てられますから問題ありません」
「名目を後付けしてる時点で問題だろ・・・」
2927.
「大丈夫ですわ。当ハーモニーの社員はサバのためなら地の果てでも地球の裏側でも行きますから。人事の示達を出した際も喜んで承諾しておりました」
「その辺は既に調教済みか・・・」
「なんか、収入は良いって話だけど入社すると人として何かを失いそうよね世界サバ・フィル・ハーモニー」
「採用試験の時点でサバに染められて適合者だけが内定もらえるって噂もあるぞ」
2928.
「では服部君、簡単に自己紹介をどうぞ」
「はい。出身は京都、趣味は魚釣り、好きな食べ物はサバです。この学校にはサバ部があると聞いて、父親の転勤を聞いた瞬間絶対ここにしようと思ってました」
「「「ざわ・・・」」」
「息子まで調教済みだったか・・・」
2929.
キーン、コーン、カーン、コーン。
「さぁ服部君、ようこそいらっしゃいましたわ」
「はい。この度はお嬢様と同じ学校に通えるようになったこと、大変嬉しく思います」
「なんか喜んでるけど親の務め先の社長令嬢と同じ学校とか人生掌握されたも同然なんだぞお前・・・」
2930.
「お嬢様のご学友の方ですね? これからよろしくお願いします」
「ああ。よろしくな、服部。満月美々香だ」
「明星みずきよ。私もよろしく」
「え、お2人ともそんな一般的な挨拶ができましたの?」
2931.
「お前私らを何だと思ってんだよ」
「そうよ、美々香はともかく私まで」
「満月さんに明星さん、言葉を謹んでは? お嬢様に失礼ですよ」
「こいつ・・・」
2932.
「まぁまぁ服部君、このお2人はわたくしが庶民の感覚を身に着けるにふさわしい人物、この程度の無礼など許し友好的にいかなくては」
「お前マジで友好的にするつもりあんのか?」
ザッ。
「そういやSPも2人いんの忘れてたぜ・・・」
2933.
「本職のSPもいるんだから服部がサバ令嬢を防衛するこたないぞ」
「そうでわよ服部君、わたくしたちは対等なお友達であるべきです。男子の友達がいませんでしたからとても嬉しいですわ」
「お嬢様・・・!」
「さらりと私たちの兄を友達から外してるわね・・・」
2934.
「もちろん涼太さんと崇さんにも仲良くして頂いてますが、一応は年上ですからね」
「“一応”とか付けんなよ」
「タメの友達扱いされた方がまだマシね」
「2人の兄・・・? もしやお嬢様を突け狙う不届き輩がいるのですか?」
2935.
「心配しなくても2人ともそんなに興味なさそうよ」
「まぁ私らの親はくっつけたがってるけどな」
「なんですと・・・! お嬢様は可憐ゆえ、嫁に来てもらおうとする親がいても不思議ではないですが・・・」
「いや親は令嬢本人より財産の方が目的だから」
2936.
「ふん、所詮は庶民のたわごとですわ。あのお2人からはサバに対する愛情を感じませんからね、論外です」
「じゃあ何でサバ部に取り込んだんだよ」
「5人いないと部として成立しないからですわ。なお、もう1人の新入部員が見込めない限りあのお2人は卒業できませんから」
「衝撃の事実が本人のいないところで明かされたわね・・・」




