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鉄牢  作者: りょう
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ゲージにて

回廊の中に入ると、モニター画面がフィールドモードに切り替わる、

今まで現れていなかったベルクのアバターが画面中央に現れ、視線が俯瞰に切り替わる。

ベルクの向こうに緑のターゲットスコープが現れる。

スコープを壁、天井、床に合わせると、

罠があれば緑から赤に変わりその存在を教える。

ちょうど、目の前の床にあわせたカーソルが赤く輝く。

ベルクを止まらせ、マウス操作で、調べるコマンドをクリック、

開いたウインドウには、「落とし穴」の文字とその範囲を示す赤い枠が現れる。

ベルクのアバターを操作し、赤枠を避けて進める。すると偶然重なった壁にも罠の反応が...

さすがゲージ、陰湿だ。

再度 歩を止め調べる。

「???」レベルが足りないのか、罠の種類が現れない。

アイテムウインドウを開き、小石を取り出すと、おもむろに罠に向かい投げる、

カシャン!

大きな音とともに壁から木の槍が1本生える。

槍というよりその太さは杭だろう。

そういえば今回の参加者に巨人族がいたなぁ。


回廊の入り口が鉄格子で閉ざされた理由は、

この回廊の罠が一人にしか対応していないためだ。

そのため、基本的に一度発動した罠はそのまま戻らない。

「えぐいな」ターゲットスコープを槍の生えた壁に合わせる。

「槍、発動済み」の文字が浮かぶ。

追加の罠がないことを確認し、しゃがみ歩きで槍をくぐり前進する。

数メートル向こうに分岐路が見える。

壁、床、天井、カーソルを合わせるが、いずれも罠は無し、

いや、あった。しかしどう考えても体に当たらない壁の上方、石をぶつけるが、反応はない。

よし、いける!

分岐路の手前までダッシュ、急停止、通路に対し目星スキルを発動する。

新たに開いたウインドウには何も表示されない。

半歩進み、右へ通路を曲がる。

床、天井、壁、カーソルを移動し、罠がないことを確認する。

異常なし、しかし、天井から瘤のような塊がぶら下がっている。

なんだ?

目星スキルを発動するが、ウインドウには何も現れない。

でも、なんかある!

回廊の中は薄暗く視界も6,7メートル程、モニター画面の中は1/3ほどが漆黒に

包まれている。

そして演出なのか、たまにノイズが入る。

これはただでさえ悪い視界をさらに悪くしている

しかし、あからさまに天井からぶら下がる瘤状の物体は....罠だよな絶対。

引き返し先ほどの分岐で別の方向に行くこともできるが、

いや、これは行くしかない。

思い直し、前進する。

瘤との距離がつまり、はっきりと見えた。

石のようだ、

真下は通らず、左に迂回する。急ぎ通り過ぎようとしたが、思いなおす。

瘤の裏側に何かあるかも。

瘤自体はただの石であってもその裏側に罠が仕掛けられているかも知れない。

いたずらに時間だけを費やしている気がしないでもないが、焦って罠にかかるのは

愚か者だ。

一歩一歩、進みながら、カーソルを合わせ、目星スキルを発動出せる。

不思議とモニター画面の中のベルクと自分が一体化したような不思議な感覚に見舞われるが、違和感は無い。

そして、岩のぶら下がっているところの手前で立ち止まりおもむろに短剣を前方に

突き出した。

ブーンッ

あわてて後ろに下がる。

はい、びっくりしました。

あると思っていましたが、いきなり上から金属の刃が落ちてきました。

これ、岩に気をとられてたら、やばいでしょう。

岩の後ろには何も無かったです。

しばらく進み、また分岐に出る。

右は細い鍾乳洞のような道へ、正面は今まで歩いてきた回廊が続いている。

これ、まっすぐ行くのがきっと正解。

でも、男なら右行くよね。

罠と判っていても飛び込まなくてはいけない時がある。

というわけで、右に入りました。はい。

モニターの視界がさらに悪くなる。

今まで1/3ほどだった漆黒が1/2に、さらにところどころ鍾乳石の影があり

そこも当然漆黒...

