友雪
「それじゃあ、これは買い取ってもらって、何か買ってみようか」
「分からなければ聞いてくれれば教えますよぉ」
どんな商品なのか、大体の物は僕も分かるけど、僕も分からない物も並んでいる。普通にアレは何だろう?
「すみません、あの時計みたいな物って何ですか?」
「あれは、カイロですよ。中に魔力を蓄積して、その魔力を熱として放出するのですが、これを持っておけば、水も作ろうと思えば作れますからねぇ。今の自分の魔力を使わなくて良いという点で言えばそれなりに使えますが……これも大分旧式になってしまいましたから、今はもっと小さくて軽い物になっていますよ。なので、これはかなりお安くしておきますよ」
魔力蓄積と熱にして放出か……まぁ、熱に関しちゃもっとヤバい物を既に持ってはいるなぁ……でもデザインは結構好きだな
「これは?」
「これはランタンサック。背負うと普通の荷物が入るリュックサックだけど、休憩する為に置けば光るからどうしても夜間までに帰れないって時には役に立つよ。雪に埋まったけど、この光のお陰で助かったって人も居るからねぇ……」
ふむふむ、アイデア商品みたいだけど、この地でランタンが必要になるまで散策する事はかなりの危険行為だろうから、これを使う事自体危険を伴うとは思うが、テントとかで、荷物を置くだけで明かりがつくのは荷物の削減にも繋がって良いな。インベントリが無いのなら、どれだけ持っていく物を減らせるかで持ち帰れる物を増やせるかにも繋がるし……
「これは何だ?」
「それは雪のお守りさ。ここで暮らす為にも雪との付き合いは避けては通れない。だからこそ、雪や寒さに一種の敬意は払うべきという事で、昔から作ってはいるんだけど……どちらかと言うと、今はあの街の心臓の方ばかりに信仰が行きがちだね……」
なるほどなぁ……確かにここに住むならあの温かさをくれるストーブ的存在は大事だけど、多分この街の水とかは雪を溶かして使っていると思うし、寒さのお陰で物も腐りにくいだろうから雪にも敬意は必要だよな。このおばあさんは少数派になってしまっただけで、昔はもっと雪にも敬意を払われていたのかもしれない
「やはり、この店に来て良かったと思う。こうして雪に敬意を払う者が居ると分かったのだから」
「そうだね。人間にとっては大変かもしれないけど、この雪のお陰でボクらは力を使えたりするんだから」
そして、スカディさんとジャックの二人はお互いを見たと思ったら静かに頷いた
「今後街には寄ろう。その時はここに寄らせてもらうし、売買もさせてもらう」
「ギルド?とかが出張って来ても、ボクらはおばあさんと取引がしたいからちゃんとおばあさんが来てね?」
「あらあら、そんな事良いのかしら……」
「良いんですよ。おばあさんが良い人だからこの2人が気に入ったって話ですし」
ギルドがどんな動きをするか分からないけど、3人位ならいつでも空島は受け入れよう
「あの様な存在に出会えて、それにこうして色々入手出来るのなら行ける時は行ってやらねばならないな……」
「まぁ、お店の裏に雪があって助かったよ。アレならすぐに移動出来るからね」
ジャックの雪ワープで移動するのが楽だろうから、これならすぐに物を売ったり買ったり出来る訳だ
「あのおばあさんには感謝しなきゃ……」
僕は買い物の補助くらいだと思っていたけど、おばあさんが2人に話しかけて、2人が応えてを繰り返して、いつの間にかジャックがスカディさんと一緒にこの店にやって来るのが決まっていたし、その当の2人も別にそれは嫌じゃなさそうだから、これは僕が居なくても問題無く回りそうだな
「今日はありがとう。お互いに認識の違いやら恥ずかしい誤解やらを解消して貰えた。これは2人に礼として受け取ってもらいたい」
スカディさんが改まって何かを渡して来た。これは……
「それはボクもだよ。ボクからも……って被っちゃったね」
デザインが少し違う雪のお守りが2つ。どうやら2人とも雪のお守りを買っていたみたいだ
「うーん。それじゃあ、これは2人からのお守りだし合体してみるか【フュージョナー】」
すっごい罰当たりかもしれないけど、お守り2つを合体させてみる。どうなるかなぁ?
『友雪ノ護 2つの異なる雪のお守りを組み合わせたお守り。持っていれば、NPCとの友好度が上昇しやすくなる。 会話も雪解けの様に進むと良いですね』
雪の友達と融雪を掛けてるのかなぁ?
「おぉ、良いじゃないか!私のも頼む!」
「あ、ボクも!」
そういう事で2人の分のお守りも一緒に友雪ノ護にしてあげた
「ジャック。今まですまなかった。これからは仲良くしよう」
「そうだね。スカディさん。これからは仲良く、協力していこう!」
『特殊クエスト ラブ・フロスト をクリアしました』
特に報酬らしい報酬が無い……とも言えないか。多分今度シクサーム近辺に来た時とかこの2人に色々協力してもらえるだろうから、それが報酬かも
「よし、それじゃあ僕は帰るかな」
終わったなら帰るとしよう
「待てハチ。確か空島に居ると言っていたな?」
「折角ならハチの所も見てみたい!」
まぁ、そうなるかぁ……




