第五話:「夢寐に眠る神秘」
《◇》魔王城・王室にて
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〚魔王・ヘゲモニー〛
「刻は来た。我が子たちよ……準備はいいか?」
〚融合の先導者・ハルジオン〛
「マキャリアットが討伐されてから、僕ら魔王軍は衰退気味だった。それもこれも全てあの忌まわしき勇者パーティーのせいだ」
〚原初の魔女・ヒリア〛
「本当にそうかしら?実際は私達が弱く、我が主のご期待に応えられていないからではないでしょうか。まだ『彼岸』の謎を解明できず、人類すらも殲滅できていない──私達の弱さ」
魔王が杖を地面に叩きつけ騒音を響かせる
「黙らんか、我直々の配下にして…我に残された二人の子よ。まず我々に課されている最大の目的は人類の殲滅、だがその前に…それを阻止するであろう『勇者パーティー』を壊滅する必要がある…ヒリア、その命をお前に与えよう」
「仰せのままに、我が主」
ハルジオンが魔王に問いかける
「父様、僕は何をすれば!」
「お前はまだ動く必要はない、お前は『夢寐の神秘』が何たるかを理解しているのか?」
「そ、それは……」
「今回の話はこれにて終わる…期待に背くなよ…我が子たち」
魔王が部屋を出ると同時に巨大な扉が閉じる
《◇》山奥の小さな小屋でホログラムの放送を聞いていたカテラ
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『市民の皆様は直ちに…神秘に祝福されし地、『夢寐のスターファブラー』に避難してください!』
「(スターファブラー、その名を聞いたのは10年ぶりだな。6代目勇者パーティーの現役時代…俺はまだ9歳だったか)」
「だが、俺に避難なんて選択肢は無い。今すぐにでも魔王城に向かい…憎き魔王をこの手で──」
ホログラムの放送が続く
『神秘に祝福されし地、スターファブラーではあらゆる『奇跡』を目の当たりにすることでしょう。その中には、あの『彼岸』に関する情報も眠っているとのことです』
「彼岸っ!?」
カテラの目の色が変わる
『魔王軍はあなたのすぐそこまで近づいているかもしれません!今すぐ避難を!』
「……これは、魔王よりも優先しなければならないかもしれない。彼岸か───」
「ゼアノ、お前の敵を打つのはまだ先になりそうだ……」
カテラが星空に向かい話しかける
《◇》王国の広場にて
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ホログラムによる放送が流れる前の出来事
「エルナ。リナウスの死を公の場に出す前に、彼と話ができないだろうか?」
「ザイカさん、それは私も考えていました。いくら2人の仲が悪かったとは言え…カテラさんは好きで人殺しなんかする人じゃなかったです。きっと、何か訳があるんですよ!」
「例のスターファブラーの話……カテラは聞いてくれるだろうか。いや、彼の立場上…来たくても来れないか……」
「カテラさんと話をする場が整えば…何か解決できる糸口が見つかるかもしれません、ここは国王様に頼んでみましょう」
「国王様…か。だけど結局カテラの居場所が分からなければ話せる場も設けられない……やはり彼から来てもらうしか」
エルナが問いかける
「でも、どうやって?」
「確か彼はギルドにいたとき、『彼岸』に関する情報を知りたがっていたような──」
「彼岸ってなんですか?」
「彼岸は、黄泉の狭間…死者と生者の軌跡が交わう場所。つまり、カテラは彼岸にて死者と再会を果たしたいのだろう。もう会えなくなった人たちと──」
「なるほど……でも、それとスターファブラーに何の関係が?」
「スターファブラーは神秘の地、この世の不可解な事象を全て示すことができる力が宿っている。あの地なら、彼岸への行き方も伝授されているかもしれない」
「それなら、放送でその情報を伝えれば──」
「あぁ……もしかすれば、カテラを誘き寄せることができる」
《◇》「スターファブラー・城門前」
