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神救異世界転移魂 ~絶望に抗う意志がなければ目的を達することはできない~  作者: Riku
序編第三章 『想いを込めて贈って』
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序編第三章61 『始まりの出会い』


 第一回戦のあと、第二、第三と続き、第四回戦目。

 ちなみに第一回戦はかなり早めに終わったが、第二回戦と第三回戦は二倍から三倍近い時間がかかった。やはりミファーの強さが頭一つ抜けていたらしい。


「第四回戦! スタート!」


 毎度おなじみに、五人の選手が一斉に自分の前に雪の壁を作り上げる。――否、一人だけ作っていない。

 次の瞬間――、


「デルシオ選手が、一斉にすべての雪の壁を分解魔法で崩したぁ! それとも能力かしら?」


『あの人って入学祭でティアラのこと助けてた謎な人じゃない? ティアラ』


 だから、流石に今は喋れないわよ……


 相変わらず話しかけてくるティアに、ティアラはまたジト目になる。

 だがティアの言う通り、ティアラもあの人には見覚えがある。入学祭で吹っ飛んできた剣に当たりそうなところを助けてもらったはずだ。


「おっとデルシオ選手が正面の選手のところまで一直線よ! っと、上に雪玉を投げたわ! けどまだ魔法陣は展開されてないわ! っと、また雪の壁ができたわね…………え? あ、当たった!? 当たったわ! デルシオ選手見事に三つの雪玉を三つの魔法陣に命中させたわ!」


 まるで雪の壁ができることを知っていたかのような投げ方だった。

 上に投げて壁を通り越し、上から降らせて魔法陣の展開タイミングぴったりに見事に三つ割ってみせるなどスゴ技なんてものじゃない。

 だがそんなデルシオを、周りの選手が一斉に狙う。一気に四つもの雪玉がデルシオに向かって、


「ええぇ!?」


 すべての雪玉は、デルシオの死角から放たれていた。――はずなのに、デルシオはまるで背中に目があるかのように最小限の動きですべて避けた。


「びっくりだわ! デルシオ選手全部避けたぁ! そのまま近くの選手の雪壁の後ろに回り込む。ってまた全部割ったわぁ!」


 それはまるで、選手の魔法陣の位置と体の動きを見透かしたような動きだ。

 そのままデルシオはまた上に、今度はかなり高めに三つの雪玉を投げ、別の選手の下へ向かう。


「……っと、また全部割ったわ! とんでもない選手が紛れ込んでたわね! え? また一人脱落。あれ? いつの間に? まさか、さっき上に投げた雪玉を全部当てたの!?」


 まさかすぎる出来事に、ティアラは開いた口が塞がらない。

 一人を相手にしながら、一人を倒すなど普通じゃない。すごすぎる。


「最後の一騎打ち! 相手は自分を雪の壁を作って隠したわ! デルシオ選手どうするかしら! おっと魔法陣を展開したわ! ……あれ? 使えて、ない? ……なるほど、考えたわね。現在進行系で変形魔法を使ってれば、分解魔法も使えないもの。ってわぁ!」


 デルシオが自分の足場になっている雪をいい気に高くし、そのままの勢いで壁を乗り越え、相手の頭上から雪玉をミファーと同じようなやり方で三つ降らした。

 ――見事に、命中する。


「割れたぁ! 第四回戦、終了! デルシオ選手すごかったわね! 練習でもしてたのかしら?」


「千回くらいかかった」


「せ、千回!? これは立派な優勝候補ね! みなさん拍手をお願いするわ!」


 ティアラのその言葉を受けて、会場から大きな拍手が巻き上がる。

 間違いなく、この瞬間にデルシオは観客の中で優勝候補になっただろう。それほどまでにすごい選手だった。


 そのあと第五回戦第六回戦を終えて、第七回戦。

 第七回戦では、ティアラがちょっとどんな戦い方をするのか気になっている人が参加している。

 ――メルティアだ。


 ぞろぞろと、選手が入場を開始する。

 その中にメルティアがいるのをみれば、ティアラは期待が高まった。ティア曰く、かなり運動神経が良いらしいが、どうなるのだろう。


「第七回戦! スタートよ!」


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「ぉ、あれメルティアちゃんじゃないか?」


 と、そう言ってアドバンが指差す方向に、メルティアが見えた。

 だがアミリスはそこじゃない部分が気になった。


「あれ? アドバン知ってたっけ?」


「ほら、加護の授業で会っただろ?」


「あぁ、そう言えばそうだった」


 首を縦に振って、アミリスは納得を表現する。

 そのアミリスの横で、ミャミュが身を乗り出して目を丸くした。


「メルティアちゃん?」


「あぁえっと、ミャミュは会ったことなかったっけ?」


「うん、ないと思う」


 ちょっと斜め右上をみて思い返してから、ミャミュが視線を戻してアミリスに言う。

 その言葉を受けてどう説明しようかと唇に指を当てて考えると、アミリスはゆっくりと口を開いた。


「えっとね、ミリティアの妹ちゃん」


「え! 妹いたんだ!」


「うん、私も知った時は驚いたよ。私の場合、本人に直接聞いたんだけど……」


 考えてみれば、あの時からアミリスお姉ちゃんなどと呼ばれるようになったのだ。

 ――当時のメルティアは十二歳だったか十三歳だったか。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 ある日、ミリティアの家の前でミリティアを待っていた。なんで待っていたのかはあまり覚えていない。

 だがたしか、仕事関連で訪れたような気がする。

 そんなアミリスの前に、小さい少女がひょこっと顔を出した。


『お姉ちゃん誰?』


『ん? あなた、誰?』


『私が聞いてる』


 そのちょっと強気な姿勢に驚きつつ、アミリスは屈んで少女の顔を覗き込むと、


『えっと、私はミリティアを待ってて……』


『お姉ちゃんを?』


『お姉ちゃん?』


『うん、ミリティアは私のお姉ちゃん』


『え? ってことは妹ちゃん!?』


 まさかの事実に、アミリスは空いた口が塞がらない。

 そんなことに構わずに、少女は『うんうん』と頷いて、


『私、メルティア。お姉ちゃんは?』


『メ、メルティアちゃんね? 私はアミリス、だけど二十二歳だからお姉ちゃんじゃない、お姉さん!』


『ぇいやだ』


『いやだ!?』


『だってお姉ちゃんの友達なんでしょ? だったらアミリスお姉ちゃんでいいじゃん』


『アミリスお姉ちゃん!?』


『うん』


 そう言って、メルティアが微笑んだのが見えた。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 アミリスは初対面を思い返して頬を緩める。


「……にしてもこの前ティアラにも手を出してそうな発言してたのが気になる。大丈夫かな……?」


 と、少々不安になる。

 流石にメルティアもティアラに手を出すようなことはないと思いたい。

 などと考えていると、


「第七回戦! スタートよ!」


 そんなティアラの声と同時に、第七回戦が始まった。

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