第十話
祝10話目
もしよければ感想ください
【何が終ったんじゃ?】
上を見上げるとさっき龍につぶされたはずのケルベロスが悠然とこちらを見下ろしていた。
「っち!」
俺は短く舌打ちすると即座に痛む左足に鞭打って腰を落とし構える。もちろん戦えるなんて思ってはいないどうやって逃げるかを全力で考える。
【おうおう、知恵を巡らせ追って。頑張るのう】
ケルベロスの真ん中の頭が俺を見下ろしている。今確認してみて思ったが口が動いてないのに俺には声が聞こえている。
「なんでだ」
純粋に疑問を覚えたので、はからずして口にでる。
【ああ、そんなことか。お主の頭の中にわしの考えと思考を魔力で翻訳して流しておるんじゃよ】
魔力? またファンタジー物質が出てきたぞ。本当に異世界なんじゃないか?
【なんじゃお主、そんな狐につままれたような顔しおって、魔力を知らんのか? おかしな奴じゃ】
カラカラと笑っている声が俺には聞こえるが相も変わらず目で見えるケルベロスは仏頂面だ。
「お前、さっき死んでなかったか?」
ケルベロスに今は敵意がないかはわからないが話はできると判断して気になったことを聞いてみる。
【死んだぞ?】
それにケロッとした声で答えるケルベロス。
「え?」
いきなり思ってもいなかったことを言われて俺の思考が止まる。
【なんじゃ、お主。何も知らぬのじゃな、わしは『不死身王』の三頭魔犬じゃぞ?】
「…………………………………………………………」
【おーい? お主大丈夫かぁ?】
ケルベロスの声音の軽いこと軽いこと。むかつくなぁ。
「えーと、不死身王ってなに?」
【不死身の怪物につけられる二つなのことじゃが?】
うん、思ってた通りだね。
「なるほど、じゃあ魔力って何?」
【つくづく不思議な奴じゃの、いいか魔力とはな魔法を使う時に消費する魔物や人族、魔族などに備わっている力のことじゃ】
「魔法?」
思わず、本当に意図せずにこぼれおちる疑問。
【魔法もしらんのかお主、奇怪な男じゃのぉ。いいか魔法とはの神法と対をなす魔族と魔物が創りだした神を殺すための技術のことじゃ。細かく説明すると神法は神と天族の使う神力を使った世界の理を作り出す技術で魔法は魔物と魔族の使う魔力を使った世界の理を捻じ曲げる技術じゃよ】
うん、よくわかった。そしてここが異世界と言う可能性がかなり大きいことも、よくわかった。
【ん? お主人族かぇ? じゃあ、魔法も神法も使えんはずじゃのォ。確か人族が操るのは気とかいう竜人の波動と獣人の獣気の中間のような技を使うらしいからの】
なんかもう、あれだな。意味不明単語が出すぎで理解が追いつかないな。
「なぁ、この世界の名前って何ていうんだ?」
【世界の名前? 不思議なことを聞くやつじゃな、逆に聞くがそんなものがあるのか?】
む、確かにそうだな。よく小説なんかではその世界の名前が紹介されるからてっきりあるものだと。よくよく考えると俺達がいた世界にも名前は無いし、星の名前は地球だけど。
「悪い、質問を変えよう」
もう、異世界って言うのは決定でいいだろう。
「ここはどこだ?」
【ここはどこだ、か? 先ほどから妙なことばかり聞きおるなお主。まあ、答えてやらんでもないここは、世界の果て竜の谷。世界樹に見放されし魔物と魔族、竜たちの園。その中でも果ての果て最強と名高いイモータルが一人ヴリトラの巣、ラパレルトシア平原、別名、終焉平原だよ】
「また物騒な単語ばかり出てくるな」
ヴリトラと言うと俺達の世界でも不死身の怪物だったな。
「なぁ、興味本位だけどヴリトラって黒色の竜か?」
【おお、よく知っておるなお主】
当たっちゃたよ。まあ偶然かもしれないけどね。
てか、これからどうしようかな。元の世界に返れるのかなぁ、まあその前にこの物騒なところから抜け出せるのかが心配だなぁ。
なんだよ終焉平原って。
【質問は終わりか?】
「ああ、ありがとう、えっと」
【わしのことはケルベロスと呼べ】
「ああ、ありがとうケルベロス」
ってきりケルベロスは種族名かと思ってた。
【じゃあ、次はわしの質問じゃな】
「え?」
【え? はあるまいあんなに親切にいろいろ教えてやったのだ、それなりの対価があって然るべきじゃよ普通はお主もそうおもうじゃろ?】
「いや、まあそうだけど………。あ、じゃあそれの前にこの怪我治せる?」
そういって折れた左足を見せる。
【朝飯前じゃよ、ほいっとな】
少々爺くさい掛け声とともに俺の左足は見えない何かにつつまる、そしてだんだんと温かくなる足。
「お、もうなんとも無い」
軽く足踏みしてみてもなんとも無い。
「ありがとう」
【気にするな】
少し照れくさそうに言うケルベロス。
【じゃあ、最初の質問じゃ。お主何者じゃ?】
「えっと、異世界人?」
【ほう、やはりか。うむ次じゃ。お主こちらに来て何日じゃ?】
「一日もたってないけど?」
【ほうほう、興味深いのぉ。じゃあ次じゃ、あの竜神の子を殺した棒手裏剣は何でできているのじゃ?あの魔王の魔力と戦神の神力でも傷を負わせることは不可能と言われた竜神の体にどうやって傷をつけたのじゃ?】
「え、さっきのって竜神なの?」
えらいもんを殺してしまったものだ。親が報復に来るとか無いんだろうか?
【ハッハッハ、報復に来るかものぉ竜神が】
ちょっと笑い事じゃないんですけど。
【それにしても、一応神の血をひくものを殺害して、知りませんでしたとは中々面白い男じゃのう。仮にも神じゃお主のレベルもだいぶ上がっておるじゃろうな】
「れ、べ、る?」
【おお、お主たしか異界のものじゃったの。頭の中でステータスとつぶやいてみなさい】
「?」
何でもありだな異世界。静が聞けば狂喜乱舞しそうだ、そういえばあいつら大丈夫かな?
「おい、ケルベロス。この洞窟って安全か?」
【なんじゃ、いきなり】
「仲間がいてな」
【なるほどの、うーん、安全か安全じゃないかで言うと安全じゃあろ。この場所にはわししか住んでおらんかったし】
そういって迷惑そうに小さな龍、竜神の子供のほうに視線を向ける。
「安全ならいい」
それならいいか。あ、草原のほうは大丈夫かな?どうでも言いや別に親しい人もいないし。
さてと、ステータス。
そう、俺が心の中でつぶやくと俺の顔、前方三十センチくらいに小さめのウインドウ画面が出てくる。
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名前 :シュウヤ・カミサキ
性別 :男
年齢 :15
レベル:298
種族 :人間(異界の徒)
スキル:剣術初級、柔術初級、拳術初級、弓術初級、投擲術初級、集中、限界突破、異界の力、思考強化、可能性
称号:異世界の旅人、限界突破者、芸術戦術家、ゲーマー
殺神者、殺竜者、白竜殺し、貫く者、突出者
異世界人固有スキル:略奪者
魔法属性:【雷】【炎】【闇】
神法属性:【雷撃】
気の性質:【純白】
波動性質:【白竜】
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「なんじゃ、こりゃあああああああああああああああああ!!」
思わず叫んでしまうような内容だった。




