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ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
13:サインオーガ爆誕!

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4:決戦! MΘNΘCERΘS 中盤戦その1

2016/09/08 5:28 序盤戦に合わせて、中盤戦の1回で出そうとしたんですが、1万文字超えたので断念。何卒よろしくお願いします。設定上、まだ摘めていない所があります。御了承下さい。

「ザザッ―――■(ワルコフゥ)モノモノモニョモギョ、モノモギョモニョモニョニョ……」

 IME入力のくせに、何故か噛み噛みな宇宙服(ワルコフ)。

 可愛らしく舌っ足らずな、音声ライブラリが、一角獣の注意を引く。


「ザッ―――ワルコフ(オマエ)は、しなくていいのっ! 作戦狂う(・・・・・)だろっ! さっさとソレ並べてくれ!」

 宇宙服(ワルコフ)は制式敬礼(両手足で丸)をして、■(ワルコフゥ)アイアイサーとか言って再び地面へかがみ込む。


 足(ひづめ)を止めていた一角獣は、再び、ゆっくりと、うろつき始める。

 藍色の毛皮の表面を、細かな放電が伝っていく。


「ザッ―――そして、オマエはさっさと、始めろコウベ!」

 サイボーグは美少女に指を突きつけた後、自分の手足を注視する。


『右手アタッチ換装小型銃 装弾数 1/1』

『右前腕部アタッチ換装小型銃 装備数 3/3』

『右上腕部アタッチ換装小型銃 装弾数 2/2』

『右肩アタッチ換装小型銃 装弾数 4/4』


『左手アタッチ換装小型銃 装弾数 1/1』

『左前腕部アタッチ換装小型銃 装備数 3/3』

『左上腕部アタッチ換装小型銃 装弾数 2/2』

『左肩アタッチ換装小型銃 装弾数 4/4』


『胸部格納部アタッチ換装小型銃 装弾数 13/13』

『腹部アタッチ換装小型銃 装弾数 16/16』

『腰部アタッチ換装小型銃 装弾数 7/7』

『背中アタッチ換装小型銃 装弾数 14/14』


『右太股アタッチ換装小型銃 装弾数 4/4』

『右脹ら脛アタッチ換装小型銃 装弾数 2/2』

『右踵アタッチ換装小型銃 装弾数 1/1』


『左太股アタッチ換装小型銃 装弾数 4/4』

『左脹ら脛アタッチ換装小型銃 装弾数 2/2』

『左踵アタッチ換装小型銃 装弾数 1/1』


『頭部アタッチ換装小型銃 装弾数 1/1』


 ビュワビュワビュワワワワッ!

 映像空間の中のサイボーグが、HUD(拡張表示)で塗りつぶされた。


「うわゅっ! ……きっしょいなあ、……鋤灼(スキヤキ)はん」

 驗(シルシ)の体の動きに追従して、複雑に蠢(うごめ)く残弾表示。


「ほんと、煩(うるさ)いわね、これ消せないのかしら?」

「映像空間(パーティーチャット)だとぉ、強制的に見えてぇしまうわねぇー」


「これ、放っときゃ消えるんじゃねえか? 前に、重装備な連中にポイントしちまって、HUDだらけになっちまったけど、確か、すぐ消えたっつか……」


「刀風(カタナカゼ)君ー、正解ー! 全員の複製(コ・サブジェ)主観(クティビティ)で表示し尽くしたら、あとは消えない場合でも、アイコンと残弾数だけに、なると思いまぁす」


 しばし無言で、映像空間(パーティーチャット)を見つめる一同。数秒後、刀風(カタナカゼ)の言うとおりに、映像空間の中のサイボーグ(シルシ)が再び姿を表した。まだ、体表面に小さく表示が浮かんでいるが、これなら、観戦に支障はない。


 映像空間(パーティーチャット)の中で、ピタピタSFコスに身を包んだ美少女が、ナックルガードを片手だけ装填する。

 そして、驗(シルシ)ボーグを恨めしそうに振り返った。


「ザザッ―――やれ! 我慢しろ! それに今喰っただろうが!?」

 自分の腕の武器弾薬スロットを開け閉めしたりしてた、シルシボーグが、顔を上げて、命令口調で命令した。


 一歩前にでる美少女。

 僅(わず)かに見える顔の輪郭から、苦悩の表情を浮かべているのがわかる。

 一角獣は、なぜか無造作に、一歩近寄って来た。


 意を決したように、即座に美少女は、スロットから、何か平べったい物を出して、自分と一角獣の間に放り投げた。


「ザザッ―――うぅーーーー、勿体(もったい)ないっ!」

 ボイルした烏賊(いか)のような袋の形(レトルトパック)。


 その烏賊(いか)そっくりな、同じ特選おやつに囓り付く刀風(カタナカゼ)。

 あっ、これ旨ぇー! 中にイカスミで炊いた飯が入ってる。


 えぇっ!? それはぁ、手が込んでるわねぇー。

 ほんとやなぁ。……ええ仕事やなぁ。

 美味しそう! あたしの”手羽先”と交換しなさいよ!

