2021/03/06
1250.
「おい、知ってるか?」
「何が?」
「数学の遠藤がおねぇバーに通ってるらしいぜ」
「え、そうなの?」
1251.
「マジらしいぜ。確かなスジからの情報だ」
「私にとっては、美々香って時点で全然“確かなスジ”じゃないんだけど」
「まあ聞けよ」
「そりゃ聞くけど」
1252.
「おねぇバーってことは、おねぇの人が接客するんでしょ? 行く人は行くんでしょうけど、身近にいるとなると驚くわね」
「遠藤のヤツも、普段はお堅い感じなのにオンオフの差が激しいんだな」
「ああいう人ほど普段ストレス溜め込んでるんじゃない? 息抜きの場が必要なのよ」
「みずきってさ、ホストとかにハマりそうだよね」
1253.
「そんなことないわよ。私はあなたの義姉になること以外興味ないわ」
「まだ言ってんのかよソレ」
「当たり前でしょう? 他に何を考えればいいのよ」
「ホストにどっぷりハマり込んだ方がマシに思えてきたな・・・」
1254.
「しっかし、おねぇバーともなればイケメンじゃなくておねぇなんだろ? どんな感じなんだろうな」
「さあ。大学生になったら行ってみれば?」
「そうだな・・・じゃあその時は付き合えよ」
「なんで私まで」
1255.
「いやお前親友を1人未開の地に送り込むつもりか?」
「怖いなら行かなきゃいいじゃないの」
「それだと私の知的欲求が満たされない!」
「だったら自分で探しなさいよ仲間を」
1256.
「仲間なら、目の前にいる!」
「友だちを未開の地に連れ込もうなんて真似をする人は仲間じゃないわ」
「お、次数学じゃん。遠藤来るぞ。ちょうどいい、聞いてみるか」
「え、直接聞くの?」
1257.
「先生!」
「どうしたの満月さん。宿題でも忘れた?」
「兄がおねぇを目指したいって言ってるんですけどどうすればいいですか!」
「30年早いって言っておきなさい」