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699/2000

リリウムさんの下へ

「あの方達、宣伝でもしてくれたんでしょうか」

 サーディライに向かって歩いている最中は誰も寄ってこなかった。なんかそういう盗賊達の情報網とかあるのかな?


「どうみてもこっちが悪者だったからね」

「あれは……言い逃れ出来ないかと」

「おかしいですね。わたくし達が襲われたはずですが、何故わたくしが悪者扱いされているんでしょうか」

「「いやいや……」」

 そんな当然悪者だよみたいな反応をされても困るんですが。エリシアちゃんとフォビオ君に被害が行かない様に守るのに頑張って脅しただけなのになぁ


「とにかくあと少しでリリウム様の治めるサーディライに入れるので、サーディライに入る時に2人にはわたくしの影に入っていただきます」

 街の中に入る時に2人を影の中に入れば、絶対に人と接近しなければならない時でも何とかなる……と思う


「影の中にってどんな感じなの?」

「気になります」

「分かりました。では」

 2人のすぐ近くまで寄ってから肩に手を掛けて下に押し込む


「「ひゃ!?」」

 短い悲鳴を上げたらそのまま影の中に飲み込まれた2人。うおっ、体が結構重くなった……これは戦闘になるのは避けたいな


「真っ暗……あっ、でも外の景色が分かる」

「窓みたいな感じなんですね」

 頭の中から2人の声が聞こえる。これは外に音が漏れないよね


「居心地はどうでしょう?」

「結構良いわね?」

「割と好きな場所です」

 2人には影の中は結構好評のようだ。やっぱりイベントの時と結構変わってるのかな?いや、あれはイベント限定スキルだったし、スピさんの能力もちょっと変わってるのかも


「これ、楽だしこのまま連れて行ってくれる?」

「それは却下します」

「「うわっ」」

 地面をドンと踏むとその反動みたいな勢いで2人が出てくる


「これはあくまで緊急時の為の物なので楽をする為には使わせません」

「え~」

 フォビオ君の方は別に文句は無いみたいだけど、エリシアちゃんの方が若干不服そうだ。まぁクレームは受け付けてないけどね


「さぁ、歩きますよ」

「「はーい」」

 街まではあと少しだ。勝手に魅了してしまうのは厄介極まりないから早い所この2人を何とかする為にも足は止められない




「ふぅー、やっと街ね」

「襲撃がなくてスムーズに進めましたね」

「はい、ではこれから門を通るので影に入ってください」

 もう一回くらい盗賊の襲撃が来るかと思ったけど、誰ともすれ違わなかった。一度【察気術】の範囲内に3人程度の反応があったけど、ものすごい勢いで逃げて行った。あと気になった事が有ると言えば誰ともすれ違わなかった事だが、これはひょっとしてこのクエスト中は海を越えてからは他プレイヤーと隔離されたりするのかな?それならすれ違う人が居なくても不思議では無い


「おう、よくき……た」

「通りまーす」

「なん…えっ」

 おっ?ちょっと待って?今日の門番は男の人と女の人が立ってたけど、何となく近くを通ったらソワソワするくらいかなと思ったけど、ガッツリ見られてジリジリと近寄って来る。この反応は……もしかして2人が影に入っている状態だと魅了の対象がエリシアちゃんとフォビオ君の2人じゃなくて僕になってる?


「どう?怖いでしょ?」

「この感じが嫌で……」

 確かにこのにじり寄られる感じは嫌だな。さっさと進むか


「お仕事頑張ってくださいね」

「「あ、あぁ…」」

 とりあえず挨拶だけして街の中に入る。色んな人に見られ、にじり寄られるという割と嫌な気持ちになったのでいつも通りとっとと壁を登って屋根の上を進む事にした。プレイヤーっぽい人も居るし、やっぱりさっきまでは隔離エリア判定だったかもしれない


「普通に壁を歩いて登るって……」

「どうなってるんですか?」

「どうなってると言われましても、こういう能力があるとしか言えません。後少しですからもう少しだけ我慢してください」

 体が重くなった状態で屋根の上を飛び交うのは中々大変だけどこれで他の人に魅了を掛ける事も無くなるだろう。家の中に人が居たら、ごめん




「よし、やっとここまで着いた……」

 リリウムさんの城の前までやって来た。中々移動が大変だったがやっとゴールだ


「お約束の無い方は……もう戻ってきたんですね。お二人は?」

「ここに」

「「おっと」」

 地面をドンと蹴り、2人を影から出す


「ようこそお越しくださいました。エリシア様、フォビオ様。中でリリウム様がお待ちしています」

「分かったわ」

「行きましょう」

 とりあえずリリウムさんに会うまでは護衛としてついていった方が良いのかな?


「ハチ様もどうぞ」

「あ、はい」

 ついて行っても良いらしいし、一応行くか




「はっはっは!よく来たね!エリシア、フォビオ」

「「リリウム姉さま!」」

 城の扉が開いてそこで待っていたリリウムさんと抱き合う2人。うん、腹違いの姉弟との再会は良い場面だ


「まさか本当にこんな短い期間で連れて来てくれるとは思わなかったよ。ハチ君」

「いえいえ、リリウム様に依頼されたので可能な限り急ぎました」

「そうか。2人とも護衛はどうだった?しっかり守ってくれたかい?」

 一応は守ったけど、あれは良くなかったかな


「うん!敵が来た時はすぐに退けちゃうし」

「なんか凄い飛行船に乗せてもらったし」

「「それに……」」

「それに?」

 おっ、評価はして貰えてるみたいだな。良かった良かった……


「「美味しい血も貰った!」」

「ハチ君、聞きたい事が」

「あ、次のお仕事が」

「ハチ君、聞きたい事が」

 逃げられない奴だこれ



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― 新着の感想 ―
[一言] 無限ループって怖いよね!
[一言] あ、チューチューされるやつだ、ハチ君は干からびることができるかな?
[一言] 完全に恐怖の存在として情報拡散されてる……
感想一覧
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