↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
12:キャラメイク

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/153

4:SIGN†OGRE爆◯!その2

2016/08/20 3:23 よろしくお願いします。

「こらぁ!? ぺっしなさい! ぺって! 早く!!」


 猫耳環恩(ワオン)の舌っ足らずでかわいらしい、音声ライブラリ。

 その慌てふためく、問いかけ、いや、懇願に対するは、落書きみたいな宇宙服。


 ■コレハコレハ、ミス環恩、本日モ、ゴ機嫌ウルワシク_

 カタカタカタタタン。


 宇宙服(落書き)は、内部処理的には、遠長な距離をものともせずに、環恩(ワオン)を見上げた(目視確認)。そして、開かれたままのチャット画面へ返答(介入)してみせたが、冷静ではない環恩(ワオン)は、それに気づかない。


 環恩(ワオン)が講座中にいつも使っている、ピンク色の髪色の猫耳キャラ。

 巨大な立体ドット絵(ボクセル)から、フォトリアルなポートレートまで、時には手書きのアニメーションだったりと、多彩な表現形態で特別講師に成り代わるネコミミ。軸索さん(Ochまとめ)に、専用ページが作られる程度には有名だが、隠れキャラ扱いされており、特に重視はされてない。

 今回は4頭身の彼女(チャット用アバター)を、自分のゴツい開発者用デバイスから、猫掴みで取り出して、対戦画面の中へ放り込んだ。

 ちなみに環恩(ワオン)の開発者用デバイスは、VR・AR対応の腕時計タイプ。色は、蛍光黄緑にブルーのロゴ入り。


 尻の所で若干の抵抗を受け(ひっかかり)つつも、スルスルと、対戦空間の中へ入り込み、クルリと回って着地した、ピンク髪のネコミミ。若草色のツーピース。襟袖(えりそで)が白い折り返しで装飾されている。胸と手首を留めている、大きめのボタンは、突起2つの猫耳形。尻尾は無くて、皮製のミュールを履いている。とてもカワイらしく、利発そうな印象だ。

 ただ、全体的な形状が、データマテリアル対応紙粘土(・・・)製のような、どこか、作りの甘い印象を受ける。この辺は、VR設計師に軍配が上がるのかもしれない。


 姉さん!?、先生!?、笹ちゃん!?

 ギョッとした3人は、声を揃える。

「「「ソレ? どうなってんの?」」…んだぜ?」


『アバターを直接掴んで、対戦中の空間に投げ入れる』

 コレは、さっきまでの、アイテムを投げ入れたりするのとは、訳が違っていた。


「先生……それは、ワルコフのイケズと……おんなじ手口(ハック)と……違い(ちゃい)ますのん?」

 このチャット対戦空間は、驗(シルシ)と歌色(カイロ)の持つ、キャラクタ同士が、V.R.IDシステムを使い、限定的に開かれたもので、その量子鍵(QKD)を相互に監視することで、接続を維持している。VR・AR問わず利用出来、ポピュラーだが、個人間通信としては、大げさといえる。


 量子鍵(QKD)を持つ、他のキャラクタが、介入した時点で、鍵は書き換わり、リアルタイムに通信を維持する事は、不可能なはず。つまり、この対戦空間は接続が切れるはず(・・・・・・・・)。

 この辺までは、あまり理論上のことを深く勉強できていない、驗(シルシ)や刀風(カタナカゼ)にも、理解できる事だ。


 本来不可能な、リアルタイム通信への介入。

 宇宙服(不可能)×特別講師(不可能)。不可能の2乗だ。


 通信中の対戦空間は、大きな買い物カートみたいな物で、アイテムを出し入れしたりは出来る。だが、荷物の入った買い物カートに、別のカートを入れようとしても、クラッシュするに決まってる。

 簡単に言うとこんな感じ―――VR関連の特別講座中にチョットだけ触れた、”V.R.ID間(リアルタイム)通信”の説明。その猫耳好きな特別講師の壇上での言葉を借りると、そう言うことらしい。


「ワルさんのぉ、リアルタイム通信介入(ハッキング)のぉ、ログを取って置いたんですけどぉ」

 環恩(ワオン)は、VR対応のゴツい腕時計型デバイスを、目の前に持ってくる。オレンジと赤でデザインされた、小さな〝空間認識用アダプタ(ドングル)〟が差し込まれている。


「ワルさんの手順だと、量子鍵(QKD)生成にー、力任せな(雑な)トコが有ったからぁ、量子鍵(QKD)検出モジュールと一体化してみたんですけどぉ。そしたらぁ、処理効率を2%も改善(UP)出来ちゃってぇ」