あちゃー 早まったか。

とそこにコールが入る。

当たり前のことだが、鉄牢はオンラインゲームだ。

当然PCのマルチタスクで別アプリも平行して立ち上がっている。

ボイスチャット専用アプリが友人のコールを告げている。

鉄牢のボイスチャット機能をOFFにして、友人のコールを受ける

「ちょっと、大丈夫なの?そんな所入って。あなたは私とちがうんだから。」

ハスキーでチョット舌っ足らずな、そのくせ、投げやりな感じの女性の声が聞こえる。

上から目線は相変わらずだな。

「まぁ、ぼちぼちね。この忙しい状況に外からコールって?」

「見てられないのよ、あまりに愚かだから、松明なんか持ってないんでしょう?」

有っても使いませんがね...

「まあね、有ってもクリーチャーが来そうだから使いませんがね。」

「このままじゃ、負けるわよ。マイツはもう半分くらい進んでいるし、かなもん も

先行している。」

そんな情報いらん。

「焦らせてくれてありがとう、ケイト。良い話が欲しいな。」

「良い話?私が援軍よ。最高でしょ。」

上からだねぇ 相変わらず。

「あ、そこ、天井に罠があるよ。止まって!」

とりあえず止まる。

目星スキルを発動。

ウインドウに赤い文字が浮かぶ

「トラップ落石」

ほんとにあった。

「マジであったぞ。」

「でしょ。貴方は鈍いから。私が居ないとね。」

とりあえず解除して先に進むか...

鍾乳洞は罠とクリーチャーに溢れていた。

「もう少し何とかならないのかなっ と」

沸いてくるゴブリンを短剣で倒しながらケイトに愚痴る

「もう少しで抜けるわよ。右2匹急いで。」

「はいはい、右ね。」

近づいてくるゴブリンを処理しながら、前方に光が見えたことを確認する。

出口か?

「ここって出口か?」

「そうね、とりあえず、通路に戻れるわ、あ、右ね。」

「ケイトは何で判るんだ?」

「感よ。」

またか。

通路は明るかった。といってもモニター画面の1/3は漆黒だが...

ケイトに言われたように右に進む。

しばらく進むと通路は右に折れた。そして、行き止まり。

ここまで罠は3つ、飛び出す壁と、ギロチン、そして解除できたが、落石。

その挙句行き止まりか。

壁、床、天井、いずれも罠は無い。目星スキルを使う。

床、クリア、壁、クリア 天井、クリア

はぁー行き止まりだ。

戻るか。

「不味いわね。もうすぐグリフ伯が回廊を抜けるわ。」

「マイツは?」

「さっき死んだわ、後残っているのは貴方も入れて3人よ。」

「意外と少ないな。」

「今グリフ伯が回廊を抜けたわ。」

「そうか、残念だな。」

まだ、俺は生きている。

「意外、もっと悔しがると思っていた。」

「そっか。次はゲージの外で逢おう。」

「怒ってないの?」

「何で?」

「私が間違えたのよ。そして貴方をここに導いた。」

「ケイトが居なきゃ鍾乳洞で死んでたさ。」

「それはそうかもしれないけど...」

「何でここに導いたの?」

「出口につながっていたのよ。」

「出口に?」

「私が間違うはず無いでしょ。本当なら...この先に出口があったのよ。」

「ケイトを信じるよ。だから、きっと出口はあるんだ。」

そうだ、何か条件があるはずだ。出口につながる条件が。

「ちょっと戻るよ」

「他に出口は無いわ」

「出口につながる手がかりがあるはずだ。それを探すさ」

そうだ、まだ時間はある。

あきらめないさ 。


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