↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
9:優等生と小鳥とブラックボックス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/153

9:優等生と小鳥とブラックボックス、その9

2018/07/23 13:52 表記調整。

2016/07/01 15:33 暫定気味です。よろしくお願いします。

「まず、あなた達のぉ、バトルレンダ、限定的に使える余剰リソースのぉ種類ってなぁにー?」


 カタカタタ

■私のバトルレンダは量子処理系介入(ハッキング)デス_


「ピチュッチチチッ?」

「わかんないよ? そんなの小鳥もわかんないって言ってるよ」


「なんだよ、教室で、難しいことペラペラ喋ってたじゃねーか」

 と驗(シルシ)。

「だって、アレは、頭の中のおーーーーっきな紙に書いてあっただけだもん」


 とうとう観念したのか、背筋直立魔神(カタナカゼ)が重い顎を動かし、たこ焼きを食(は)む。

 そして、禍璃(マガリ)を睨み付けながら、会話に参加する。

「モグモグモグモグ……ゴクリ……そういや、おまえ等、なんで、鋤灼(スキヤキ)がパントマイムみたいなのやっただけで、撃破《HPゼロ》されて、再生(リスポーン)したんだ?」


■ブラックボックス部分ガ起コシタ強制戦闘態勢ナノデ、強制発動条件ヲ解消シタコトデ、戦闘状況自体ガ、リセットサレタト思ワレマス_


「あのー、パントマイムがぁちゃんと効いてたって事みたいねぇー、鋤灼(スキヤキ)君ー」

 手のひらを、上下にワサワサと、面白く動かす美人講師。


「鋤灼(スキヤキ)のパントマイム(バトルレンダ)って結局何だったんだ!?」


「なんか、リングアイコンが出たっぽいんだけど、そこには何にもセットされてな(・・・・・・・・・・)かった(・・・)んだよ」


■リングアイコン? 私のバトルレンダとは違ったシステムですね_


「アタシのは、アイツ等(・・・・)とかに出くわして、ギャーッてなったときに、勝手に出るから、シルシの参考にはならないよ」

「そうだな、コウベは天然……いや天才だな。で、アイツ等ってのは、初期フロアの底で出くわした、エリンギを粉砕してガメてた、馬鹿でかい土偶みたいな奴らな」


 驗(シルシ)は憎しみに満ちた顔芸を披露する元ハンサム少年と、嘲(あざけ)りに満ちた顔芸を披露する元童顔美少女へ、”コウベエンカウントイン奈落”の補足をした。


 自分、刀風(カタナカゼ)、自分、刀風(カタナカゼ)と、交互に食べたり食べさせたりを続けていた禍璃(マガリ)が、アンタも食べる? とたこ焼きを驗(シルシ)にも突き出す。

「俺は、”フルト(フルトォ♪)”が有るからいいよ」

 と少年は串に刺さった、赤と黄色で彩られた妙に長くてカリカリに焼かれたソーセージをかじってみせる。

 そお? と言って、禍璃(マガリ)は再び、刀風(カタナカゼ)の餌付けに戻った。

 フルトォ♪ というのは、カフェテリアのマスコットキャラの口癖である。学園内の至る所で流れているCMである。因(ちな)みに、3本150円という価格に見合わない大きさで、これ目当てにやってくる客も居るくらいだ。


「ピーチュチュピィー♪」

 小鳥は羽根の下から、ゴミ、いやよく見れば、4つに折り畳まれたメモを取りだし、ボスである笹木講師に差し出す。

 だが、今の笹木講師は、VRデバイスもなければ、データグローブもない。トレードマークのARメガネも掛けていない状態である。


「指先サイズのマニュピレートは難しいわねぇー」。

 笹木講師がコウベに懇願する。

「コウベちゃぁん、それー、開けてみてくれるぅー?」


 小鳥からソレをひったくった小さい手。文庫本(豆粒)サイズ相当のメモは、開かれA4(キャラメル)サイズ相当になる。

 ソレを環恩(ワオン)に向かって広げて見せた。


『小鳥へ。君がピンチの時はぁ、米沢首(ヨネザワコウベ)に”危ない”って3回言って切り抜けてください』だってぇー。


「ンギャッ!? あの、”緊急警報《危ない×3》”ってメモ書き(初期値)に書いてあったの!?」

 立ち上がり小鳥を睨む、卓上の優等生。

 一瞬の隙(すき)を突き、小鳥が特選おやつを、嘴(くちばし)で千切り取った!

「コウベちゃん達はぁ、いつから一緒に居るのぉ?」

「最初からだよ!? ねーっ! コイツめっ!」

 返せ-! ピヒュイ♪と、ドタドタと走り始める小鳥騎士(メジロナイト)一式。


「じゃ、小鳥の”緊急警報(エマージェンシー)”ってコウベの、バトルレンダ起動承認(・・・・・・・・・・)なんじゃねえの?」

 コウベが落とした小さいメモ書きを風で飛ばないように、ペンで押さえながらシルシの話に耳を傾ける環恩(ワオン)。画素対応レベルを問わず、多目的時計の側では、強制的に風向計の詳細なオープンデータが適応されてしまうからだ。

