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鉄牢  作者: りょう
32/62

学校で!再び。

「リク、そろそろ先生来るって、いい加減ノート返せ。」

「すまん佑、あと1ページだ。」

「ヤバイって、もう限界だろ!諦めろ!」

「く、やらせはせん!やらせはせんぞぉぉぉ」

「意味不明だろそれ!ほれ、回収、回収。」

「あ、まぁいい、すまなかったな佑。助かった。」

しかし、授業が始まって5分も経つのに先生はこない。

なぜだ?何があった?

時間が過ぎても先生が来ないため、始めは着席していた生徒たちが

席を立って動き始める。

しばらくしてニヤニヤ顔の美香がそばにきて

「あのね、数学のタカプー緊急会議で自習だって。」

とつぶやいた。


・・・・

・・・

・・

「なぁ佑、高校生を狙ったひき逃げってヤッパリ怨恨だよな。」

「ん~無差別ってことはなさそうだけど、ゲームかもよ?」

「この地区の男3人とか? この学校から2人とか? どんなゲームだよ。」

帰り道、たまたま部活の休みの佑と、帰宅部の俺は、一緒に帰っていた。

高校から駅までの10分間、駄菓子屋さんが2件ある。

俺はあまり寄らないが、部活帰りに買い食いをするのが日課らしい佑にくっついて、

駅の真ん前にある駄菓子屋さんに入った。

「意外と広いんだなここ。」

伊勢屋という看板を掲げたこのお店は、

入口の前に昔懐かしい、10円玉をいれて出てきた銀玉1発を弾いて、

ゴールにいれたら景品のお菓子が出るというゲームが置かれている。

店の入口自体は狭い引き戸になっていて、締め切られているとその威圧感から

とても一人で入ろうとは思わない。

俺は当然いつも素通りだ。

初めて中に入った俺は、壁際に並べられた駄菓子の箱と、

中央に位置する掘ごたつのようなテーブル。

奥には座敷のような部屋があり、テーブルがいくつか並んでいた。

「あれ?リクは鋼屋派なのか?」

さも意外そうな顔で、俺のつぶやきに答える佑。

「それ何?」

「ん?あぁ買い食いとか、しなさそうだもんな。」

そうさ、こんな店一人では入れないぞ、そんなに心は強くないんだ。

「まぁな、まっすぐ帰るのが帰宅部の部活動だ。」

ちょっと涙目だったとしても許せ佑。

「おばちゃん、奥良いかな?」

「はいよ。」

隣の部屋から、今にも倒れて死にそうなお婆ちゃんが顔を出す。

「佑くんか。今日は早いんだねぇ。」

名前も知ってるほどの常連なのか!佑。

「うん、部活休みだからね。」

「そうかい、なら、みんな早いんだね。」

ほかの人も来ることが前提なのか!おそるべし伊勢屋のおばさん!

「うん。いつもの二つね。」

「はいはい、そっちの子は初めてだね。これからもよろしくね。

じゃぁ、桜えびサービスだわ。」

俺の方を見てにっこり笑ってからおばちゃんは奥に引っ込んだ。

初回なのでなのか?佑の連れだからなのか?

いつもの、で何か出てくるとは、

おそるべし佑!

「おばちゃんありがと。リク奥いこうぜ。」

「お邪魔します。」

何か言わなきゃいけないような気がして、ついつい口から出た。

奥には、うちの学校の女の子が3人、テーブルを囲んで話をしていた。

佑が、一番離れたテーブルに座る。

俺はついていくだけなので。。。

「でさぁ、さっきの通り魔の話なんだけど、

実は無差別で無いかもしれないんだってさ。」

座ってカバンを置くか、置かないかのうちに佑は話し始めた。

「それってどういうこと?」

「部活の先輩から聞いたんだけどね。被害者は、ひき逃げに会う数日前から

誰かに見られているように感じているらしいんだ。

周りの人にそんなことを話していた人とかも結構いるらしい。」

「ストーカーからのひき逃げか。佑も気をつけろよ。」

何気ない軽口だったが、その一言で佑が黙り込んだ。顔色もなんだか悪い。

「俺も、最近誰かに見られてるような気がすることがあるんだよね。」

「えっ。マジですか。」

「うん。それで、ここに誘った。」

慌てて辺りを見回したが二つ向こうのテーブルの女子の一人と目があった。

しばらくしておこった爆笑が、俺の挙動不審のせいじゃないと俺は思う。

涙目だが許せ佑。

「今日も、その視線を感じるのか?佑。」

「いや、今日はまだだ。いつも電車を降りて駅についてからだから。」

「そうなのか。じゃぁ俺帰っていい?」

ジト目というものが漫画そっくりだって知ったのはすごい収穫だった。

「はいよ、豚玉二つお待たせ。五百円ね。」

おばちゃんが大皿に乗ったお好み焼きを2つ持ってきた。

これで1枚250円なら安い!

「まぁ、いつも宿題写してるし、豚玉おごってもらったから、

お前んちで、数学のプリントやるか。」

俺は視線をまだ湯気の出ている豚玉に向けて答えた。


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