 デバイスの表示面を突いて何かを確認する。そして、側面に付いた小さなスイッチカバーを開いて、中のボタンを押した。


「そのお陰で先生もー、ギリギリだけど、回線の量子状態をー維持したまま、リアルタイム通信に介入出来るようになりましたぁー❤」

 カヒュッ。圧縮空気の抜けるような音がしたかと思うと、腕時計デバイスの、表示板面が空へ飛び上がった。ソレは幾重にも積層表示された、処理モジュール自体(・・)だった。


「先生ぇ、……理論上宇宙最(ステガ)堅牢(ノ)の暗号通信規(グラフ)格の、量子鍵《ブラックボックス》に、……介入しただけじゃのうて……2%改善って……」

 細身で巨漢な悪夢の処刑人が耳をふさいで、唸(うな)りだした。

 禍璃(マガリ)の腕一本分くらいの長さに伸びた、何千枚もの処理モジュール(積層表示)。その、最上段(てっぺん)が、巨漢の唸(うな)り声に引き寄せられるように、ゆっくりと降りてくる。光の粒子になって消えていく最上面の内容を、受け継ぐ度に、降りてくる平面の輝度が増していく。


 まあ、危険色(明るい赤色)の出てない、特別講師が、そ(リアルタイム)れ(通信への介入)をヤッてのけた事は、大問題である事は間違いない。

 VR設計師も、似たようなこと(技)を、すでに披露しているが、資格を持つもの(ライセンス所持者)が、多少強引な手順を踏めば可能な範疇だ。


 実際ワルコフは、接続維持に必要な、驗(シルシ)のチャットアバターだけでなく、セキュリティー上、最優先のはずの本体(・・)にまで影響を及ぼしている。

 不可能を可能にしすぎである。


 そして、特別講師謹製のチャットアバターは、今まさに、乱入者(ワルコフ)に対して、乱入(・・)を仕掛け、あまつさえ、その胸ぐらをひっつかんでる(・・・・・・・)最中だ。

 先行入力された、チャットコマンドで言えば、『@F(飛) @F(び) @F(か) @F(か) @C(る)』。


 VR対応のゴツい腕時計型デバイスを、戦闘出力稼働(全拡張ビット開放)させっぱなしの、猫耳ヒューマノイド。腕時計に齧(かじ)り付き、苦渋の表情で、呪文を、……呪いの呪文を吐いている。

 「お給料日前の」「高課金量子演算(ぜいたく)は」「卵かけご飯」「ふりかけ」「塩パスタ?」

 腕時計の角に付いた、表示板を留めている様にも見える、大きめの捻子(ネジ)が、結構なスピードで旋回している。何を意味しているのかは、解らないが、節約レシピが、どんどん質素なモノになっていく事と、無関係では無いだろう。

「えっと、水?」

 不可能を可能にしすぎである。


「鋤灼(スキヤキ)、どこ行っちまったんだぜ!? 大丈夫なんか!?」

 オロつく刀風(カタナカゼ)。四六時中連(つる)んではいたが、親友と言うほどには、付き合いの深くない驗(シルシ)の事を、本気で心配して居るようだ。

 鋤灼驗(スキヤキシルシ)に、お前は生まれついての(ネイティブ)イケメンだなあと、言わせる由縁と言える。


「そうでしたぁ、鋤灼(スキヤキ)君をー、返してぇー! 出来るだけ早くー(・・・・・・・・)!」

 刀風だけで無く、環恩(ワオン)も、取り乱す程度には本気で心配してるように見える。……本日以降の食事メニューの心配も、若干(じゃっかん)含まれているようだが。


 残りの二人は、直接、ワルコフ達の、強制バトルレンダ(赤色の凶行)を目の当たりにした事がないせいか、静観していた。少しくらい、変なことがあっても、まさか、VR空間内部での事が現実に、影響を及ぼしかねないとまでは、思っていないのだろう。

 それほど真剣じゃない事もあるが、鋤灼(スキヤキ)驗(シルシ)少年、自体(・・)はともかく、そのプレイヤーとしての、キャラクタ構成には、全く、興味がなかったのかもしれない。


