プロローグ 『女体化』
「――きて! 起きて!」
少女の声が聞こえる。
「ん、うぅ?」
目が覚めると体に妙な違和感があった。何かが、おかしい。
「君、は? ん? あぁあぁ」
なんか声おかしくね?
「ごめん。そこどいてくれ。起き上がるから……」
「え? あっうん。わかった」
そう言って少年――ひずるを見下ろすのをやめる少女。
その表情は少し驚いていて、ひずるはそれを不思議に思いながら、よっこいしょと体を起こす。
起こして――、
「は? え……?」
言葉に詰まる。
ひずるの着ていた服――学校の制服ではなく、白と銀色で装飾されたドレスがひずるの身を包んでいた。
「ドレス……?」
ふと手を見れば小さくて、ひずるは思わず口が開く。
声が可愛らしく、服装がドレスで、手が小さく、目線も低い。それに視界の端、地面につく白銀の長い髪が見えた。
「女の子に、なってる?」
まさか……
自分の股を見下ろす。そこには本来あるべきものがあるはずだ。
恐る恐る、ひずるは股へ手を伸ばし――、
そして、青ざめる。
「ち、ちんこがねぇええええええええ!」
思わず叫んだ。
「なんでだ? なんで女になってんだ? いやそもそも、俺は何をしてたんだっけ……」
ひずるは急いで、自分の記憶を掘り返す。
そうだ。俺はたしか、学校の教室で夢を見てたはずなんだ。そう、悪夢だったな、あれは……




