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グリム・ライト  作者: 紅零亜種
第2章 聖騎士と魔導士
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港にて

 ゼロとゼーラが老人と話しているのと同時刻、トラキアの港の宿屋、青の鎧や軍服を身に着けている集団が慌ただしく荷物をまとめていた。


「ガー!ほんま、ムカつくわ!なんなんあのシノビとかいう連中!人が戦ってるところ横からねちねちと~、思い出しただけでも腹立つわ」


 宿屋の一室で荷物を整理していた蒼の団の聖騎士たちは、先日の東の国での任務を振り返っていた。特に一人の若い女性聖騎士が不満を爆発させている。


「落ち着けよ、隊長殿。シノビは確かに厄介だったが、任務は達成したんだ。それでいいじゃないか」


 年長の聖騎士が宥めるように言ったが、若い女性聖騎士は納得していない様子だ。

 彼女の名はルミナ。蒼の団の中でも特に優秀な聖騎士であり、【蒼の団】の団員の一人でもある。その美しい金髪と青い瞳は多くの男性聖騎士の憧れの的だが、今はその美貌も不満で歪んでいる。


「でもさぁ~、あのクソ団長はアタシらのことはお構いなしに敵陣本陣に突っ込んで部隊の統率しないっておかしくない!ほとんど副団長が指揮してたんですよ、どっちが団長っだって話ですよ!」


 ルミナはさらに不満を口にする。

「そう思いますよねゼン副団長?」


 ルミナの問いかけに、部屋の隅で黙々と荷物を整理していた白髪の青年が顔を上げた。彼が蒼の団の副団長、ゼンだった。


「団長は常に先陣を切るタイプだ。それがあの人の強みでもある」


 ゼンは冷静な声で答えた。


「ゼン副団長の言う通りだ。キース団長は常に前線に立つ。それが彼の魅力でもあり、そしてそれが我々【蒼の団】の戦い方だろう」


 年長の聖騎士が頷きながら言った。


「それにしても優柔不断が過ぎるんですよあのバカ団長。そもそも私たちが遠征から帰ってきたのも【会議】に参加するためなのにあのバカ団長ときたら『すまん、あと数日はこの港に滞在するわ』って、え、バカなの?会議まであと数日しかないんやよ。あの人、日付感覚ないん?」

「バカ団長じゃない、キース団長だ」


 ゼンは冷静に訂正したが、ルミナは聞く耳を持たない。


「バカでもなんでもいいですよ。そもそも《会議》って何のために開かれるんですか?今さら決めるべきことなんてないじゃないですか」


 年長の聖騎士がため息をつきながら答えた。

「今回の《会議》は特別だ。ギル団長が招集したという噂もある。俺も人聞きだから確かではないが、どうやら紅の団のラグーン分隊長が何者かによって倒されたらしい。」


 それを聞いたルミナは目を丸くして驚く。

 ラグーンは紅の団の中でも聖剣に見定められた数少ない実力者の一人として知られていたからだ。


「はぁ!?それは何の冗談だよおっさん、あのラグーンが誰かに倒されたって?」

「詳しいことは分からない。ただ噂では、ラグーン分隊長はとある人物を追っていたようだが、その時にとある魔導士と遭遇したらしい」

「魔導士?」

「ああ。当時現場にいた兵士たちは口を並べて言っていたな。『死神が返ってきた』ってな」


 その言葉を聞いた瞬間、部屋の空気が一変した。ゼンも顔を上げ、真剣な表情になる。


 「ゼロ・グリムロード……」


 ゼンが呟いた瞬間、部屋の空気が一気に緊張感に包まれた。ルミナは信じられないという表情で椅子から立ち上がった。


「冗談でしょう?その人って五年前の魔族との戦いで死んだって言われてたじゃないですか!」

「あくまで噂だろ。だが、もし本当なら我々も本腰を入れなければならんだろうな」


 年長の聖騎士が深刻そうな顔をする。ルミナはまだ信じられないという表情をしていたが、ゼンの表情は何かを考え込んでいるようだった。


「それなら尚更こんなところでぐずぐずしてたらアカンやん。早く王都に向かわんと、こんな時に、あの団長はどこにおるんや?」

「あぁ、そのことなんだが……、先ほど団長のいる部屋に行ったんだが……」


 そう言って年長の聖騎士は、恐る恐るルミナに一つの紙を見せた。そこには団長の文字でなぶり書きされた言葉が記されていた。


『ちょっと用事があるから、先に王都向かってくれ』


 その紙を見たルミナは、その白い肌を赤く染めながら怒りの表情を浮かべた。


「あのクソ団長‼」


 ルミナは叫びながら宿屋を飛び出していった。その後を他の聖騎士たちが慌てて追いかける。

 ゼンはその様子を静かに見守りながら、窓の外に広がる海を眺めていた。


「ゼロ……まさか君もこの国にいたんだね……」


 彼の目には、何かを思い出すような遠い光が宿っていた。


毎度、毎度不定期ですまない。

私頑張るよ。

次にの話で戦闘があるかも

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