シンキングタイム②
「怪我……大丈夫?」
『大丈夫だけど、学校の時間でしょ?』
「休んだ。そんな事より足は大丈夫なの?」
『解放骨折とかでは無かったから切断とかは免れた感じ。だけど太い骨が折れたせいか歩くまでも時間がかかるし走れるのは更にもっと先って言われちゃったよ』
「そう。…………犯人の顔見た?」
『分かんない』
「分からない?」
『うん、上背や肩幅から多分男の人だとは思うけれど顔は上半分を隠すように仮面を付けていたから分からない』
「有力な情報だね。それは警察の人に言ったの?」
『勿論』
「そっか……少し遠回りにはなっちゃうけどねねちゃんならもっと速く走れるようになるから、リハビリ諦めないでね。見舞いに行く時は事前に連絡するから欲しいのあったら気軽に言ってね。コレクション適当に売ってお小遣い稼ぎするから」
『……………適当に売ってお金に変えられる位の価値のカード持ってるんだ?』
「価値を知ってちょっと失禁した程のブツが最近手に入ったしそれ抜きにしても運が良いから使わないデッキのレアカードも当たるからそれ売ったりしてる。
コレクションも良いんだけど飾って死蔵するより放出してお金に変えた方が誰かの為にも良いし私の為にもなるからね。はっはっはっはっ!!」
少しだけトーンを下げてスマホ越しに質問をする。
「ガラッと話題を変えた申し訳ないんだけどねねちゃんはさ拷問の拷で【拷】って漫画見た?」
『ん?あーーまだ見てない』
「アレ結構面白いからオススメ。ちょっとグロテスクなのが人を選ぶけどっ」
椅子から立ち上がる。
「じゃっそろそろいつもなら部活する時間だから切るね。痛み堪えてがんばえ」
『ふふっ、うん頑張るよ』
通話が終わりスマホを机に置く。
「……………………」
篠田先輩の妹さんの話を聞いて誰かを育てる欲が明確に生まれてねねちゃんと交流を深めてあわよくば私の提示した練習で育てたかった矢先にこの始末。
不快感で全身の産毛が逆立つ感覚に度々支配されてしまうがここはぐっと堪えなければならない。
どれだけ速く犯人を見つけてぶっ殺したくても毎日のルーティンを崩す訳には行かないという事で走る為に着替える。
遙達には予め数日休むとだけ伝えてあるが正直ねねちゃんの件で休むのだと分かっているだろう。
「…………ヴェスパー履くか」
クッション性強めのシューズに履き替え家を出る。
軽く全身を解し5分ほど歩き慣らす。
そしてこのシューズを履いた理由のコースを走りに行く。
「相変わらず高っかい壁みたいな坂」
2キロ過ぎた辺りで通る事になる箱根の山もびっくりな勾配の坂。途中平坦になる場面も含めきょりはおおよそ1.5キロ、登りはキツイ。
下手に何も考えず走ると辛さに脳内が支配されるから少しだけ時間の事を考える。
連続殺人事件の記事を見て少しだけ気付いた事があった。
青森県で起きた事件は2件、1件目と2件目の事件の間は3日間空き秋田県での事件が怒るまで4日、そして秋田県で1件目の事件と2件目の事件の間は青森県と同じ3日間。
事件と事件とインターバル3日の移動4日。
何となくだが車や自転車による移動をしておらず徒歩にて移動していると思ってしまう。
徒歩で移動しているのだとしたら凶器の持ち運びや隠し場所にこの数日間が使われているのか?と考えるのが普通だろう。
もしかしたら青森県で使用した凶器は秋田県で廃棄している。だから4日間分時間がかかった。
素人の私でも思いつくのだから警察なら思い浮かぶはずだ。それでも犯人の足取りは掴めていないのだからこの連続殺人事件はかなりやっかいだ。
ちなみに何故連続殺人事件だと断定されているのかというと近くに血痕で1、2と書かれていたらしい。
遊びに行った日に出会した殺人事件は通り魔の犯行故か連続殺人事件との関連性が疑問視されているがねねちゃんの側に数字が書かれていた。
ここで1つ疑問が浮かぶだろう。
何故連続殺人事件に巻き込まれたのにねねちゃんが生きていたか。
私も意外だがねねちゃんが山にまで連れ込まれたらしくそこで殺されそうな所になんと私に使役された事のある熊の晴信がいて自身の判断で助けたっぽいのだ。
何とか生き延びたねねちゃんがスマホで助けを呼び事件が発覚という流れだ。
「まぁ何故犯人が徒歩なのかって疑問は残るけどっ……と、登りきったぁ」
街をそれなりに見渡せる高さに少しだけ気分が良くなる。
「まだこの街に犯人が潜んだんのかな。だとしたらねねちゃんは殺せてないからもう一度時間を起こすかもしれないな。
他の事件の被害者は須く死んでる訳だし」
ほんの少しだけ憎しみを込めて街を睨む。
ここまで読んで下さりありがとうございます!!
面白いと思った方はブクマ、評価をお願いします!




