四章 第二話 一時の平和
内乱から1日たった日のお昼。眠っていたシロイラはゆっくりと目を覚ました。最初は視界が霞んでよく見えなかったのだが、金髪の緑色の目がこちらを見つめていることに気づいた。しばらく待っていると視界がはっきりとしてきた。そこには心配そうな顔のハルヴィンがジッと見つめていた。
「だ、大丈夫?と、とてもうなされていたよ?」
「あ…、大丈夫…」
「ちょっと待ってて」
そういってハルヴィンはベッドの足元にしゃがみ、何かを回し始めた。すると、シロイラの寝ているベッドの上半分が起き上がり、シロイラは座っているような体勢になった。
「それだと、楽でしょう?」
「ありがとう」
するとハルヴィンは隣のベッドを見た。ハルヴィンはつい先程までクロイラが起きていたことを教えてくれた。そうですか…と力なく返事したシロイラにどうしたの、とハルヴィンは聞いた。
「少し昔のことば、思い出したっちゃん」
「何か辛いこと?」
シロイラは小さく頷いた。その後何も喋らなくなった。それを察したのかハルヴィンも喋らなくなった。しばらくの沈黙を破ったのは病室に入ってきた人たちだった。
「あのさ、ヒロガ」
トランペットを磨いていたシルがヒロガに話しかけた。
「どうしたんすか?」
ヒロガもクラリネットを修理する手を止めずに応えた。
内乱から1日たった日のお昼。5人が経営している楽器店。透明なガラス戸には未だ「close」と書かれたプレートが下がっていたが、店の中での作業は再開していた。ただ、一日二日いないだけで多くの人が心配したらしく、ドアに大丈夫かという手紙がおかれていた。
「どうしてクロイラさんとシロイラさんはイラを取るのを嫌がるんすかね」
「一つ言えることは、私にはわからない。ただ、ハルヴィンは何か怪しげだったけど」
ヒロガがうーんと悩む声を出した。
「あっ、二人が寝ている間にでも勝手に取るってのはどうだろう」
「それは流石に…親しき仲にも礼儀ありってやつっすよ」
「あ、シロイラ起きたんだ」
シルがシロイラに話しかけた。シロイラは色々とすみません、と謝った。ハルヴィンはクロイラもさっきまでは起きてたけどとヒロガに教えた。
「クロイラさんにも申し訳ないっす。俺がもっと早く気づいていれば…」
起きている筈がないクロイラにヒロガが謝った。するとクロイラが「ん」と一言言った。
その後も他愛のない会話は続き、話疲れたシロイラは眠ってしまった。その横にシル、クロイラの隣にヒロガと、ある作戦を実行するためベッドに眠る二人を見つめていた。




