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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第1部「覚醒編」
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Chapter 1「黒き巨人」 

初投稿です。

まだ小説初心者なので、設定の矛盾や、誤字脱字なども多いと思いますが、楽しんでください。よろしくお願いします。

宇宙は静かだった。


 人類圏外縁宙域――第七ラグランジュ宙域。


 無数のデブリ帯が漂うその空間を、一隻の宇宙巡洋艦が進んでいた。


 統合人類軍所属巡洋艦アーク・ヴェイン


 全長七百メートル級。

 旧世代戦艦を近代改修した、前線用の中型艦だ。


 その艦内格納庫では、整備兵たちが慌ただしく動き回っていた。


「左腕フレーム固定急げ!」

「三番カタパルト、出撃準備完了!」

「FW部隊、発進シークエンスに入ります!」


 火花。

 警報。

 油と焼けた金属の匂い。


 戦場前夜特有の空気が満ちていた。


 格納庫中央には、人型機動兵器が並んでいる。


 それは、人類軍の主力兵器カテゴリ――


## FW(Frame Weapon)


 人類軍正式採用の量産型機動兵器。


 汎用性と整備性を重視した人型兵器群であり、現在の宇宙戦争における主力戦力だ。


 その中でも、《RGM-91 ジェガード》は最も普及した量産FWだった。


 灰色の装甲。

 大型ライフル。

 安定した推進器。


 どこにでもある“兵士の機体”。


 だが。


 格納庫の最奥。


 そこに置かれている一機だけは、明らかに異質だった。


 黒銀の重装甲。

 異常なほど鋭いシルエット。

 背部に接続された巨大ユニット。


 まるで、生き物のような威圧感。


 機体識別コードが赤く表示される。


## 《HX-01C ヴァルグレイヴ》


 FWとは別系統。


 古代文明由来・特別分類兵器。


## HX(Humanoid Xeno-machine)


 解析不能技術を含む、人類製ではない超機動兵器群。


 現在確認されているHXは極少数。

 その多くが、文明崩壊級の危険性を持つとされていた。


 そして。


 《ヴァルグレイヴ》は、その中でも最重要危険指定機体。


「……相変わらず、気味悪い機体だな」


 青年が呟く。


 羽吹・K・ソラナム。


 十七歳。


 《アーク・ヴェイン》所属テストパイロット。


 黒髪。

 鋭い目。

 少し吊り上がった口元。


 そして、どこか投げやりな雰囲気。


 だが、その瞳だけは戦場慣れしていた。


 彼は整備ハッチに腰掛けながら、《ヴァルグレイヴ》を見上げている。


「気味悪いって言うな。泣くぞ、その子」


 背後から少女の声。


 振り向くと、白銀色の髪をした少女が立っていた。


 リゼ・アルフォード。


 《セラフィム》専属パイロット。


 年齢はソラナムと同じくらいだが、どこか大人びた空気を纏っている。


 彼女は呆れたように肩をすくめた。


「せっかく専用機もらったのに、その態度?」


「専用機っていうか、呪い付き兵器だろこれ」


「否定できないのが嫌ね……」


 リゼは《ヴァルグレイヴ》を見る。


 その瞳に、一瞬だけ警戒の色が浮かんだ。


「でも、適合したのはあなただけ。」


「嬉しくねぇなぁ……」


 ソラナムは頭を掻いた。


 実際、《ヴァルグレイヴ》は普通ではない。


 搭乗時、脳へ直接流れ込む情報。

 異常な反応速度。

 そして時折聞こえる、“声”。


 人類軍上層部はそれを『高次同期現象』と呼んでいた。


 だがソラナムからすれば。


「ただのヤバい機体だろ」


「それを乗りこなしてるあなたも大概よ」


「褒め言葉として受け取っとく」


 その時。


 艦内警報が鳴り響いた。


## ALERT


## UNKNOWN HOSTILE APPROACHING


 格納庫全体が赤く染まる。


「敵襲!?」


 整備兵たちがざわめく。


 オペレーターの焦った声が通信に響いた。


『高エネルギー反応接近!』

『識別不能機です!!』


 艦橋。


 艦長であるレオニス・ヴァルターがモニターを睨む。


「映せ」


 メインスクリーンへ映し出されたのは――


 “黒”。


 宇宙空間を裂くように、一機の人型兵器が現れた。


 全身漆黒。

