↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
17:ノベルダイバー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
121/153

0・5:ノベルダイブ その2

2017/02/08 5:42 細かいとこ修正。

2017/02/08 1:41 間が開いてしまいました。その間、執筆していた新作を、カクヨム様で公開してます。よろしくお願いします。

「んー? どこだここ?」


 ジジジジジッ!

 手足のシルエットが、稲妻で縁取られている、……気がする。


 えっらい、高いとこに再出現(リダイブ)したな俺。

 すっげー下の方に、地面が見えている、……気がする。


 よし、視線制御(カーソル)が戻ってきた。

 俺は自由になった首を動かして、周囲を確認する。吹き上がる風が気持ちいーな。上空からの眺めは楽しー。


 えーっと? 離れたとこに木が生えてっけど、それ以外は何にも無え所だな。

 と思ったら、ちょっと上の方から、何か騒々しいのが近づいて来やがった。


『鳥』

 ―――読める。


『小鳥(ことり)』

 目を凝らしてみていたら、『小』の文字がポコンと増えた。

 見続けていたからか、同時にふりがな(ルビ)も表示される。


 『パタタタパタタタッ。』

 音が、読める、―――読める(・・・)?


 ピピッッチュイッチュ♪


「あ? あああ、なんだ、オマエ、小鳥じゃんか! 漢字が飛んでくっから、あせったー!」


 ゆっくり落ちてる俺の頭に、小鳥は着陸した。

 俺は小鳥(それ)を、手で掴んだ。


 顔の前に持ってきたら、抹茶色が羽を片側だけ広げた。そして、くちばしで何かを引っ張り出した。

 ごっちゃり。

 それは、歯車状の円盤と、一対の針金だった。


 小鳥と俺の顔の間に、出現したアイテムたちが、重力定数に引かれて落ちてく。

 円盤はすんでの所で掴むことができたから、小脇に抱える。


 ぼそっ、ぼそっ!

 落ちた針金が、段ボールみたいな地面に当たって、音を立てた。


 小鳥とか、円盤とかを掴んだりしたから、もう行動開始したと判断された(・・・・・)っぽい。

 再出現時の高低差(・・・)を受け止める、ゆっくりと落ちていくヤツが、急に切れた。落下速度が倍増して、慌てたけど、足元を見れば、もう地面に足が着く。


 ドゴシャッ!

「あぶねー、せっかく再接続(リダイブ)出来たのに、自爆するとこだった」


 ちょっとシビレたけど、両足を踏ん張って何とか耐えた。

 目の前の平地が、最初に来た時よか、広くなっている気がする。


「あの、巨大機械は、どっか行っちまったのか?」

 俺は小鳥に聞いてみた。


 ピチュ♪

 抹茶色が、ヒト鳴きして、首を横へ向けた。

 脳裏に、『鳥』の漢字が、首を回しているアニメーションが再生されているが、俺は気にしないことにした。


 見れば、結構遠く離れた空き地の端っこ、巨木が密集しているド真ん中に、デカい通り道ができてた。

 更にその向こうの、天井の膜みたいなのと地続きの巨大壁面にも大穴が開いてる。穴の先に、こっちと同じ様な空間が有るのが見える。


 俺は小鳥を放してやり、足下の針金を拾って、両手に持った。


 クククッ。

 探査棒(ダウジングロッド)は即座に作動し、銃口を上に向けて拳銃を構える兵士のようなポーズを取らせた。


 視界の隅に表示されるはずの、探査対象の現在地点を示す、グラフィカルな座標表示がどこにも現れない。

 不思議に思いつつも、大穴へ向かって続く、巨木がノされてできた道を歩き始めた。


 小鳥が、肩に止まってブルブルと震えだした。

 プルルルルッ♪ ガッチャ♪

 ピピチュイ?


