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異世界クエスト  作者: 太郎
異世界クエスト中
76/95

第68話-これはハーレムフラグですか?

6月23日、闇の日。


ここは【グランアルプ】の町。

ブルックリン家、俺の部屋。


結局、俺は、ライクちゃん、アイン、マリーさんの3人と、

一緒に家まで帰って来た。


昨夜、ライクちゃん達が用意してくれた夕食を食べた後、

俺は、自分の意思を3人にはっきりと伝えた。



「皆と一緒にパーティを組みたい」



爺さんのメモ、バレーの心配、

クロルの気持ち、そして3人の優しさ。

あらゆるものを考慮した結果だった。

俺にはもう、一切の迷いは無かった。


巨大魔物の調査が終わり、

パーティについての決意が固まった以上、

【グランポート】に長居する必要も無い。

俺たちは、昨夜のうちに帰る準備をし、

今、ほどなく帰宅したところだ。


時刻は午前11時を少し回っている。



俺は、自分のベッドに腰掛け休息を取っていた。



帰宅にあたっては、

バレーとクロルには、直接会わず、

置き手紙と、幾つかの荷物を残して置くことにした。


バレーには、伝えなければならないこともあったが、

直接言いにくい内容なので、

手紙と言う方法が最適だった。


置いてきた荷物と言うのは、

バレーへの荷物に、アインが修理した【黄金槍】。

クロルへの荷物に、俺が考案した道具のアイディアとその材料だ。


バータさんの遺品を弄っているうちに、

クロルの役に立ちそうな道具を思いついたので、

俺はそれを書面でクロルに伝えることにした。


今朝方、バトーさんに預けてきたから、

きっと今頃は、手紙と一緒に届いているだろう。


帰りの移動もマリーさんの移転術を使ったため、

何の苦労もなく済んだ。


こうして、長いようで短い【グランポート】の旅も、

何の問題もなく、無事終わろうとしていた。



……そう、1つの変化を覗いては。



「エーイージ君!

 ねぇねぇ! 美味しいタルトがあるんだけど、

 いっしょに食べよっ?」


「エイジさん!

 グランポート土産のクッキーがあるのですが、

 お1ついかがですか?」


「のうのう、エイジよ!

 良いお茶が手に入ったのじゃが、

 いっしょに飲まんか?」



……なんか、帰宅してから、

3人の態度が、妙に優しいんだけど?

なにこれ。なんかの陰謀?



何気ない昼のひととき、

いつもならば、各々が好みの場所で時間を過ごし、

緩やかな時間が流れていくはずの時間帯。


しかし、今日に限っては、

いつもと様子が異なっていた。


俺がベッドでダラダラと休憩をしていると、

部屋で休んでいるはずの3人が、

お菓子やお茶を手に、寄り添うように近づいて来た。


ハートを飛ばしそうな笑顔で、

3人とも、ものすごくご機嫌である。


声は猫なで声だし、

座る距離にしても、心なしかいつもより近い気もする。

……というか、完全に近い。



「……あぁ、ありがとう。

 でも、皆も疲れてるんだから、

 気を使わなくていいよ?」



不自然な接近に、警戒する俺。

だが、3人は謎の優しさを全開にする。



「いいえ!

 エイジさんは、大切な仲間ですから。

 これくらい労わって当然です」


「そうじゃな。

 わしらも いままでは おぬしに

 厳しすぎたのかもしれん」


「そーそー

 もっと、あたし達に甘えていいよっ?」



……気味悪い。

いや、本当なんなの?


困惑する俺を余所に、

マリーさんは、しなりと俺の隣に座り、

寄りかかって手を握ってきた。

アインも、ちょこんと膝に座って身体を預け、

ライクちゃんは、ぎゅっと後ろから抱きついて来た。    


唐突に訪れた意味不明のモテ期。


俺は、3方向から、女子に囲まれて、

良い匂いと、柔らかい感触の総攻撃を受ける。


俺の太ももには。アインのふわふわのお尻の弾力が伝わり、

背中には、ライクちゃんのプ二プ二とした胸があたる。

ついでに、手にはマリーさんスベスベの感触だ。


ぷにぷに、ふわふわ、すべすべの3コンボ。

女の子特有のお菓子の様な甘い匂い。

強制的にもたらせられる多幸感によって、

否が応にも顔がニヤケけてしまう。



……何これ、すげぇドキドキする。



はっ! いかん。

いや、ちがうだろ。

気を確かに持つんだ、俺!