 妙に、慌てふためく猫耳(姉)と、魔女っ娘(イケメン)を目の前にして、禍璃(マガリ)が、音声チャットへ怒鳴った。

「ちょっと、鋤灼(スキヤキ)!? アンタ、今何処に居るのよ!?」


「ザザッ―――えー? 笹木ー? うふふー、どこだと思うー?」

 オラついた同学年に対し、にこやかな応答をする音声チャット。


「だからアンタは女子か!……何よ、ちゃんと居るじゃ……」

「ザザッ―――俺はねぇー、なんか、宇宙っぽいとこにいるんだけどサー」


 刀を背負った海賊が、安堵(あんど)の声を上げる。

「鋤灼(スキヤキ)、居たわよ! 何処だか解んないけど、宇宙(・・)に居るって言ってる!」

 メカ猫耳を頭から生やした、作り物のように整った美少女が振り向く。

 そして、側にいた魔女っ娘と、平手を打ち合わせて、消失したハンサムサイボーグの安否確認を喜んだ。


 項邊歌色(コウベカイロ)も、何かをしようと思ったのか、驗(シルシ)の周囲を映し出すはずの、映像空間を、素手(・・)で、ひっぱたいている。

 素手と言っても、腕に巻かれた、ゴツくて白い腕時計型デバイスから、はみ出すように積層表示されているのは、明るい赤の地色に(・・・・・・・・)真っ白い文字(・・・・・・)だ。

 それなりの効果はありそうだったが、瞬間的に、明暗が生じる程度で、依然砂嵐(スノーノイズ)のままだ。ちなみに、特区にも、スターバラッドの世界にも、スノーノイズ(アナログ放送)は無い。


 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_


「ワルさぁん!? 何とか言ってくださぁい! 怒りますよぉ!? 鋤灼(スキヤキ)君をー返してくださぁーい!」

 かわいらしいお出かけ服に身を包んだ、4頭身のピンク髪の猫耳が。

 落書きのような4頭身の船外活動用宇宙服(EMU)の耳から。

 手を突っ込(@C)んで、奥歯をガタ(@?)ガタ、させようとした時。


 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_


 チャットに表示されている、ワルコフの書き込みに気づいた、刀風(カタナカゼ)兼魔女っ娘。


 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_


「なんだぜ、こりゃぁ!?」


 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_

 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_


「修復を、……試みとる、……ようどすなあ」


 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_

 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_

 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_


「姉さん、叩きすぎたんじゃないの?」

「そうかもだぜー、旅館のテレビじゃ無えからなー」


「先生は、まだ、何もぉしてませんよおー?」

 『@D』

 ”避(さ)ける”入力により、ワルコフに掴みかかっていた、猫耳がペリッと手を離した。


 ■現在、破損個所ノ修復ヲ試ミテイマス_

 ■現在、一生懸命ニ、破損個所ノ修復ヲ、試ミミル事ガ、急務ト思思ワレレレレマs_


「あ!? なんか、……ワルコフ(いけず)の……緊急システムメッセージが……日和(ひよ)りよった!」

「調子悪いみたぁい……ワルコフシステム(・・・・・・・・)? 的にー、良くないー兆候よねーこれぇ」

「……そうどすなぁ。IME(ろれつ)……も……なんか……回らなくなってしもて……」

 専門家達は、不吉なことを言い出す。


「ねぇー、鋤灼(スキヤキ)! あんた、しょうが無いから、一回、ダイブアウトしちゃいなさいよ!」


「ザザザッ―――そーすっかな……おーい。ワルコフー、居るのかー!?」

 微(かす)かに届く、10秒(4回)の呼吸。

 その間も、4頭身の素朴な印象の猫耳と、4頭身の落書きみたいな宇宙服は、ややうつむいて、顔をつき合わせている。

 見方によってはほほえましく。見方によってはもう、とっくにホラーだ。


「……ワルコフここには居ないみたいだし、一回教室に戻るよ。ピピ♪」

 驗(シルシ)が、VRメニューを開く音が聞こえた直後。


 砂嵐(スノーノイズ)の詰め合わせみたいになってた、定格サイズの映像空間が、復活した。


 何故か青ざめる、美人女性陣(巨漢と猫耳)。

「鋤灼(スキヤキ)はん、……逃げはなれ!」

「鋤灼(スキヤキ)君ー、逃げてぇー!」


「ザザザッ―――えー!? どうしたんすかー?」

 映像再開直後、逃げろと言われ、顔をしかめるハンサム(スキヤキ)なサイボーグ(シルシ)。


「ん? なんだ、どした、そこが宇宙?……なんか殺風景なペントハウスみてえな」

「ほんとね、なんか、真っ白くて、ワルコフの家? なのかしら? どうしたの姉さん、項邊(コウベ)さんも……」


 魔女っ娘(カタナカゼ)と海賊(マガリ)が肩を並べて、注目する映像空間の中。真っ白い壁、床、左側に大きく開けた窓には漆黒の夜空。散りばめられている星の1つは、惑星ラスクからも見る事が出来る、第圄(ご)惑星の様に見える。

 透けて見える、映像空間の向こうの、美人女性陣(巨漢と猫耳)が、寄り添って、ガタブルしだした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。