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アイコン戦国志 作者:小金沢

中国の章

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一五五四   厳島前夜       (〇〇五)

~~~周防 大内氏館おおうちしやかた~~~


挿絵(By みてみん) 益田ますだ 藤兼ふじかね
「将軍家からの偏諱、まことにおめでとうございます」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「あ、ああ」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「これまで名乗られていた晴英はるひでも前将軍からの偏諱でしたが、
今回の偏諱は今の将軍家、つまりは幕府からも大内家の当主として、
認められた証に他なりません」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「う、うむ」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「この幕府の後ろ盾を活かさぬ手はありません。
今こそ宿敵の尼子家を滅ぼし、さらなる版図の拡大を――」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「な、なあ陶よ」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「はい?」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「その……お前は、怒ってはおらぬか?」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「なんの話でしょうか」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「お、お前は私の晴英から一字もらい、晴賢に改名したではないか。
それなのに義長に変えてしまっては、申し訳がないというか」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「おっしゃる意味がわかりませぬ。
古い名を捨て、新たに偏諱を受けたことを喜びこそすれ、
怒るわけが無いでしょう」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「そ、そうか……」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「お言葉ですが、義長様は私の顔色をうかがい過ぎておられる。
大内家の当主としてもっと堂々となされよ」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「お、お前は私を殺すつもりはないのか?」


挿絵(By みてみん) 益田ますだ 藤兼ふじかね
「!!」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「……大内義隆のようにですか?
はっきり申し上げれば、その理由がありません。
現在の大内家の実権を握っているのは私です。
わざわざあなたを除く必要が無い」


挿絵(By みてみん) 大内おおうち 義長よしなが
「………………」


挿絵(By みてみん) 益田ますだ 藤兼ふじかね
「陶よ、義長様はお疲れの様子だ。
今日はこのくらいしよう」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「ああ」


~~~周防 陶 晴賢の屋敷~~~


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「なんだあの怯えぶりは。
傀儡にされると承知で当主の座を引き受けたのではなかったのか?」


挿絵(By みてみん) 益田ますだ 藤兼ふじかね
「お前は杉重矩や反対派を何人も粛清している。
怖がられるのも無理はあるまい」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「俺がいなければ大内家は早晩滅びるぞ。
それを理解せずに俺を追い落とそうと図る愚か者から、
大内家を守ってやっているようなものだ」


挿絵(By みてみん) 益田ますだ 藤兼ふじかね
「義長様は大友家から一人で他家へやってきたのだ。
その孤独さはわかってやれ」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「フン、大友の血も大したことはないな。
もっとマシな息子はいなかったのか」


挿絵(By みてみん) 益田ますだ 藤兼ふじかね
「…………」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「義長のことはいい。
それより吉見家の動きはどうなっている」