「お、どした? 痛って! つっ突くなよ!」

 嘴(くちばし)で耳たぶをツツかれた。

 小鳥を掴もうとしたけど、俊敏なフットワークで避けられた。

 かといって逃げるわけでもなくて、俺の手を押しのけて、自分の頭を俺の耳に押し当てて来る。

 何甘えてんだ、ちょっとカワイイとか思ってたら、……人の声が聞こえてきた。


「えー? だーれー? 眠いんだけどー?」

 この、悪い意味で適当(・・)な口調。


「その声、―――コウベか?」

 フルダイブ中には、いろんな通話形式が使える。

 けど、こんな接触通話形式は、今まで話にも聞いたこと無え。何てのこれ?

 小鳥電話?

 羽毛が擦(こす)れてくすぐったいけど、コウベとの通話を優先して、俺は耐えた。


「あっれー? シルシじゃん? 今ドコ居んのー? まだ、大深度田舎ー?」

「大深度田舎っ!? なんだ、その謎ワード」


「こっちは真っ暗で何処だかわかんない。さっきまで、刀風(カタナカゼ)が居たけど、青いのも、ワオンみたいなのも一緒に居たから、もうヤられちゃったと思うー」


「こっちの話ぜんぜん聞いて無ーな。真っ暗? どういう状況だよ? 刀風(カタナカゼ)は撃破されたのか?」


「……鋤灼(スキヤキ)~」


「……おい、今、子供みたいな刀風(カタナカゼ)の声がしたぞ!?」


「鋤灼(スキヤキ)~」


「刀風(カタナカゼ)!? 無事か!? 生きてるか? まあ、撃破されてねーなら、生きてるか……」


「あれ? マジで鋤灼(スキヤキ)の声してね?」

 子供声が大きくなる。


「おう俺だ俺。小鳥電話でコウベと話してる」


「鋤灼(スキヤキ)か!? 俺だぜ俺!」


「小鳥、スピーカーホンか、映像空間(パーティーチャット)になんねえか? これ耳がくすぐったい」


「ムリムリ。小鳥になんて、プッッハッハ! ……あー可笑しかった! ……―――スャァ」

「おい、なんだその寝付きの良さ」

 スリープ状態か何かに入ったんじゃねーだろな。もう、俺が刀風(カタナカゼ)と映像空間開いた方が早い、と思った瞬間。


 プオオオワァ―――コォオン♪

 小鳥が鳴って共鳴(ハウリング)を起こした。


「うるっせーーーーーーーっ!」

 なんだってんだ!?


 小鳥をつかむと、なんか様子がおかしい。

 置物みたいになっちまって、足下の四つ並んだ『、(てん)』がだらりとぶら下がってる。


「うっわ、また漢字か!」

 怖っわ! なんだよコレ。恐ろしーな。


「ブオォォォォォォォォォン!」

 風切り音に顔を上げたら、目の前にでた。巨大映像空間が。

 その中央、簀巻(すま)き状物体の上に乗った魔女っ風が見える。

 そして、上から落ちてきた青鬼と、地面すれすれに急接近してきた、オウガニャンに挟撃(きょうげき)を食らった!


「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴン! ドドゴン、ゴゴガン、バガガガァァァァァン!」


「あああああっ! ―――あ?」

 確かに打撃のエフェクトが表示されてたんだけど、何故か刀風(カタナカゼ)たちは無事だった。

「あっぶねーっ! 助かったぜ? その声、鋤灼(スキヤキ)だ、ぜ! 直接呼んでも繋がらなくてよー」


「刀風(カタナカゼ)、お前何してる?」


「は? 今、……青鬼にネコ掴みされてる」

 刀風(カタナカゼ)は首を回して背後を、確認した。


「分かってる、見えてるからな」

 よし。コイツら、刀風(カタナカゼ)を撃破するつもりは、無えみてえだ。


 刀風(カタナカゼ)を掴んでる狛丑(コマウシ)。

 その横で、簀巻き状物体を担いでいる、オウガニャン。

 簀巻き状物体には、太い荒縄みたいのがくっついてて、光る岩石と引っ張り合ってる。

 ボスクラスエネミー? コイツがエリアボス?

