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六章 第二話 仲直り

「あ…あれは…」

空に立ち上る煙を見上げる人々がいた。そのなかでも三人の男女はより険しそうな顔つきで、空を見上げていた。血のように真っ赤な煙。それは内乱が発生した合図だった。続いて黄色の煙が立ち上った。黄色は城下にかなり近い場所で発生したことを知らせるものだった。

「なんで今なんだ…?」

ヒロガは真っ青な顔でそれを見ていた。早く二人を探さなければいけないのにといった表情でうつむいた。それはあとの二人も一緒だった。

「二人は、シロイラとクロイラを探して!私が武器をとってくる!」

「し、シル!」

シルが二人の了解もとらず走り出した。その背中をみてハルヴィンは暫く動くことが出来なかった。






城下のとある楽器店。一人の女性がかなり大きめの鞄に武器を積めていた。彼女の口元は妖しく笑っていた。彼女が今手にしている一本の刀。それを意図も簡単に真っ二つにしてしまった。

「レールド王国軍の最高戦力、クロイラ・アルドリレイズがいなくなれば内乱軍の勝算はかなり上がる」

今度は、槍を手に取り、振り回せば折れるように割れ目を入れた。

「その妹シロイラ・アルドリレイズが窮地に追い込まれれば動揺するはずだ」

その二つを鞄に収め、すっと立ち上がった。

「ヒロガ・フォレスティオは姉のトラウマで動揺するだろう…」







森の中に建っている一軒の家の前に二人はたたずんでいた。人の手が入らず埃だらけの部屋。家具などはきれいに片付けられていた。そしてその家の前には石碑のようなものがあり、その前にシロイラがひざまつぎ、祈りを捧げていた。その石碑には「ハンナ・アルドリレイズ」と刻まれていた。

「な…何でアルドリレイズなんだ?」

クロイラがあり得ないといった声で喋った。すると、スッと立ち上がったシロイラがそれに答えた。

「わからないけど…父さんの母親なのかな…?」

「違う」

「え?」

否定したクロイラにシロイラが驚き、思わず顔を見た。

「俺たちはツォフォル家なのに…」

「な…(なん)言いようと?突然俺とか…。そもそも私たちはツォフォルって名前じゃないとよ?」

しかし、クロイラはその質問には答えず、家の中に入っていった。そのあとに続いてシロイラも家へ入った。家具は無いように見えたが、一つだけ遺されたテーブルの上に日記が置いてあった。クロイラはそれを手に取った。日記はかなり古いものらしく、ページの痛みと黄ばみが酷かった。文字は所々崩してあったが、かろうじて読むことができた。

『ハンナ・アルドリレイズ。結婚記念に夫から頂いた日記を今日からつける』

最初のページにはそう書いてあった。クロイラはシロイラにも見やすいようにテーブルの上におき、ゆっくりと読み始めた。







二人は日記を読み終えた。二人の目からは、はらはらと涙が流れ出した。

その時、ノックの音が聞こえ二人は振り向いた。そこにはハルヴィンとヒロガの二人が立っていた。

「気持ちは落ち着いた…?」

ハルヴィンが話しかける。

「…ハルヴィンさん…。貴方の言ったことを…ひとつも信用してなくて…ごめんなさい…」

シロイラが謝った。

「こちらこそ…二人の見られたくないものを見てしまって…」

ヒロガも謝った。するとクロイラがヒロガに近づき、ポンポンと頭を撫でた。

「僕たちも…隠し事が多すぎたみたい」

ハルヴィンはその様子を珍しく微笑んでみていた。

三人が仲直りできて良かった…。

しかし、その空気は煙弾によって遮られた。

『パアアアン』

再び上がった煙は真っ暗闇の黒。緊急事態という意味だった。

「あれは…!?」

「っ急いで現場に行こう!」

四人は駆け出した。


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