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鉄牢  作者: りょう
33/62

仲間だしな。

「雨、降り出したな。」

窓のサンで弾ける水滴と、ホコリっぽい初夏独特の雨の匂いを嗅ぎながら、

顔を上げると、少し青ざめて、それでも必死に

数学のプリントと格闘している佑と目があった。

「そうだね、ちょっとだけ涼しくなるかな。」

「あぁ 今夜は厚着して寝ろよ。ヘソだしてると風邪ひくぞ~」

ワザと明るめに切り返す。

「俺は大丈夫だよ。リクこそ裸で寝るなよ。」

表情はまだ硬いが、先ほどに比べて少しだけ顔色が良くなった気がする。

「今日は、居なかったみたいだな、その・・・ストーカー?」

そう、伊勢屋で、豚玉をつつきながら、俺たちは、合図を決めていた。

視線を感じたら、左手を首に持っていくのだ。

伊勢屋を出て、電車に乗った直後から、佑の表情が目に見えて固くなっていく。

そして最寄駅に降りた瞬間、顔色まで青ざめ始めた。

俺は、佑に話しかけながら、それとなく当たりを見渡していた。

そして、駅から徒歩で20分の佑の家までたどり着いたのだが

今回はストーカーは現れなかったようだ。

「佑、案外お前に告白したがっている女子じゃないのか?」

礼儀正しく、見目麗しい、おまけに成績も結構上位、とくれば、

そんな女子がいてもおかしくない。いやいるだろう、いるに違いない。

しまった、俺は知らなかったとはいえ、馬に蹴られても仕方ないんじゃなかろうか。

そうだ、俺が女子なら、絶対ゆるさんと思う。馬で蹴る、原付で轢き殺す。

丁寧に二度轢く。

あ~やばいきっと帰り道で俺ひき殺されちゃうわぁ

「まぁ 今夜は合わなかったということで。」

「うん。悪かったな、付き合わせちゃって。」

「良いって、豚玉うまかったょ。」

「そうか、じゃぁ気をつけて。」

「おうwまた後でな、8時ごろ。

「わかってるって。始まりの町広場で集合だね。」

やんわりとした笑顔がやっと戻ってきたなぁって思ったら

チョット、ホッとした。

外に出たらもう雨は上がっていた。ほんの通り雨だったようだ。

ホコリの少ないクリーンな空気を肺いっぱいに吸い込んでから、

佑の家を出て最寄駅まで歩く。


そして俺は見てしまった。黒塗りのバイクに乗っている黒塗りのメットの女性が、

佑の家をじっと見ているのを。

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