押し弱
「にしても、ハチ君の新しい武装は凄いな……他の人への支援に特化してる様に見えつつも、しっかり自分が使っても問題ない様に作られている」
「普通はそんな風に他の人に自分の武器を渡すみたいな事はしない。皆自分の武装を解除する隙を戦場で晒す事自体意味が分からないだろうからな……」
「でも、元々武器無しで戦ってきたハチ君だから取れる動きではあるな……これは本当に難しい武器だ。私達では到底使いこなせないだろうな……」
帰り道でロザリーさんとハスバさんが改めてデザイアを見たいと言って来たので、渡して見せている。色々唸りながら見てるなぁ……
「ハチ君は他の人にあの武器を渡す事に抵抗はないんですか?色んな存在と協力して作ったみたいな事を話してましたが、そんな大事な武器をそう易々と……」
「信頼してる人に渡すのに抵抗なんてありませんよ。むしろ協力して戦うって時に武器の性能は知っておいてくれた方が協力もしやすいですし?後は……僕以外があの武器を使おうとした所で本当にしっかり使いこなせるのか?というのも気になりますから。僕以上に扱えるならそれは普通に僕にとって学びになりますし?」
アイリスさんが若干心配そうに言って来たので、そう返した。実際に別の誰かがデザイアを使いこなせるのであれば、僕にとっても嬉しい事だ。その人の使い方を真似する事で僕にも新しいアイディアが生まれる事になるし、デザイアが無い状況での戦闘自体は今までと何ら変わりない。奪われたら奪い返して技術を吸収するだけだ。だからこそ、ちょっとくらいなら奪われても良いかなとは少し思っている。勿論愛着は有るけどね?僕自身の成長にも繋がるから、1回位は奪われても良いかも……
「す、凄いですね……私はイクエちゃんを取られるみたいな事になったら絶対に取り返します!」
「あぁ、その点はデザイアもそうだよ。持って行かれるのは困る。でも、デザイアの新しい戦い方とかの参考になりそうなら一旦奪われて使われるのはアリかなくらいだよ」
勿論イクエちゃんみたいな刀を持って行かれる状況は絶対に止めるだろう。でもデザイアは……多分下手をすると瞬間移動的な感覚で脱獄させる事が出来る可能性もあるからなぁ……ある意味武器版の僕みたいな?
「な、なるほど……しっかりとした型の有る斬り方だけじゃなくゲーム的な動きを取り入れるみたいな感覚を敵が奪ってくれたらやってくれるかもという思いで敵に取られても大丈夫と……」
「何処まで行ってもそれは現実の能力だからね。ゲーム内の事はゲーム内で学ぶべきかなって」
勿論、武道という観点からしっかりと作られた型があって、それはリアル知識として使える物だろう。でも、ゲーム内ならではみたいな動きや力は自身で想像するか、実際にゲーム内で遭遇するしかない。そうなってくると、より多くを学ぶ為にあえて敵に武器を渡すという選択肢も僕の中に出て来る
「何と言うか……ハチ君って恐怖心とか無いのかなって思っちゃうんだけど……」
「恐怖心かぁ……あるとは思うけど、それよりも好奇心が勝るって感じかなぁ……」
武器を取られるって事よりも、僕から奪った武器を僕以上に扱えるのなら、僕でも同じ事が出来るんじゃないか?って思えるし、まぁ、なんか未知の化け物とかだったら、素材も気になるけど、意思の疎通が出来るのかとかも気になっちゃうし……まぁ、喋れるかどうかは結構大事なファクターではあるなぁ
「凄いね……私はそこで一歩が踏み出せないよ」
「そうかな?アイリスさんは全然一歩踏み出せると思うけど……」
「どうしてそう思うの?」
「だって、アイリスさんは真っすぐだし、仲間想いで囮とかもかって出れるタイプでしょ?見えない所で努力とかもしてるだろうから、大事な場面で1歩踏み出せるタイプだと思うけどなぁ……」
「……」
黙っちゃった……なんか悪い事言ったかな……?
「あ、あの……もしかして違ってたかな?」
「い、いえっ!何でもないです!」
そそくさと顔を隠す様に走るアイリスさん。うーん、もう少し良い褒め言葉とかあったかなぁ……
「僕から見た雰囲気で言ってみたけど、実際はもう少し違う物だったかな……うむむ……女性を褒めるのって難しいな」
綺麗とか可愛いだけじゃダメだって親に言われたけど、そうなって来ると『褒める』を伝えるのも難しいぜぇ……
「ハチ君!このデザイアってこういう運用だと……」
「あ、それならこうする事でパーツを節約出来て、これにブーストを……」
「なるほど!そうなって来るとまた話が変わるなぁ!」
そんなこんなでアイリスさんへの褒めを間違ったかなぁと考えていた所でハスバさんがデザイアの組み合わせで出来る武装の形について相談をしてきたので、その相談に答える事にした。これも形状変化というか柄を伸ばしたりする事でパーツを節約とか出来るし、逆に畳む事で、小型で1つに集約とかも出来るから、結構奥深くて楽しいんだよなぁ……