 んだと? ふざけんな! ああっ! 頂いたわよ! 手前ぇー! 返・せ・よ!


 映像空間越しの喧噪に、目尻を下げ、口の端を上げる少年(サイボーグ)。


 カシュ!

 その左脇腹の辺りへ、細い補助腕(サブ・アーム)が飛び出す。

 背中の武器弾薬スロットから、小さな拳銃を取り出したのだ。

 この流れるよう(スムーズ)な補助腕(サブ・アーム)の動作も、環恩(ワオン)調整の、VRH(ヘッド・マ)M(ウント・デ)D(ィスプレイ)の恩恵だが、誰も気づかない。

 一角獣(モノケロス)が、一呼吸、足を止めただけだ。あるいは一角獣(モノケロス)は、低レベルなサイボーグプレイヤーが、一流のトップランカー並の、動作を見せた事に、気が付いていたのかもしれない。


 段ボール質感の地面に引かれた、引っかき傷(バミリ)へ両足を揃えて立つ。左脇腹に突き出された、超小型の単発銃(装弾数1/1)を右手で引き抜く(装備した)。

 シャコンとスロットへ戻る補助腕(サブ・アーム)。


 再び映像空間に、釘付けになる『VRE(エンジン)研究部』一同。

 なぜか、その周囲が騒がしくなっている。


 驗(シルシ)達が映し出されている映像空間(パーティーチャット)の上部に、何か小型のアナログ放送(UHF)アンテナのような物が突き刺さっている。


 そして、環恩(ワオン)達がいる、屋根の付いた休憩所の、横。

 かなり広い、タイル張りの広場に、巨大な映像空間が映し出されていた。

 それは、驗(シルシ)を映し出している映像空間の複製(ミラー)のようで、周りに群がっている、多種多様な姿のプレイヤー達が、鋤灼驗(スキヤキシルシ)の一挙手一投足に注目している。その手には、特選おやつが完備されている。皆、観戦する気満々である。


 『プレイ初日(LV0×3)パーティー VS レアボス”一角獣”(LV52)! 一大決戦中継中!』と、立体的な手書きのフォントが浮かんでいる。

 その下には、『観戦料:超小型銃(単発でも可)1丁。または、特選おやつ2個。』と、書いてある大きな透明のケース。


 今にも花が咲きそうな、まるまると肥えた”花の蕾(つぼみ)”頭が、着流しの袖から、小型拳銃を取り出して、透明なケースに投げ入れる。

 蕾の頭上に文字が浮かぶ。


『スクランブル解除』

 ピロン♪

 彼? の主観に、今出現したであろう、大きな”映像空間”を見上げ、蕾(つぼみ)男は綺麗な大輪のひまわりの花を咲かせる。今度は着流しの懐から、”特選おやつ”を取り出して、観戦に参加した。


「なーんか、結構ヒト増えてるけどいいのこれ?」

 海賊剣士(マガリ)が、体育座りする向日葵(ひまわり)男を見ながら、不安げな声を出す。


「いーんじゃねぇの? トップランカー同士の有料PVP戦配信なんて、珍しくも無えんだし」


「そおどすなあ。……ちょっと……怖いけど、……単発銃がこの決戦の……肝心なとこで、……こうでもせえへんと……短時間で、計86丁も……集められへん……やったろうしなあ」


 作戦に必要な、|超小型拳銃(装弾数1/1)を、短期間で調達するために、驗(シルシ)本人が「配信しよう」と提案したのだ。

 大抵のプレイヤーならアイテムボックス(インベントリ)に、数個は入っているソレ。提供してくれるヒト(プレイヤー)は多かった。

 金庫と装備スロット以外では、スタック(重ね置き)出来ないせいで、インベントリを知らぬ間に圧迫する厄介者なのだ。そこそこ高価なのも煩わしさに拍車をかけている。今回は単発のものを必要としていたが、あえて、装弾数4/4までの物を除外しなかった。要らなさでは単発がダントツだからだ。案の定、開始5分で環恩(ワオン)達が、持ってたものと併せて、86丁が揃った。


 すぐに看板と、納品箱(透明ケース)を撤去しようとしたが、何かのイベントと勘違いされたのか、周囲に観戦希望者がどんどん集まってきたため、揉めるよりは良いかと放置することにしたのだ。

 驗(シルシ)少年の返答はこうだった。


「えーっ? いーんじゃなぁい? うふふー」

 女子か! と禍璃(マガリ)に突っ込まれながらも、少年は、せっせと、超小型銃に自動的に弾丸を込めながら、自分の体の中に一つ一つ装填していく。

 ちなみに弾丸はワルコフ提供だった。今まで呑み込んだ各種の弾丸が山のようにあって、システム上、数値化されてしまうので、消化できずに困っていたという話だ。

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