挿絵(By みてみん) 益田ますだ 藤兼ふじかね
「やはり反乱を企んでいるようだ。
数ヶ月内には決起するだろう」


挿絵(By みてみん) すえ 晴賢はるかた
「また愚か者が一人増えるのか。
いいだろう、今度は俺自ら兵を率い、叩き潰してやる!」


~~~安芸 吉田郡山よしだこおりやま城~~~


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「思ったほど大内家は動じませんな。
陶 晴賢と晴英……いや義長でしたか? を中心にまとまっています。
どうせ陶もすぐに粛清されると思っていたのですが、
考えが甘かったようです」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「陶は想像以上にやるようだな。
隆景たかかげが言っていたより大物のようだ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「そういえば隆景は大内家に人質に出されていた時に、
陶と仲が良かったのでしたね」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「陶がなかなかやるのは確かだが、
そもそも謀叛というのは多大な労力を使うものだ。
義隆を殺されたからといって、
仇討ちで陶や義長を殺してやろうとはなるまい」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「ははあ、父上の口から言われますと説得力がありますな」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「わしは謀叛などしたことはないぞ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「おや、そうでしたか?
では父上、大内家の自浄作用が期待できないなら、
どうやって陶を打倒しましょう」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「そうだな。問題を出してやろう。
陶のように裏切りで実権を手にした者が最も嫌うことはなんだと思う?」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「ううむ。父上がわざわざ問題にされるくらいですから、
裏切り者が嫌いなのは裏切られることだ、
なんて簡単な答えではないでしょうなあ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「……お前は性格が悪い」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「そんなこと誰にも言われたことありませんよ。
老臣からはお父上に似ておられるとよく言われますが」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
元春もとはるや隆景は素直なのに、
お前は妻に似たのだろうなあ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「おやおや、母上が化けて出られますよ。
まあ冗談はそのくらいとして、いよいよ陶に戦いを挑むのですね」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「うむ。厳島を占拠し、そこで迎え撃つ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「なるほど、狭い厳島ならば展開できる兵力にも制限があります。
小勢の我々にも勝ち目がありますが……しかしそれは陶も先刻承知でしょう」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「そのための裏切りだ。
まずわしの息の掛かった吉見家を反乱させる。
陶が怒って討伐に向かったところで、わしらが蜂起するのだ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「陶はそのまま反転して厳島へ攻め寄せる、という策ですか。
それなら大内家の全軍ではなく、手勢くらいの規模にもなるやもしれません。
しかしそう上手く行きますかな」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「いろいろと手は打たせた。五分五分よりはマシの計算だ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「わかりました。父上の運を信じましょう」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「さて、わしは十分に働いた。
次はお前の番だ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「と、おっしゃいますと?」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「後は蜂起するだけだが、家中の意見をまとめておらぬ。
反陶・反大内に毛利家の意志を一致させるのはお前の役目だ」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「……一番面倒で重要な役目を息子任せとは、
やはり父上は何もしない謀略家ですなあ」


~~~安芸 吉田郡山城~~~


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「……陶は乗りませんでしたな」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「うむ。わしは金輪際、賭け事はしないと誓おう」


挿絵(By みてみん) 吉川きっかわ 元春もとはる
「いや親父、一度負けたから次は勝てるぞ。
それが賭け事ってヤツだ!」


挿絵(By みてみん) 小早川こばやかわ 隆景たかかげ
「フッ。どうやら兄上は賭け事で身を滅ぼすタイプのようだ」


挿絵(By みてみん) 吉川きっかわ 元春もとはる
「なんだと?」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「これこれ、このような時に争うでない。
――そうだ、お前たちには一度言っておきたいことがあった。
たしかこのへんに三本の矢を用意しておいたのだが、
ええと、どこへやったかのう。まあ無くてもよいか。
仮にここに一本の矢があったとしてだ、つまり」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「父上、訓辞を垂れるのは暇な時にお願いします。
今は一刻を争う事態です」


挿絵(By みてみん) 吉川きっかわ 元春もとはる
「親父の話は長くていけねえ。
陶はすぐに厳島には向かわず、
大部隊を編成してじっくりと攻めるつもりだぞ!」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「怒ってすぐにでも厳島に乗り込んでくると思ったのだがな。
あてが外れたのう」


挿絵(By みてみん) 小早川こばやかわ 隆景たかかげ
「彼我の戦力差は絶望的です。
全軍で腰を落ち着けて攻められては、
戦況を覆すのは並大抵のことではありません」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「なに、あわてることはない。
わしは賭けに負けたが、陶も一つ下手を打った」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 隆元たかもと
「なんのことでしょう?」


挿絵(By みてみん) 毛利もうり 元就もとなり
「謀略家のわしに時間を与えてしまったことだ。
じっくり攻めてくれば、それだけわしは多くの手を打てる。
それに厳島を毛利家が占拠したという事実は動かぬ。
陶はいずれ必ずこの厳島に現れる。その時が、陶の最期だ」

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