正直、イチャつかれるのは悪い気分ではないが、

ここまで扱いが変わると、

裏があるのでは、とつい疑ってしまう。

仕方が無い。

俺は女性に免疫の無いぼっちだったのだ。



「ほらほら、エイジさん。

 クッキーですよー! お口を開けて下さい。

 はい、あーんして」



困惑していると、

マリーさんが、クッキーを手に持ち、

俺の口まで運ぼうとする。



何!? これなんのお店!?

クッキー1枚、いくらとか!?



「あっ、マリーさんずるいっ!

 エイジ君、ほらほら向こう行こうよ!

 タルトだよタルト!」


「いーや

 それよりも わしと茶を飲むのじゃ!

 ほれほれ!」



近づいてきたマリーさんを押しのけて、

ライクちゃんとアインが左右から俺の手を引っ張る。

やめて、痛い。

痛いし、怖い。



「ちょ、待って皆!

 なんか妙に俺に優しくない?

 ……怖いんだけど」


「えっ?

 そんなことないよ?

 ねっ?」


「そうですよ。

 わたくし達は、いつも優しいですよ?」



……絶対に怪しい。


優しくされる原因が分からない。

とりあえず、ここは一時、避難をした方がいいだろう。

君子危うきに近寄らず。

三六計逃げるにしかず、だ。



「あっ! そういえば俺、

 用事があったんだ!

 すいませんけど、ちょっと出かけてきます!」


「あっ! ちょっとエイジ君!?」



特に用事があるわけでもないが、

とりあえず、俺は部屋を出る。

バタン、とドアが閉まり、取り残される3人。



「行っちゃったね……

 エイジ君……」


「ちと、ろこつすぎたかのう。

 だが……ふふ

 まさか、エイジが、

 あのバレーよりもわしらを選ぶとはのう……

 ……なんとも、ゆかいなきもちじゃ!」


「そうですね。

 あの金竜のバレー様のお誘いを断ってまで、

 未熟なわたくし達とのパーティを、

 選んで下さったのですから!

 期待に添えるよう頑張りませんと!」



そう。彼女たちが、急に優しくなったのは、

エイジが、有名な冒険者で【英雄の子孫】である、

バレーからの誘いを断り、自分達を選んだと言う嬉しさと、

ほんの少しの優越感。

珍しく真剣な顔で、皆と一緒にパーティを組みたい、

と告げられたことで、くすぐられた乙女心。



しかし、エイジの発言の真意は、

彼女らの意図したものとは別のものだった。



一方その頃【グランポート】……


クロル・スイム人形屋で談話する、

バレーとクロル。



「それで、バレーっち!

 エイジっちからの手紙には、

 なんて書いてあったんすか?」


「俺の仲間になれ、ってさ。

 全く、いい度胸してるよ。

 あたいのパーティーに入るのは嫌だから、

 自分のパーティに入れなんてさ!」



そう。エイジの言う「皆」とは、

あの場にいた3人ではなく、バレーとクロルを含んだ「皆」。

言いづらかったのは、自分をリーダにして、

バレーをパーティーに引き込むこと。


パーティメンバーの数に制約は無い。

俺がバレーのパーティに加わるのではなく、

他の全員が、俺のパーティに入れば良い。

俺1人では危険かもしれないが、

バレーが一緒に仲間を護ってくれれば、

問題は全て解決する!

それがエイジの考えだった。



「まぁ、あのアホ面を放っておいたら、

 他の3人が可哀そうだし。

 仕方が無いから、仲間になってやるか」


「言い訳しないでいいっすよ?

 なんだかんだで、バレーっちは、

 エイジっちのこと好きっすもんね!」


「うっ、うるさいね!

 別にあたいは、好きじゃないよ!」



顔を赤らめながら、否定するバレー。

クロルはニヤニヤしながら、それを楽しんでいる。



こうして、エイジのパーティは、

ライク、アイン、マリーシアに、

バレー、クロルを加えた5人となった。



これはハーレムフラグですか?

……いいえ修羅場フラグです。





■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 ライク・ブルックリン 

   友好度   80 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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名前 アイン・アルバトロス 

   友好度   80  

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 マリーシア・スローウィン

   友好度   80 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■


■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 バレー・ゴルド―・スパイク

   友好度   70  

■■■■■■■■■■■■■■■■■■


■■■■■■■■■■■■■■■■■■

名前 クロル・スイム 

   友好度  70

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