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飼い猫は悪役令嬢を宥める

 さ、あの婚約者──いや、元婚約者の元から帰ってきたさね。


 マーガレットはまだ眠っているけれど、起こした方がいいかもしれないねぇ。

 アンタは望まないかもしれないけど、この世界にはアンタが必要なんだよ。


 アタシが一撫ですると、膝の上の黒毛が目を覚ました。

 んにゃーにゃーと必死に鳴くアンタはまだ状況が飲み込めてないね。

 アンタ、アタシと魂を入れ替えたんだよ。


 安心しな、あの男を気にする必要もあの子を憎む必要もないさね。

 あの子はアンタが大好きなんだよ。


 ほら、聞こえるだろう?廊下を駆けてくる足音が。


「マーガレット!ごめんなさい、私の愛が圧力になってたのよね?安心して、私公爵家から廃嫡してもらうから身分なんて気にしなくていいわ!」


 ……ちょいと、この子は病気かもしれないね。

 あの家族愛が深い公爵家が政治的にも、家族的にも光の聖女を手放すはずがない。

 でも、アンタのことがだいぶん好きなようだよ。

 今まで見てきた中でだいぶ重いさね。いろいろと。


 ま、公爵令嬢兼光の聖女が言うことは、たとえ王様でも無碍にはできまい。

 アンタは守られるんだよ。だから、安心していい。

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