第01稿03話~爺ちゃん、採集に勤しむ9~
__久黎爺|森
「フレアストーム」
群体の蜂達が渦巻く焔に巻き上げられていく。きゃんぷふぁいやーという奴じゃな。しかし、ここは森なのに木々に燃え移らないのが謎じゃ。
「森の中だと凄い綺麗ですね。暗いからかな?」
「確かに草原では昼時に見る花火の様なものじゃの」
「明るい所では派手さが足りないかしら?」
「十分、綺麗じゃよ」
「フレアストーム、ひとまずは、湧き出る蜂をさっさと処理してクイーンビーを出しましょう。あら、エンチャントエネミーが出てきましたわね。火は残りそうなのでK太さん撃ち抜いて貰えますか?」
「はい、分かりました!」
フレアストームの後、赤いオーラを纏った蜂さんの群れが残っていた。前回の森林訪問で戦った火のエンチャントの蜂さんじゃ。その群れに矢が突き刺さる。さらに追加で斧も突き刺さる。それを見て儂は石を投げた!
「あー、成程、ああいう群れ系の敵は一定ダメージで一体落ちていく感じなんですね」
「えぇ、そうよ。矢は貫通系の攻撃だから群れに当たって1~3匹分削れれば良いって考えで良いわ。私のフレアストームは見ての通り範囲攻撃だからアレなのだけれど。あと近接攻撃は武器によるわね」
「そうなんですね」
「それは知らなかったのぅ」
「石は大きさによるわね」
「なるほどのぉ」
「フレアストーム、エンチャントエネミーは一定確率で出るのだけれど、今は湧く速度早いから出やすいのですわ。火のエンチャントは火耐性で残っちゃうの」
「そう言えば、このゲームはレベル制じゃないんですね」
「そうね、基本的に最初の種族とかのスキルは固定、そして装備や装飾品に付いたスキルで出来る事をカスタムしていくスタイルね」
「後半だけ聞くと4人で一狩りするゲームの様な感じですね」
「凄い古いゲームを知ってるのね」
「あれ、この前、新作が出たような」
「あぁ、だったら私の勘違いのようね」
「クイーンビーが現れました」
「来たか!石の準備良し!」
石を3個取り出し、準備は万端じゃ!
「あれがクイーンビー……大きい。でもあまり怖くないな。怖いと思ったのは集合体恐怖症って奴かな?」
うむ、確かに女王蜂は大きい。最初に戦った働き蜂さんを更に大きくしたものじゃ。集合体恐怖症、確かはにかむ構造や蓮根などに恐怖を覚えるモノだったかの?
「ではK太君の一射が当たったら儂も石を投げるぞい」
「では行きます!」
女王蜂に矢が当たるのを確認して石を投げる。3個では足りなかったようじゃ。低空で飛行しK太君の元へ向かっていたので三節棍を装備し間に割り込み殴りつける。ふむ、こちらを見させることには成功した様じゃ。蜂さんが何処を見ているのかは目で見ても分からぬが肌で視線を感じる。
「こっちを見ておる」
K太君と蜂さんの間からズレ、射線を開けつつ蜂さんの突撃を避ける。
「2射行きます!」
「頼むぞい!」
射線に押し出すように三節棍の手持ち部分で押すと蜂の腹に矢が刺さった。うむ、当主の投げた球とばっとに挟まれた感じじゃろうか。これはだめーじが期待できそうじゃ!ばんとに成功したぞい!
「意外とえぐい事してるわね。お爺様……」
「普通に痛い奴ですね。あ、追撃チャンスです。追撃です。追撃」
おぜうちゃんと羊が完全に観客と化しておる!完全に羊が執事ではなく観戦者になっておるのぅ。追撃を所望している様なので指示通りに追撃を行う。三節棍で腹の付け根を羽交い絞めにして捻る。
うむ……頭から腹の付け根までふわっとした毛に包まれておる。どうやらこの蜂さんはミツバチの様じゃ。綿毛の様なふわふわの毛が儂の顎に当たって……おっと、これは儂の髭じゃ。というのは置いておいて、意外と手触りが良いのぅ。
「ふわっふわじゃ!」
「そんなに、ふわふわなんですか?僕も触ってみたい」
ふむ、このげーむのぷれいやーはもふりすとが多い様じゃ。
「……蜂ですわよ?」
「ミツバチですよ」
「あ、そうか。ミツバチか」
「蜜蜂、確か一回刺したら死んでしまうのではなかったかのぅ?」
羽交い絞めを維持しながらお話、戦闘中でも声が聞こえるのは仕様かの?
「お爺様、刺されてみます?」
「今回は遠慮しておくとするかのぅ」
「次回はやるんですか」
K太君、その通りじゃ。死ぬときは1人の方が身軽だからのぅ。PTに入ってる時に死んだらどうなるのじゃろうか?
「うむ、PTに入ってる時に死んだらどうなるんじゃ?K太君、頼むぞい」
蜂さんをK太君の方へ向ける。K太君の腕なら恐らく儂に当たる事はないじゃろう。
「撃ちまーす」
その声と共に矢が放たれる。これで3発の矢を女王蜂は受けている。あとどれくらいで倒せるのじゃろうか?
PTでは死なない様に立ち回る予定のお爺ちゃん。一人でまた森にくるかもしれない。
という訳で今回はここまで、次回は蘇生について羊ちょーが教えてくれます。
多分、お爺ちゃんは若い頃は草野球でぶいぶい言わせていたんでしょう。
一狩り行くゲームの二人の会話は重要かもしれないし重要ではないかもしれない。
それでは皆様また次回。