 巨大な黒剣。

 赤い単眼。


 その存在感だけで、空気が凍る。


『識別データ照合不能!』

『FW登録無し!』


 クロスチェック結果が表示される。


## UNKNOWN CATEGORY


## HX反応確認


 艦橋が静まり返った。


「HXだと……?」


 レオニス艦長が低く呟く。


 HX。


 それは通常兵器の概念を超えた存在。


 そして、その大半は。


 “人類に敵対した”。


 次の瞬間。


 黒い機体が動いた。


 ただ、それだけだった。


 しかし。


 前衛にいたFW部隊が、一瞬で爆散した。


『ジェガード二番機撃墜!!』

『速すぎる!!』


 黒い残光。


 巨大剣。


 斬撃。


 それだけで量産FWが紙のように裂かれていく。


「なんだよ、あれ……」


 ソラナムの表情から笑みが消えた。


 リゼも険しい顔になる。


『敵機、識別コード仮設定!』

『《EXECUTION TYPE》!!』


 さらに警報。


『敵機、こちらへ直進中!』


「狙いは艦か!」


 レオニス艦長が叫ぶ。


「FW隊を前へ出せ!」


『間に合いません!!』


 その瞬間。


 ソラナムが歩き出した。


 真っ直ぐ、《ヴァルグレイヴ》へ向かって。


「ソラナム!」


 リゼが呼び止める。


「行く気?」


「他にあるか?」


「まだ調整終わってない!」


「終わるまで待ってたら、艦ごと終わる」


 彼は振り返る。


 不敵な笑み。


「なんとかしてくる」


「その“なんとか”が怖いのよ!」


 だが。


 ソラナムはもう止まらなかった。


 格納庫リフトを駆け上がる。


 《ヴァルグレイヴ》胸部コックピットが開く。


 内部へ飛び込む。


 暗いコックピット。


 次の瞬間。


 機体が“先に”反応した。


## SYSTEM START


> “WELCOME, SOLANAM.”


 機械音声。


 だがどこか、人間のような響き。


「……気味悪ぃ」


 ソラナムは操縦桿を握る。


 その瞬間。


 脳へ膨大な情報が流れ込んだ。


 推進器状態。

 武装。

 敵位置。

 重力計測。


 普通のFWではあり得ない情報量。


「っ……!」


 頭痛。


 だが同時に、理解できる。


 まるで自分の身体のように。


 外で整備主任が叫ぶ。


「カタパルト急げ!!」


「出力安定しません!!」


「知るか!!出せ!!」


 《ヴァルグレイヴ》がゆっくり立ち上がる。


 格納庫全体が震えた。


 リゼが通信を開く。


『ソラナム、聞こえる?』


「聞こえてる」


『無茶したら――』


「死ぬ?」


『……馬鹿。』


 少しだけ沈黙。


 そして彼女は小さく言った。


『ちゃんと帰ってきなさい。』


 ソラナムは少し目を見開く。


 それから笑った。


「努力する。」


 カタパルト接続完了。


## ALL GREEN


『《HX-01C ヴァルグレイヴ》、発進可能!』


 ソラナムは前を見る。


 モニターに映る黒い敵。


 圧倒的脅威。


 だが、不思議と恐怖はなかった。


 代わりに。


 胸の奥が熱くなる。


 《ヴァルグレイヴ》が共鳴している。


 戦いたがっている。


「……お前もやる気か。」


 ソラナムは操縦桿を押し込む。


「だったら。」


 目が鋭く細まる。


「派手に行こうぜ。」


---


## 《ヴァルグレイヴ》発進。


 黒銀のHXが、宇宙へ飛び出した。


 その瞬間。


 《EXECUTION TYPE》の赤い単眼が、初めて反応する。


> 『……確認。』


> 『同系統反応。』


 宇宙空間で。


 二体のHXが向かい合う。


 その瞬間。


 戦場の空気が変わった。


 FW同士の戦争ではない。


 これは。


 人類の理解を超えた戦い。


 HX同士の戦争だった。


 ソラナムはゆっくり口元を吊り上げる。


「さぁて。」


 ライフルを構える。


「まずは一発、挨拶してやるか。」


 《ヴァルグレイヴ》の推進器が蒼白く輝いた。


 そして。


 黒き巨人が、戦場へ躍り出る。


---


# Chapter 1 END


次回

Chapter 2「疑惑の翼」


「お前……本当に人間なんだよな?」


 HX同士の戦争が、始まる――

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