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シンキングタイム④

サボりたい


もっちゃもっちゃもっちゃ

片手ではやや大きく感じるハンバーガーを頬張りながら共有された視覚を逐一確認する。

やや甘みのあるタレが脳を活性化させたように感じる程明確に疲れていた。

ここ2日間一切眠らず監視していたが手掛かりは掴めていない。

もしかしたら本当に今までの連続殺人は偶然殺しきっただけで殺し切るまで追い込まなくても満足するタイプなのでは?と考え始めている。


動くならとっくに動いているはずなのに動いていない。

想定している犯人の考えが本当に合っているのなら動いていなければおかしい。だが、想定外なら修正して考えればいいだけだ。


「今回は殺して隠蔽しちゃったら逆に不安煽りそうだからやっぱり半殺しにして法に任せるしかないかぁ」


ネットでは遺族達の犯人への切実な刑を望む声が上がっている。


「まずは犯人を見つけて山に連れ込む、そして熊や猪等の動物全て使って半殺しにする。止血する必要性が生まれたら私がするしかないし指紋で捕まるかもだから無し!突進させて足の骨砕くくらいかね?

 骨飛び出るほどやると失血死しそうだから膝の骨熊とかの体重で割るくらいか?いや待てよ?内出血でも失血死するか?」


医療の知識の無さで私からの復讐が止まりそうになっている。


「い、いや!体外に出ているわけじゃないから……あかんどう考えても血管やったらどっちにしろ失血死する未来しか見えん!!」


太い血管をやってしまえば直ぐに死んでしまう。

手首とか食いちぎられた程度なら手で押さえたり紐で縛れば止血は多少なりとも出来る。


「あ、そうだ、犯人を街で見つけたらすぐに晴信とかの熊を街に流したら偶然襲いましたって出来るんじゃ?」


街で熊に偶然装って襲わせたパターン

私が山で半殺しにしたパターン

どちらの方が楽かと問われればどう考えても前者だ。

直接自分で半殺しに出来ないのは癪だが私自身が捕まるリスクを考えれば熊に襲わせた方が良い。


「よし!そうと決まれば熊達の中で都合が良い個体を見繕って襲わせよ!後は犯人の顔が分からないから分かるように事件が起きて烏とかで襲って時間を稼いだ後熊に襲わせよう」


このルートを想像してみるが私が捕まる未来が想像出来ない。

不満は残るが確実性のある計画に思わずニヤけてしまう。


「ふっふ、楽しみ………………だ」


共有された視界の中で人気の少ない場所で不審な人物がいるのが見えた。


「っ!!!」


反射的に立ち上がり走る格好に着替えると母親に走って来るとだけ伝えてその不審な人物がいる人気のない場所に向かう。

口では事件が起きてから時間を稼いで熊で罰を与えると呟いておきながらいざ共有された視界内で事件が起きそうになると体が動いてしまった。

目的の場所まで約2キロ。

本気で走れば6分で着きそうな距離。


アップ無しの全力疾走は心臓と肺を痛いくらいに酷使する結果になる。

しかし一直線ではなく街中で曲がり角もあり実際に現場まで向かう時間は6分には収まらず7分、車などの交通の具合で8分9分掛かる可能性もある。


だが今はそんな事は考えていない。

ただひたすらに全力で向かい事件を事前に止める事しか頭に無い。

少しでも遅くなる可能性を排除する為ほんの少し遠回りのコースを走る。

距離は2.2キロと200mほど距離が伸びるが車が通らず人もこの時間帯なら少ない河川敷だ。

不審人物も実際ただの不審人物なら私の思い過ごしで終わるから良い。




共有された視界内の不審人物の手が収められているポケットからほんの一瞬ナイフが見えた。


「ビンゴぉ!!!!!」



─────────────────



「嘘ついて部活サボっちゃったぁ…………」


はぁ

思わずため息が出る。

サッカーのレギュラーも外れてしまいここ数ヶ月まともに楽しめていない。

人生で初めての挫折に心が折れそうだ。


「……まぁ良い帰ってゲームしよ」


邪念を振り払うように被りを振り再び歩き出すと向かい側から歩いて来た人とすれ違う。

後ろから走って来る音も聞こえた。

部活のランニングか?と疑問を覚えた瞬間怒声が聞こえた。


「何してやがるっっ!!!!!!」


「おごぅぁあ?!!!!」


女の人の怒声と男の変な悲鳴がほぼ同時に聞こえると共に小さな金属音も鳴りその方向に目を向けると


「な、ナイフ?!??」


「警察呼んで!!!早く!!!」













「青野、学校休んでたこの数日何しとったんや」


「坐禅……してました。精神統一トレーニングです」


「パクるな」









ここまで読んで下さりありがとうございます!!

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