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鉄牢  作者: りょう
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診療施設にて

そろそろ夜が明ける もう一度施設に行って今度は門番を買収してみよう。

白塗りの壁と、高い塀垣に囲まれた、まさに病院ですといった感じの建物は

町の中心から南に外れた所に建っていた。

昨日は入り組んだ通路を町のNPCに確認しながらグネグネ進み、

やっとたどり着いたが、今日は大通りから右に二本それた通りをまっすぐ歩くと、

すぐたどり着いた。

昨日の苦労はなんだったんだ?

「入るのか?それとも帰るのか?」

手に持った棍棒をもてあそびながら、

正面入り口の前に立っている門番が不機嫌そうな声をだす。

すばやく、小銅貨を握らせると、

「面会は誰にだ?」もっとよこせと言ってくる。

「商人のハジさんです」

すかさず銅貨を3枚追加した。

「そんな奴、いたかな?」

手の中の銅貨をカチャカチャいわせて門番は考え込むようなそぶりをする。

「あれ?ココじゃありませんか?おかしいなぁ」

今度は小銀貨2枚

「あぁ そういえば、北病棟の32号室にそんな奴がいたっけ?」

門番はニヤリと笑って手の中のコインを懐に収めた。

「そうですか、ありがとうございました。又何かありましたら、よろしくお願いします。」

俺は頭を下げると、北病棟目指して歩き始めた。

真っ白な壁、真っ白な床、真っ白な天井、

大きな丸窓から見える景色は真っ白な塀垣...

モニター画面が目に痛い。

8畳ほどの個室の中央に据えられた白いベッドの上には、視線を中空に漂わせる

無精ひげの男、その目の下の隈は男が極度の疲労状態にあり、

今も現実ではない(確かにゲームだが)所で暮らしていることを物語っている。

ゲームなのに、表情リアルっぽいです。

「あの...ハジさんですよね。」

駄目だろうなっと思ったが声をかける。

表情に変化は無く、こちらを見もしない。

「ハジさん、聞こえますか!」

大きな声で、呼びかける。

「無駄無駄、」

後ろから声が聞こえて、びっくりした。

あわてて画面を右にスクロールさせる。

淡い青のつなぎのような服を着て、

同色のナース帽のようなものを被った爺ぃが立っていた。

「その男は、ここに担ぎこまれてからズーッとその調子だよ。

もう二月くらいになるかのぅ。最初のうちは色々な客が訪ねてきとったが、

皆、脈無しとわかると、誰も来なくなった...

お前さんも、この男から何か聞きだしたいって客だろう。」

そうだよ、悪かったな。

「えぇ、彼と一緒に私の友人も旅に出たものですから、せめて消息を知りたくて...」

とっさに適当な理由を言ってみる。

「この男と旅に出たものは多いんだなぁ、みんな消息不明らしいなw」

爺ぃは意味ありげにニヤリと笑う。

そうだよ、今思いついたんだよ。悪かったな。

「失礼ですが、貴方は?」

バツが悪いのを隠す為、話を爺ぃに振る。

「この男の主治医だ。」

えっ入院患者の世話焼き爺ぃじゃ無かったの!ッて言うよりこんな爺ぃに主治医押し付けるって、どんだけ働かせるんだこのゲーム。

「大方、入院患者とでも思ったんだろうてw」

爺ぃは意味ありげにニヤリと嗤う。

その通りです。というか、爺ぃその格好は患者みたいだぞ。

「まぁ良い、それより お前、冒険者のようだが、仕事を頼めるかな?」

爺ぃがこちらを値踏みするような目でそう言った。

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