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カテラがスターファブラーの城門の前で立ち竦む
「ここか、スターファブラー……。(雷魔法の応用で俺と俺の近くのものを透明化した…これなら誰にも見つからずに中に入れるな)」
カテラは透明になり、門番に見つかることもなくスターファブラー内に侵入することに成功した
「(さて…来たはいいものの、ここからどこを目指せば──)」
「あら…やっと姿を現したと思ったのに、透明なんて失礼だとは思わないんですか?」
カテラの背後からピンク髪の女性が話しかけてくる
「(……ヒリアか)」
カテラは透明化を解除し、ヒリアに話しかける
「なぜ俺に気付いた?」
「私は周囲にある物質に纏う『魔力』の量を測ることができます、あなたのいた場所だけ何もなかったのに異質に魔力量が多かった…それだけのことですよ」
カテラが心の中でつぶやく
「………(魔力の探知、しかもそんな高精度で出来るのはやはり──)」
「カテラさん、私と今夜一緒にどうですか?私と二人っきりで…お酒でも♪」
「悪いが、そういうものに興味は無い。他をあたってくれ」
「えぇ残念…あなたが食い付きそうなお話もご用意したのに〜」
「話って?」
「ふふっ〜、6代目勇者パーティーのリーダー……ヘルガー・レインの死の真相について──知りたくはない?」
カテラの目の色が変わる
「本当だろうな?」
「勿論、でも…それなりのものは支払ってもらうから♡」
《◇》ザイカとエルナもスターファブラーに到着した、彼らは勇者パーティーとして正式なガイドが付き添うことになった
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「お待ちしていました、勇者パーティーの皆様」
「あなたがガイドの?」
「えぇ、私が勇者パーティー皆様のガイドを務めさせていただきます。アサズです。お見知りおきを」
「そういえば、リナウスさんとヒリアさんは何処にいらしているのですか?予定では4人で来ることになっていたと思いますが」
「ヒリアさんは少し用があるので遅れるみたいです、リナウスさんは…その……」
「リナウスは地方の集落に遠征中なんだ、だからしばらくは来れないだろう」
「そうでしたか。それではヒリアさんが到着するまで…お待ちしますか?」
「いや、彼女から先に行っていいといわれているんだ。ガイドを始めてもらっていい」
「それでは、神秘が人々にどのようにして『奇跡』を披露してきたのか……それを知るために、この都市の中心へ向かいましょうか」
《◇》スターファブラーの中心にあるエネルギコアの祭壇にて
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「ここがスターファブラーの神秘の力を司る制御装置…『エネルギコア』よ。このコアを通じて伝わった情報をこの『神秘の鏡』に映し出すことであらゆる出来事をいつでも見ることができる」
ザイカがひとりごつ
「ここに、神秘の謎が眠っているのか」
「時は遡り500年前…初代勇者パーティーのヒーラーがこの装置を開発したとされているわ。彼女がこの装置を作った目的は『世界のあらゆる奇跡を目の当たりにしたいから』、らしいわ」
エルナが相槌を打つ
「初代勇者パーティーのヒーラー……どんな人だったんでしょうか」
「スターファブラーの歴史書には、とても天真爛漫な少女だったと記されているけど……魔王直属の配下の一片『マキャリアット』の被害者の一人でもあるわ」
「マキャリアット……確か6代目勇者パーティーのリーダーであったヘルガー・レインが10年前に討伐したはずだな」
「詳しいですね、ザイカさん。彼は『試練の使者』の異名を持つ……きっとヘルガーさんにもある試練が課せられたことでしょう」
ザイカが相槌を打つ
「マキャリアットは相手に、試練を課すことができたのか……一体どんな試練を───」
「分からないなら、この装置を使ってみない?この『神秘の鏡』なら過去に起こった出来事だって見ることができる。マキャリアット討伐に至るまでの6代目勇者パーティーの軌跡を──見てみましょう」