 光る岩石は、その表面に穿(うが)たれた、大穴から破片をボロボロこぼしている。

 コウベのヤロウが見当たら無えーけど、この際構わねえ。


 目の前、地面から浮かび上がった透明な円筒は、直径10メートル、高さは半分くらいの映像空間(パーティチャット)だった。

 白焚(シラタキ)が使ってた業務用の映像通信環境並の広さ。展開されたソレは少女(カタナカゼ)の周囲を、広範囲に映し出してくれてる。


「こりゃ、いいな! 小鳥、お手柄だ、……小鳥? また漢字? 大ジョブかー!?」

 『小鳥』を掴んだまま軽く振ったら、羽毛が、わさりと、生えて、元の抹茶球になった。その額に通話マークが点いている。

「動かなくなっちまった」

 とりあえず脇腹スロットに格納しようとしたら、映像空間が揺らぐ。

 ダメだ、仕舞っちまうと通話状態が解除されちまいそうだ。


「仕方ねー、体の外にくっ付けられるアタッチメントは……頭の上に1個有ったな」

 俺、シルシボーグは、頭の天辺に、抹茶色の小鳥を設置。

 小鳥+鋤灼少年(メジロマン)、再誕! これで、両手武器も使える。


 見れば、簀巻き(スマキ)状物体(オブジェクト)にも通話マークが浮かび上がってる。

「あれが、コウベか!」

 状況は分からねえけど、分かった(・・・・)。


「ドコ居んだよ!」

 喚(わめ)く少女風(カゼ)。 


「悪い、そっちからは見えないのか?」

 接続状況が少し入り組んでっから、刀風(カタナカゼ)の主観(・・)なんて、想像付かん。

「だから何処だよー。一人にすんなってんだぜー」

「とりあえず、音声だけで我慢してくれ。こっちからは見えてる」

 見えてねえのか。映像は一方通行(いっつう)だ。


「……それにしても、おまえさ、なんか妙にカラッ風っつうか、ナヨッ風っつうか」

「だってよー。ふつうの雑魚戦じゃなくて、エリアボスみたいのとばっかり、やり合ってんだぜー。コウベとか、青鬼とかよー」

「コウベは、ボスじゃねー……いや、中ボスか?」


「笹ちゃん先生達も、来ねえしよー」

「先生らは、俺のHMDの調子見るのに、協力してもらったから、そっち着くまで時間掛かる。すまん」


「んだよ、しゃーねーな。じゃ、お前でいいぜ、鋤灼(スキヤキ)……」

 見ている間にも、刀風(カタナカゼ)を巻き込んだ戦場が移動してく。

「助けてくれ!」

 ズドドドドドドドド!


「こっちは、大深度田舎だ。手が出ねえよ」

 狛丑(コマウシ)は、刀風(カタナカゼ)の小さな体を振り回すだけで、攻撃を加えて来ない。


「大深度田舎ー? なんだぜ、その謎ワード。あ、オマエ今どん底だっけ。忙しくて忘れてたぜ。じゃ、なんか、アイデア出してくれってんだぜ」

 映像空間の背後は、ゴツゴツした草むらから、舗装された街道に変化してる。


「どん底じゃねえ。かっこよく地底世界とかって言え!」

「はー? じゃ、大深度田舎な」

 刀風(カタナカゼ)は置かれてる状況に、取り乱してるけど、元のポテンシャルは高い。

 俺との会話でもう復活して来てる。

 ただ、アイデアとか言われてもな。

 ―――『再(リ)プレイボタン』が、無けりゃ、俺なんか、ただのポンコツだ。


「あ、今、ラージケルタ居―――!」


 不意に、刀風(カタナカゼ)の声が、遠くなった。

 オウガニャンが、すれ違いざまに、突っ立っていたラージケルタ(もえるとかげ)に、簀巻き状(スマキ)物体《オブジェクト》をパスしてくれやがった!


