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不確定の一撃

「そうだな……通りきらないというか、物体が通過中の状態であればまだ何とかなるかもしれん」

「通過中?」

「通り抜けるとなると流石に問題が起きるから出来ないにしても、例えば、ポータルに剣を差し込む時にそのポータルの出口が複数あれば、通過中ならまだどれに行こうか決める為にその結果が決まる前として一時的に増える……なんて事が有っても……おかしくはない。流石にそれは事故が起きると大変だからやった事がないな」

 まぁ、普通に考えて入口1つ出口1つのトンネルを通る様な物なんだからそれの出口を複数増やした所で1つしか選べないというのは当然なのかもしれない。でも、僕に完全にそれは無いと言わない辺り、ヘックスさんも優しいな


「完全に通り抜けるとしたら、その行為を世界で確定する為に入口から出口に出るだけだ。だが、通過中であれば、まだ何とか……いや、うーむ……」

 流石に無理な物は無理と言って良いだろう。僕もあまりにも無理難題を言い過ぎた


「ヘックスさん、推奨出来ないなら推奨出来ないって言ってもらって大丈夫ですよ。やった事が無いなら試してみる!でしょう?」

「そうだな。確かに。だが、実験するのであれば、まずは安全に気を付けて行うんだぞ」

「勿論です」

 ポータルの入り口1つと出口複数を作った場合。同時に攻撃と通したり出来るのか。これが上手くいけば、範囲攻撃とかにもかなり役に立つんだけど……どうかなぁ?


「じゃあ、やってみましょう」

 幸いにも実験自体はすぐ出来るし、ポータル発生装置を複数台用意してやってみる事にする


「まぁ、まずは石ころとか使ってみましょう。よっと」

 石ころをポータルに放り投げてみる。すると……


「うおっと!?おぉ、ビックリした……」

 石ころがポータルに入った様に見えたけど、出口の方で用意した複数のポータルから出ようとしていた石が、何らかの膜の様な物に阻まれて僕が石を投げ入れたポータルから物凄い反発で戻って来た


「なるほど……つまり、1つの物を投げ入れたけど、出口が3つあってそのどれもが繋がっているせいで逆に出られなかったと……次は棒を試してみよう」

 物理法則……というのもここまで来るとおかしな物だけど、ポータルで物資無限増殖みたいな事は出来ない様になっているみたいだ


「はいはいはい……こういう風になる訳ね。通ってる間はまだ入り口も開いているから反発自体も少ない訳か。何て言ったら良いんだろう?物事が確定していない状況?シュレーディンガーの猫みたいな感じかな?」

 物体が完全に通過してしまっていたら、それはポータルを通ったという事由を確定してしまうけど、通っている最中ならまだ確定していないから各ポータルからなんか若干半透明な棒が出ている。そこに有るかないかまだ確定していない状態なのか、不思議な状態だけど……これはつまり、物理攻撃の手を増やせると見て良いな?


「多分ビームとか魔法は受け付けないとして、物理の攻撃であれば、これはかなり優秀な気がするぞ?」

 この複数のポータルを利用した攻撃なら、遠距離の複数の敵に対して近接攻撃を行えるというある意味ぶっ飛んだ攻撃をする事だって可能な訳だ


「一応、この状態での威力チェックもしておこう。さてさて……」

 棒だし、ポータルに入れないとそもそもポータル先に攻撃とかも出来ないから基本は突き攻撃のみかな


「ふむふむ。威力もそのままキチンと反映されてるみたい。良かった。半透明だし、威力も半減だったら困る事になる所だった」

 不確定状態の一撃はしっかり元の攻撃と同じ威力が出るみたいだし、一安心だ


「それじゃあ……」

「っておぉい!?何してる!?」

 棒での検証が終わったから今度は片腕をポータルに突っ込んだら、ヘックスさんが走って来て僕をポータルから引き離した


「え?いや、戦場での使用を考えたら、棒を使うんじゃなくて、まずは僕の腕での攻撃かなと思いまして……」

 ポータルパンチで複数の相手に攻撃出来るかどうかは非常に大事な事だと思うし、何よりこの安定した状態で使えないなら戦場で使うと、急に腕が無くなるなんて事になったって不思議じゃない。まぁ、ゲームの世界だからこそ、欠損部位の即時修復が可能な回復アイテムとかもある訳だし、こういうのはチャレンジしなきゃ


「もう少しそういう事をするなら段階をだな……」

「すいません。どうしても戦場での使用を考えたら試したくて……」

「次からは何をするか言ってから行動してくれ……こちらも驚いて機能停止しかけたぞ……」

 そんなに驚かしてしまったか……それは悪い事をしたな……


「分かりました。ではちょっと戦場での扱いを考えて手や足を入れてみます。これは確認しないといけない事なんで……一応。この回復アイテムをヘックスさんに渡しておきますので、僕が事故ったら使ってくれると助かります」

 ブレッシングドロップなら回復量も多いし欠損が起きても大丈夫だろう。腕や足が飛んだとしても生えて来る。そういう特殊な環境だからこそ、自分の体を使って実戦でも使えるのかしっかり検証しないと!



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― 新着の感想 ―
自分の身体を使った人体実験に踏み切るのに躊躇が無さすぎる……
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