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グリム・ライト  作者: 紅零亜種
第4章 アヴァール会議
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会議の始まり

 このアヴァール国にはとあるルールが存在している。それは、国の方針や法律を決める際には必ず国王を含めた4名以上の会議による採決を行うことだ。これは王政を行っている国としては異例なことである。しかし、この決まりがあるおかげでこの国は他国に比べて比較的民主的な政治が行われていると言える。また会議を開く権利を持つのは王だけでなく、騎士や貴族にもその資格はある。

 だが、開催するには同様に権利を持つ者3名以上の同意がなければならない。そのため、この権限を持つ者には実質的にこの国のトップであり、かつ、その権力の大きさから、国民からの信用度も高いものに限られ、その印としてこの国のエンブレムでもある鷲の紋章を身に着けることが義務づけられている。

 現在この国でその紋章を身に着けることができるのは11人存在している。【国王】エラスト・リィ・アヴァール、【第一王女】サヤ・リィ・アヴァール、【第二王子】カイニス・リィ・アヴァール、【聖騎士団聖騎士長】ガレス・アルバート、【紅の団団長】ギル・ファースト、【緑の団団長】ライラック・セカンド、【紫の団団長】ベルナール・サード、【蒼の団団長】キース・ラスト、【聖堂協会最高顧問】ベール・ロッドとカリベル・ルック・マロリー、そしてもう一人────。





「よう、ギル。よく寝れたか?」

「ああ、おはようキース。まあ、そこそこかな」


 ギルはそう答えるとキースの隣に立った。また、キースの後ろには彼の部下である二人が控えていた。


「相変わらず堅苦しいな~ギルは。まあ、お前らしいけどな」


 キースは笑いながらギルの肩に腕を乗せた。


「朝から暑苦しいぞキース」


 ギルは鬱陶しそうに振り払った。


「はいはい、そういえばお前んとこの副団長や他の連中が見えないが、お前、ついに嫌われたんじゃねぇか?」

「んな、キース団長と違ってギル団長のような非の打ち所がないお方が嫌われるはずあらへんやろ」


 キースの後ろで控えていた金髪の女性聖騎士のルミナが呆れ気味に言った。


「そうですよキース団長。ギルさんは厳格な人ですから尊敬の眼で見られはしても団長のように陰口を言われることはないでしょう」


 同じく白髪の青年聖騎士のゼンも続けて言った。


「お前ら、なんか今日俺に対して辛辣じゃないか?」


 キースは二人の発言に苦笑いを浮かべた。


「お前の団は仲が良くていいなキース」

「そうか?まあ、悪くはないと思うぜ」

「そうなのか?」

「ああ、うちは団員同士距離感が近いんだよ。まあ、悪い奴はいないしな」

「そうか」


 ギルは納得した様子だった。


「今回はすまないねルミナ聖騎士。本来であれば会議の際の護衛は我々【紅の団】が受け持つはずだったのだが、あいにく他の任務が重なってしまってな。代わりに君や他の団の聖騎士に頼むことになってしまった」


 ギルは申し訳なさそうに頭を掻いた。


「いえ!そんな!気にせんでください!むしろ、私みたいな新米に大事な会議の護衛を任せてもらえて嬉しいくらいです!」

「そうかい?それならよかったよ」

「はい!任せてください!ウチもギル団長に負けないよう頑張ります!」

「はは、頼もしい限りだよ。じゃあ、行こうか」


 ギルたちは会議室に向かって歩いて行った。扉の前には紫の鎧を着た巨漢が扉の前に立っていた。巨漢はギル達を見ると敬礼をした。


「それじゃあルミナ、見張りよろしく」

「もちろん、ウチが責任もってネズミ一匹入れへんで」

「そうか、でもあんま気ぃ張りすぎんなよ」


 キースはそう言ってルミナの頭をポンと叩いた。


「ちょ、子ども扱いしんといて」

「はは、わりいわりい」

「まったく……」


 ルミナは頬を膨らませながらもどこか嬉しそうだった。


「ほら、早く行くぞキース」

「はいよ」


 ギル達は部屋の中に入っていった。部屋には大きな円卓が置かれており、すでに多くの人間が席についていた。


「やっと来たわねぇ、もう遅いんだから」


 先についていたベルナールがそう声を漏らすと、キースが反応して口を開いた。


「へいへ~い、時間通り来たんだから別にいいだろうが」

「あなたねぇ……。もう少し立場というものを考えなさい。私達の品位が疑われるじゃない」

「まあまあ、いいではないですかベルナール殿。今回は珍しく遅刻しなかったのですから」


 ベールが微笑みながら言った。


「そんなことはどうでもいい!早く会議を始めんか!私とて暇ではないのだぞ!?」


 カリベルが机を叩きながら叫んだ。


『そうカリカリしなさんなよカリベルの旦那、そんなに怒ってると小じわが増々増えちまうぜ、なぁドラちゃん?』

「………?」


 ライラックがそう言い後ろで待機している緑髪の女性に声を掛けたが、彼女は何も言わず首を傾げただけだった。


「おい、貴様今なんと言った……?」

『えっ……?いや、だからそんなに怒ると小じわが増えちゃうよってオジさんなりの気遣い?』

「ふざけるな!!誰が小じわだ!!」

『えぇ……だって実際そうじゃん』

「黙れ無礼者!!!」

『ひゃーこわっ』


 ライラックはわざとらしく体を震わせた。


「二人とももうすぐ王子が到着します。私語は慎んでください」


 ギルがそう言うと二人は渋々と引き下がった。


「……相変わらず騒々しい人たちだ」


 ギルは小さくため息をつくと空いている椅子に腰かけた。


「それで、今日は何を話し合うんだい?いつもみたいに定例報告会ってわけじゃねぇだろ?ってことはあの件についてか?」

「そうだよ。まずは王子が来るまで少し待とう。それから話はそれからだ」


 ギルがそう言うと、部屋の中に沈黙が訪れた。

 その時、部屋の扉が開き、聖騎士長であるガレスとともに一人の少年が現れた。その姿を見て皆立ち上がり、敬礼の姿勢を取ろうとしたが、少年は手でそれを制止した。


「ああ、楽にして構わない。この場において皆平等でなけらばいけない。」


 そう言って少年、カイニス王子は部屋の奥の方に座った。するとそれを見ていたガレスは王子の横の空いている椅子に座った。


「さて、早速だがこれより【アヴァール会議】を行う。皆、有意義な議論を期待する」


 カイニスの言葉と共に、この国の未来を決める会議が始まった。


ここまでまだ主人公が姿を見せていない???

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