「なにしてくれてん―――!」

 俺の視界、直径10メートル位の円筒から消えていく青鬼とオウガニャン。

 そしてもちろん、青鬼に捕まってる、刀風(カタナカゼ)も消えた。


「あーどうする!? コウベ起きろ! オマエしか、ソコに居ないんだからよ!」

「……―――スッカーッ……」

 就寝中の、簀巻(すま)き状物体に、俺の声は届かなかった。


「ボッワワッ? ニョロロロロリ?」

 華麗にスルーされた俺の叫びは、燃えるトカゲの耳に届いた。

 左右を見渡している。


「おまえの耳に届いてもなー!」


 コカ……コカ。

 なんか聞き覚えのある、打鍵音(キータイプ)。


「ワルコフかっ!?」

 一瞬、宇宙服の方のワルコフかと思ったけど、違ったっぽい。


 ■_

 爬虫類顔のアイコン表示がトカゲの頭の上にポップアップ(ポコッた)。

 灼熱の炎を纏(まと)う、でかいトカゲの指先が動いてる。


 ■ドc_

 ■ドチラ_

 ■ドチラサマ?_

 コカカココ、タン♪


 表示された文字チャット。

 小鳥電話の、”一方通行型巨大映像空間(パーティーチャット)”の機能か!?


 ダメもとで、いや、―――元からするつもりだった話を切り出すなら、今だっ!


「あの? 俺、えっと、―――『@SIGN†ORGE』って言います!」

 天才キャラの、キャラづくりってのは、内部処理的にどんな出来だろうが、目敏(めざと)くて、抜け目ないもんだ。

 設定上、IQ270を誇るラージケルタ相手に、駆け引きしても仕方ねえ。


 ■@SIGN†ORGE?_

 ■アー、シッテルシッテル、ラージケルタ、ソレ知ッテルヨ_


「は? 俺を知ってる?」

 想定外の返答が、戻って来やがった!


 ■”☆”ジャ無イ方デショウ?_


「”星(☆)”じゃ無い方? ……なんだそれ? ……って、”SIGN☆(ほし)ORGE”の事言ってんのか!?」

 俺のこと、つか、俺のIDを知ってる!? しかも俺が欲しかった『間に”☆(ほし)”が入ったサインオーガ』の事を、知ってるだと?

 なんだコレ、このゲーム初めてから、なんだコレばっかりだけど、―――なんだコレ、どういう状況だ!?


 けど、頭を抱えてる暇を、このゲーム(スターバラッド)は、与えてくれなかった。

 映像空間の中央で、コウベを抱えてた燃えるトカゲが、画面の外へすっ飛んで行っちまった。

「あッ―――っ!」

 すっげー勢いで、岩石ボスが逃げてんだな。


 ゴッガ! ゴゴゴゴッゴツ!

「―――クカーーッ」

 簀巻き(スマキ)状物体(オブジェクト)の野郎(コウベ)は、タイル張りの街道に叩きつけられて―――も、起きねえ。

 ブツカる度にノイズが走るから、この映像空間は、システム自体の機能じゃねーのかもしれん。コトリとコウベ由来のリアルタイム通信、……いいのかコレ?


 ラージケルタに抱えられていたからだろう、プスプスと簀巻き(スマキ)状物体(オブジェクト)から、白煙が上がっている。

「―――クカーーッ」

 全身を燻(いぶ)されても、―――起きねえ。

 コウベ~小鳥間の自前(・・)の映像空間を維持するのに、内部リソースをフル稼働させてんのかもしれん。


 なんかもう、俺に、出来ること無えなー。

 しばらく、コウベが跳ねる様を眺めてたら、遠くの背景に湖が見えてきた。

 これは映像空間の特徴で、書き割りみたいな遠景が、背後にハメコミ表示される。


 進行方向を反対側から覗いて見た。

 ……土煙の演出が邪魔して、何も見えない。


「先生達、来るまで、放っとくしか無(ね)ーなー」

 俺は元の位置に戻り、段ボールみたいな質感の地面に、ゴロリと横になった。


 たたた、だだだ、どかどかどかっ!

 フェードインしてくる足音。

「ちょっと化けネコ、ついて来るなってのっ!」

 引き回され中の、簀巻き(コウベ)を華麗に飛び越え、駆け抜けていく、三角帽の海賊。


 ぺたたたたたっ!

「待つコフーーーッ!」

 ぎゅむ、ぺたたたっ!

 海賊を追跡する謎のネコ耳メイドさんは、何故か忍び足(コソ泥走り)だった。


「今、しっかり、踏んでいったなー」

 俺は起こし掛けた体を、もう一回横たえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。