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囮カゲロウ

 その者白きローブをまといてファステリアスの地を駆けまわるべし……


「居たぞ!白ローブだ!」「追え追えー!」「アハハッ!」


 アルター初の公式イベントにて、無制限ソロ部門の2位となったエントリーナンバー815(ハチ)。その戦いぶりや、名前等を隠している事から興味を持った者達がハチの捜索をしていた


「彼も大変だな、一気に人気者だ」

 白いローブを着ているハスバカゲロウがファステリアスの街を駆けまわる。ハチの為に囮としてファステリアスの街で注意を引く


「君ー!まだクランに入ってないよねー!」「ウチのクランに来ないかー!」「また戦おうよー!」

 勧誘。今まで無名だったハチが他の有名なプレイヤーを倒し、2位になった事で囲おうとするプレイヤーも居る……再戦を望むプレイヤーも居るが


「ハチ君ならクランには加入し無さそうだな……彼はもっと自由な存在だ」

 ハスバカゲロウもハチとは少ししか一緒には居なかったが、ある程度のハチの気持ちは分かっているつもりだ。だから構わず走り続ける


『作戦プランBを発動する。準備は良いか?』

 この白ローブを作ったプレイヤーにメッセージを送る。面白そうだから協力すると何着か作ってもらったので、私も数少ないフレンドをファステリアスに呼び、ローブを着て走ってもらおう


『いつでも良いよー。待機している人全員出しちゃう?』


『あぁ、頼む』

 これでファステリアスの街に5人のハチ君モドキが放出された。まぁデカかったり、小さかったり、尻尾が生えていたりとハチ君と全く同じ姿の奴は一人も居ないが、白ローブを着ているという事で勘違いさせる事は出来るだろう。これぞプランB『6人のハチ君作戦』だ


『各々捕まらない様に頑張ってくれ。捕まっても事前に決めた言い訳で切り抜けてくれ』


『はいよ』『了解』『ぜってぇ捕まらねぇぞ!』『分かりました』『ヤバーい!掴まりそう!』


 仕方ない。『()()のハチ君作戦』はもう始めてしまったので出来るだけ時間を稼ごう




「くっそ速ぇ……どこいった?」「捕まんねぇ!」


『こちらダイコーン。ボスの所に着いたぞ?』

『了解、救援相手に連絡しておくから待っていてくれ』

 大体の人は撒いた。それにダイコーンからの連絡も来たことだし、路地でハチ君にメッセージを送ろう


『救援の者が今ボスの場所に着いたらしい。狼を連れている男が救援の者だ。合言葉は「動物、好きかい?」って聞かれたら「うん、大好きさ!」だ。そいつと一緒に行けばセカンドラの街にいk』

「見ぃつけた!」


 文が途中だったが、見つかってしまったのでそのままメッセージを送り、また逃走を始める。大事な部分は書けたから大丈夫だろう


「危なっ!?」

 逃走しようとしたら目の前の地面に上から斧が降って来た。街中で合意無しの戦闘行為は出来ないはずだが……戦闘の為では無く、妨害の為に先に逃げそうな方向に斧を上手く落としたのか……システムの穴をつくのが上手いな


「あれぇ?よく見たら全然違う……ごめんなさい人違いだったー」

「あ、あぁ……気を付けてくれよ?」

「何処に行っちゃったのかなぁ?」

 斧が少女の手に戻っていく。いや、この顔……βの時に居たな?髪がピンクだから妹の方か……これはまたとんでもない人に目を付けられてしまったな?ハチ君


「ところで、あなたみたいな白いローブを着て、ついでに黒い仮面付けてた人を探してるんだけど、知らない?」

「あ、あのイベントに出ていた奴か?俺もアイツがカッコよかったから恰好を真似してたんだ!」

 カッコいいプレイヤー、可愛いプレイヤーが居たらそれの真似をするプレイヤーというのも少なからず出てくるだろう。だから捕まったとしてもソレを言い訳に解放されると踏んで今回の作戦を決行した


「ふーん?そっかー……」

「お嬢さんもアイツのファンじゃ無いのか?」

「そう言われればそうかもー!」

「ファステリアスに居るって聞いたんだけど……見つからないんだよなぁ」

 勿論でっち上げだ。勘違いさせる事でこの目の前の災害(ディザスター)もファステリアスに留め、ハチ君が逃げる時間を稼ぐ


「やっぱりここに居るんだ!」

「あっ」

 もう少し留める為の嘘は用意してあったが、あっという間に何処かに走っていってしまった。これはやり過ごせたと考えて良いのだろうか?折角いつもとキャラを変えて対応したんだが……




『こちらダイコーン。ハチ君は泉で何処かに飛んだ。作戦は完了だ』

 待っていた一報が届く。掲示板でも「ファステリアスに奴が居るっぽい」的な情報がちらほら見えていたので引きつけには成功していたようだ。セカンドラにモヒカンと可愛いシロクマが居たという情報もあるので多分ダイコーンとどうやったのかは分からないがシロクマ?になっていたハチ君なんだろう


『ハチ君は凄いな?ハチ君のお陰でサーディライから先に進む為に使えそうな虫除けの匂い袋を入手したぞ?』

「本当に彼は何か引き寄せる力でも持っているんじゃないだろうか?」

 サーディライから先に、第4の街に進む為には魔蟲の森を越えなければならない。だが、そこで出てくる虫は量が尋常では無く、今はまだ進めなくてアプデされるのを待つしかないんじゃないか?という話も出ていたくらいなのにそれを突破出来る可能性があるアイテムが出てきたというのはそういう力を持っているんじゃないかと思ってしまっても不思議では無いと思う



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― 新着の感想 ―
なんだかんだ漢のハスバである
[一言] 少し話し方と装備を変えるだけでプライバシー設定も変えずにバレないって普段のカゲロウさん相当濃いんだなぁ...
[一言] ヤバいピンク髪にロックオンされて居たよ主人公ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!。 そして、無難な対応をするなんて、変態忍者は何か変なものでも食べたのかな?。
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