アーマード・クマ
「おぉ……これは」
ダイビング・デッドマン号に乗って海底火山近くまでやって来た。船から身を乗り出して下を見てみればそこら中噴煙で見え難いし、それなりに距離はあるはずだけど何となく水中が暖かいかもしれない。これ以上近寄れば暖かいから熱いに変わっていくだろう
「これ以上は近寄れねぇ……悪いがここから先は頼めるか?」
「それは良いですけど……これ以上近寄れないならどうやってお宝を見つけたんですか?」
近寄れないのにお宝を見つけるってどうやったんだろう……
「あそこを良く見てみるんだ」
「んー……あっ何か光った!」
海底火山の噴煙に紛れて何かがキラッと光った。あれがお宝かな?
「あれを取ってこいって訳ですね」
「こんな海底でも光る物なら確実にお宝だ。あんな誰も取りに行けない様な物ならかなりのお宝なのは確実だろうな!」
確かに海底で自力で光ってるような物はお宝な可能性が高いかも
「このロープを巻き付けて降りて行けばいざって時は俺達が引き上げる」
デッドマン号に積んでいたロープを取り出して来た。これで僕は降りて行くのか
「ただ、あの煙には気を付けろ。かなり熱いぞ」
吊るされた状態で煙に当たらない様に避けながら潜っていかなきゃならないのか。中々怖いぞこれ
「分かりました。こっちでヤバいと思ったら引き上げてください」
シロクマが体にロープを巻き付けてダイビングというやってる事は大規模なクレーンゲームみたいな事を水中でやるんだな……
「それじゃあ行きまーす【アダプタン】」
「頼んだぜ!」
船から飛び降りて海底クレーンゲームでお宝を入手だ
「おっとと、やっぱり危ないな……」
とりあえずゆっくりと海底火山に近寄って行く。急に噴火されても問題無いようにゆっくりと潜っていたけど、正解だった……前に進もうとしたら目の前にアツアツの泡の柱が現れてもう少し早く泳いでいたら全身大火傷してたかもしれない
「気を付けるのは前よりも下だな」
泡を回避しながら進まなければいけないので中々進めない。そもそも周りが結構温かくなってきた。シロクマコスチュームを着ても温かく感じると言う事はこれはシロクマコスチュームを脱いだらかなり熱いのではないだろうか?
「あの光ってる所までもう少しだけど……これは近寄れないぞ?」
光は見えるが、完全に泡の壁に阻まれている。こんないつ足元から熱々の泡が出てくるか分からない状況で迂回しなきゃいけないのか……
「泡の迷路みたいだな……」
泡に当たらない様に泳ぎながらあの光っている所を目指す。近寄ろうとすればするほど泡の密度が多くなっている気がする。あのお宝本当に取れるのかな……
「ちょっとこれ取れないんじゃないか?」
何とか光の場所を目指して泳いでは居るけどどう考えてもあの光に近付く前に泡の壁で邪魔されて近寄れない。なんか難しくないか?
「いや、これ難しいというより邪魔するように動いてないか……」
この泡、何かの意思によって僕の行く手を阻んでいる気がする。一旦船に引き上げてもらおう
「あれ?ロープ……切れてる?」
後ろを見ると僕とダイビング・デッドマン号と繋いでいたハズのロープが切れていた。これまた帰れなくなる奴では?
「あの泡でまさか焼き切れちゃったのか……」
これは一旦帰還しよう。泡を避けて来た道を戻ればダイビング・デッドマン号の方でも何かしら合図とか出してくれているかもしれない
「おかしいぞ?海底火山から出られなくなった」
泡が増えて海底火山から離れようとしてみたが、囲まれて出られなくなった。普通こんなペースで噴火するものか?絶対に何かが僕の邪魔をしているだろこれ
「絶対に何かある。もしくは何か居る」
この海底火山には絶対にギミックか何かがある。このままでは帰れないから何かしらのアクションを起こさないと生きて帰れないかもしれない
「でも何したら良いんだろう……」
流石に結構危ない状況だけど何をしたら良いのかまるで思い浮かばない。下手に動かない方が良いのか?
「海底火山で置き去りにされるしかないのか」
地面もパキパキと音を立てながら僕に向かってじわじわと地面から吹き出す泡が近付いてくる
「これは意思があると見て良いな。上は泡が広がってるせいで封鎖されている様な物だし、何処かに何かここを超える為の何かがあるはず……そうだ!」
この状況を打破出来そうな存在……僕は契約しているはずだ
「ゲヘちゃん!突然だけど水の中って平気?」
「ヘイキデスガ、ナニカモンダイデモ、オコッタノデショウカ?」
「ちょっと海底火山の噴煙に焼かれそうで助けて欲しいんだよね」
「ワカリマシタ!スグニオタスケシマス!」
「オッケー!カモンゲヘちゃん!」
次の【アダプタン】をすぐに発動出来る分のMPを残してパンドーラを開いてゲヘちゃんを呼ぶ
「オマタセシマシタ!ドウゾナカヘ……ジカンモナサソウナノデ、スグニホゴシマス」
「ちょわっ!?」
呼び出したゲヘちゃんのサイズはそこまで大きくなかったけど、ゲヘちゃんが僕を捕まえてそのまま体の正面が両開きの扉の様に開いて中に収容された
「コレデ、モンダイアリマセン」
「本当だ……凄いよゲヘちゃん!」
シロクマの着ぐるみを着て、更に上からゲヘちゃんを着る……滅茶苦茶厚着状態になったお陰で噴出する泡が熱くなくなりました