「たぶんー、鋤灼(スキヤキ)君の言う通りねぇー」

 激しくじゃれ合う小鳥騎士(メジロナイト)一式に全員の視線が注がれる。


「モグ……そんな仕組みになってんのねアンタ達。いっつも一緒にいるとは思ったけど」

 と最後の一個を、自分の口に入れた禍璃(マガリ)。

「モグモグ……設計師的には、”小鳥”優先っぽいな」

 首を縮(ちぢ)め、頭上のコップを難なく取る刀風(カタナカゼ)。

 氷の溶けた冷水を一気に飲み干し―――冷てーっ! と頭を押さえ、禍璃(マガリ)を睨む。

「お前ー、1個多く食いやがった(・・・・・・・・・・)な(・)……」

 自分の食べたミルフィーユの皿と環恩(ワオン)の平らげたパフェの器を重ね、トレーの上に置く禍璃(マガリ)。

 なーんーのーこーとーかーしーらー。刀風(カタナカゼ)が落とした割り箸も拾って、トレーに乗せている。ソコだけ見れば、とても気の付く、良く出来たお嬢さんに見える。


「どうも、この”設計師:たこやき大介”ってのも、フルダイブVRのブラックボックス(根幹)部分に一枚も二枚も噛んでそうな気がするんですが……」

「そうねぇー、でもぉ―――」

「何となくだけど、ようやく見えてきたか? ……モグ……そうでも無いか?」

 シルシは残ってた最後のフランクフルトに齧り付く。

「―――じゃ、ワルさんはぁ、誰に承認してもらってたのぉー?」

 はっとした顔でテーブルを見る禍璃(マガリ)。


 カタカタカタカタッタンッ

■仮想ノ管理者ヲ作ッテ、準管理者権限ヲネツ造シテイマシタ_


「思いっきりグレーね」

 腕組みをし、ドカリと座り足を組む連邦保安官のような禍璃(マガリ)。


■デモ、1体作ルノニ、36時間モカカッタノデ、『余剰リソースヲ直接、パッケージ出力スル方法』ヲ編ミ出シマシタ_


 トレーに発泡スチロールの皿を乗せた驗(シルシ)が、何かに気づく。

「……それ、あの、椎茸かっ!?」


■ゴ明察_


「バトルレンダ無くても、ハッキングは出来るのね? さっき健康管理フレームにー侵入してたもんねー」

 偶然だろうが、外灯の柱に付いた多目的時計の、外気温(数値)が僅(わず)かに下がる。


■ハイ通常ノ小手先ノ、ハッキングハ趣味ノ仮想(A)電子戦(EW)ノ範疇デスシオ寿司、オ手ノ物デシタシー_


■仮想(A)電子戦(EW)デ危険回避ハ出来タノデ、コンナニ大キクナリマシタァ_

「伊達に、最古参のW(ワンダリング)NPC名乗ってないわねぇ」

 しみじみと言った笹木VR専門家。


 両手を広げて見せる宇宙服を見て、シルシは声のボリュームを下げて言う。

「なんか、また会話の端々(はしばし)から、ふざけた感じが、滲み出てきてませんか? 一端、お開きにして、こいつ等開放してやった方が良くないですか?」


「ふむ。じゃぁ大体の所は判りましたぁー! 取りあえず、ワルさんの広範囲に及ぶバトルレンダ使用のハッキングは今後、部員プレイヤー2名(・・)の了承を得ること。良い?」


■イエス、ミス環恩_


「コウベちゃん達はぁ、様子見としまぁす」

 ほっと胸をなで下ろしているコウベと小鳥。もうおやつは無く、喧嘩する原因が無い様子だ。


「余剰リソースってヤツが、貯まりっぱなしにしたとして、なんか問題あんの?」

 スグ横の、トレー置き場に食器とトレーを置いて帰ってきた禍璃(マガリ)が、追加の疑問を投げかけた。


「髪の毛が伸びすぎて絡まるでしょー。あと、切れば良いんだけど、初期フロアには美容院ってないしー」

 などとクネクネとしながら変な声色で、蝶結びのトコでブツ切れた髪をほどくコウベ。


「じゃあー、コウベちゃんの問題にはぁ、私が対処しまぁす。あとぉ、小鳥はー? 何かあるぅー?」


ピチチュイッチチチッ♪

「小鳥にはバトルレンダ無いから、問題無いけどー、オヤツガ欲しいですー♪ ―――だって、生意気! 全てのオヤツはアタシのモノなの! 決まってんの!」


「決まってないぞー。じゃあ、ソレは俺が何とかしてやろう」

 シルシが指先を小鳥に向け、突(つつ)き返す小鳥。


「「ワルコフは?」」まるで図ったように、重なる(ユニゾる)刀風《カタナカゼ》と禍璃(マガリ)。マネすんなとガップリと掴み合う。一歩も引けを取らない禍璃(マガリ)。むしろ刀風《カタナカゼ》の額に汗が浮かぶ。ググググッ!


■私ノ場合ハ、自身ノ全長ガ増大シマス_

■縮尺的ニ、初期フロアニ乗ルコトガ出来ナクナリマス_


「何だよ、最後に大問題来たな!」「ほんとね!」

 片膝を突きながら、叫ぶ刀風《カタナカゼ》。ググググッ!

 靴を脱ぎ、イスに登って、最上段から見下ろすように腕力を振るう禍璃(マガリ)。ググググッ!


「お前等、ほんと、仲良いなー! ……あんまり羨ましくはねえけど」

 驗(シルシ)は温くなったお冷やを飲み干し、立ち上がる。


「なんだと!?」「なんですって!?」

 そう言う種類の組み体操みたいになってる2人の怒声。

 驚いたかのように、小鳥騎士(メジロナイト)一式が横縞のノイズとともに消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。