耕せ畑!植えろ植物!その4
「いやぁ、ご無沙汰しています。カルネさん。」
「あんたかね~、ずぅいぶんとご無沙汰だったねぇ。」
NPCとはいえ、ぽちゃぽちゃさんは、いるんだな。
その口調といい、なんだか、とってもローカルな感じだ。
場所は、サーバーアルタイル、始まりの街のNPC居住区のどこか、すまん、詳細不明だ。
「あはは、本日は、軒先の畑を拝見させていただきたくて伺いました。」
「あぁ、あの畑ね。いいよぅ、今年はま~だ、なんにも植えてないから。
勝手に見ていって。」
「ありがとうございます。それでは失礼します。
それでは、皆さん、こちらです。」
密談モードで挨拶したカルネさんは、ふくよかな、恰幅のよい、貫禄のある、
まぁ、簡単にいえば ポチャポチャなおばさんだった。
チョット浅黒い日焼けした笑顔とその人柄のにじみ出る口調、素朴な農村のおばさんって
感じで、とても始まりの街のNPC居住区に居を構える方のようには見えません。
うん、あくまでも良い意味でね。
そして、レイフォードさんに案内されたところは、四方に木の杭を打って杭をロープで括った一角、日当たりバツグンの畑さまでした。
一日中日が当たる生産には向いているものらしく、
スペックは、日照度良、水はけ良、土質アルカリ性
リアル時間で一月賃料200円つまり、
ゲーム内時間半年で10,000円位の価格らしいです。
契約は2ヶ月以上、更新も2ヶ月毎
要は、NPCにとって1年契約らしいですね。
で、仲介手数料は2ヶ月分つまり400円です。
「美香さんの話を伺った限り、薬草栽培用の土地ということでしたので、
日照度と水はけを優先しました。どのような薬草を植えたいのかわかりませんが、
ここなら、間違いないと思います。あと、土質の変更は問題ないそうですよ。」
「そうですか。でも、かなり安いんじゃないですか?」
そう、本来鉄牢での生産用地は借用に月額500円が必要のはず。
「あぁ、それはですね。本来の土地借用は、運営とプレイヤーの借用契約のため、
土地の名義変更及び占有権を持つことになるんですよ。しかし、実際に生産を行うのに
建物を立てたりする必要が無ければ、そんなのは必要ないでしょ?
そこで、私は直接NPCと契約することで、安価で土地の斡旋を行なっているんです。
金額的にもお得でお手軽、問題が発生した場合は実費にて仲介いたしますし、
客様のニーズにもピッタリ合致の土地をご提供いたします。
あと、この畑であれば、地主のカルネさんが水やりの管理もしてくれるそうです。
なので、美香さんは植える薬草の種を渡すだけで大丈夫。
簡単な薬草なら2週間ぐらいで収穫できるのではないでしょうか?」
ん~なんだろ、レイフォードさん、すっかり営業さんだね。
「素敵な土地ですけど、そういうことなら、次も見せていただけますか?」
「わかりました、では次はこちらになります。」・・・・
「ということで、お勧め3件を見ていただきましたが、
よさそうなところはございましたか?」
あれから残りの2件も見せてもらったんだけど、なんだか全て、良さそうで、
決まりませんでした。
「すみません、もう一度考えてからでもいいですか?」
「えぇ、それは構いませんが、もうすぐ作付け時期ですので、地主さんが畑を使っちゃう可能性もありますよ。なのでいそいで決めてくれた方が嬉しいですね。」
そう来たか、でも今のままでは決められないから、仕方ないよな
「そうですか、じゃぁいそいで検討してまた連絡します。
今日はありがとうございました。」
「そうですか、ではよろしくお願いします。」
あっさり引き下がるレイフォードさん。時間は既に23時を回っている。
『で、どうするの?』
メールを美香に打ってみる。
『佑君に聞いてみる。』
そういえば、残りのマルカン草って佑のやつだっけ。
『了解』
「今夜はこれで失礼します。」
「そうだね、ちょっと遅くなったかな?」
「いえ、ありがとうございました。」
その場でレイフォードさんと分かれて、俺たちはログアウトした。




