探偵だから 前編
始めまして。
至らない所は多く、文章も改行、台詞多めで見にくいかもしれませんがどうぞよろしくお願いします。
椎名 要 (しいな かなめ)
19歳
特徴:眼鏡 茶髪 クセ毛
好きなもの:紅茶
嫌いなもの:うるさいもの
イギリスで探偵学校を卒業後、日本に帰国。
若くして椎名探偵事務所を設立。
半年が過ぎ、ようやく始めての依頼人が訪ねてきた…。
11月8日 午前10時
女性
「お願いします!旦那の浮気相手を突き止めて下さい!」
椎名
「お断りします」
涙ぐみ頭を下げる女性に対して要は笑顔で答えた。
女性は不服を申し立てるも、紅茶を飲みながら新聞を読み出した要に腹を立てて部屋を出て行った。
椎名
「うるさいなぁ…、ん? 今の人ダージリンにミルクを入れてたのか? せっかく出したのにもったいない飲み方をする…」
気だるそうに立ち上がり流しへと紅茶のはいったカップを運ぶ。
要が探偵事務所を設立したのは春、始めて訪れた依頼人を帰してしまった要に仕事は未だなかった。
椎名
「なんか面白い依頼来ないかなぁ…」
3時間後
椎名
「…久しぶりに散歩でもするか」
軽く準備して外にでる。
10分くらい歩き慣れてない道を進んでいくと小さな公園に行き着いた。
あまり体を動かすのが得意じゃない要はベンチを見つけて座ろうと近づく、しかしそこには先客がいた。
???
「…すぅー…すぅー…」
椎名
「寝てるのか?」
まだ若い、要と同い年かそれより下とも見える女性が無防備に寝ている。
椎名
「さすがに無防備過ぎるだろ」
その場を見放して去るわけにもいかず立ち尽くしていると後ろから子供の声が聞こえてくる。
男の子
「おねぇちゃーん!寝るんじゃない!起きろー!!」
子供の呼びかけにもピクリとも反応しない女性。
椎名
「君、この人の弟?」
男の子
「ううん、さっきあったばっかり!手伝ってもらってたんだ!」
椎名
「手伝い…?」
女性
「…ぅん……、 ぅぅ…… メテオっ!! っはっ!? … … …メテオ?」
女性はいきなり大声をあげると同時に起き上がって目を覚ました。
椎名
(…なんだこの娘、てかメテオって寝言…?)
男の子
「もう!寝てないで一緒に考えてよ!」
男の子がそう言いながら眠たそうに目をこする女性に1枚の紙を渡す。
女性
「ごめんごめん、学校の先生が考えた問題だよね、あたしもう答えわかったよ!」
そう言うと女性はこの公園にある一番大きな木に登り始めた。
男の子
「うわぁ、そんな所にあったのかー」
椎名
「……ねぇきみ、僕にもよかったらその問題見せてくれない?」
男の子から紙を受け取る。
男の子
「学校の先生がね、クラスの子全員に問題を出してくれて答えがわかったらご褒美をくれるんだって! 答えの場所にある赤い布を見つけるんだ!」
……
要は女性がよじ登っている木の根元まで近づく。
ドサッ!
女性は尻もちをついて落ちて来た。
女性
「うーん、もうちょい上かな?」
椎名
「いやいや、さすがに木の上は無いんじゃないかな?」
女性
「え?」
ここで始めて要の存在に気付いたのか、女性は頬を赤らめる。
椎名
「この問題は子供に対して作られたものでしょ? 木に登らせるような危ない真似はさせないんじゃないかな?」
女性
「で…でも問題は!…
【 上を向いてる時は落ち込んだり、暗い気持ちになるけれど
下を向いてる時は元気になって、明るい気持ちになれる
それはどこ? 】
ってことは木の上だと上を向いて高くて怖くて気が滅入るから…どうかな…って…あれ?」
椎名
「残念だけど不正解、まぁバカと◯◯◯は高い所が好きっていうから仕方ないけど…」
女性
「◯◯◯って隠す所違くないですか!?
ってか初対面なのにいきなりキツいですよ!!」
男の子
「ねぇーねぇー、おにいちゃんは答えわかったの?」
椎名
「………いや、 僕はそろそろ帰るよ、 雨も降るって天気予報で言ってたから宝探しはほどほどに」
要はその場を後にした。
女性
「なによ!偉そうに物言っといて自分はわかってないんじゃん! てか今日天気予報は一日中晴れだし!」
男の子
「でも雨降っても大丈夫だよ!ほら傘もあるし!」
男の子が鞄から折り畳み傘を取り出した。
女性
「傘…、 あーーーっ!」
来た道を戻ってようやく事務所へと帰宅した要。
椎名
「疲れた…、 答えわかったかな…? まぁいいや寝よ」
ピン…ポーン
インターホンが鳴る。
…
ピン…ポーン
椎名
「誰だよ!」
玄関扉を開けるとグラサンをかけた中年の2人組が立っていた。
グラサン
「椎名さん?この事務所の責任者で間違いない?」
不機嫌そうに頷く。
グラサン
「いやね、半年前からここ使ってるみたいだけどここって凄く立地がいいでしょ? 駅も近いしコンビニもある」
椎名
「……つまり、需要があるから離れろと?」
グラサン
「いやぁ、物分りが良すぎる! 見たところあまり仕事も無いようですし、ここに某有名飲食チェーンを展開したいと言う会社もいるもので」
椎名
「そうなんだ…頭に入れとくよ」
そう言いドアを閉めようとするとさっきまで黙ってたスキンヘッドの男が足を挟んで止める。
スキン
「ちょい待てや!」
グラサン
「よせ!何も今日で全部済ませる話しでもないだろが!」
椎名
「………」
グラサン
「失礼しました、今日はこういう話があると頭に入れておいてもらえれば結構です。 無論、ここを明け渡して貰えるのであればそれなりの手当てもしますので…」
椎名
「あ、そう…」
そう言うと今度はドアをしっかりと閉めた。
椎名
「今度こそ寝よ」
…
…
???
「探偵は何の為に存在すると思う?」
椎名
「真実を求める為…」
???
「うーん、 確かに間違ってはいない、結果はな! だがもっと前、動機の部分から前提として必要なものだ!」
椎名
「回りくどい、何?」
???
「それはな………
…
…
ピン…ポーン
ピン…ポーン
ピン…ポーン
椎名
「何だよ気持ち良く寝てたのに! てか押し過ぎだろ!!」
イライラを募らせて勢いよくドアを開けるとドアの前に立っていた人物に当たったのがわかった。
女性の声
「いったぁーーー!!」
椎名
「あ、やべ… 女の人…?」
ドアの向こう側から聞こえてきた女性の声が気になり顔を覗かせる。
そこにはつい先ほどまで公園で一緒にいた女性がおでこを押さえながら尻もちをついている。
女性
「えへへ、来てしまいました!」
椎名
「なんで…?」
コトッ
椎名
「紅茶、 …で?何しに来たの?」
机に置かれた紅茶を手に取る女性。
夕日
「あたしは夕日 葵って言います!さっきはありがとうございました!」
椎名
「………」
夕日
「も…もしかしていきなりお邪魔して迷惑でしたか!?」
椎名
「いや…まぁ、迷惑なのはそうなんだけどさ、 それ…」
机の上に置かれたコーヒーミルクを取ろうとしたのを止める。
椎名
「その紅茶にミルクはあんまりオススメしないけど」
夕日
「えっ…あ、 あたしミルク無いと飲めない…かも…」
椎名
「ちょっと待ってて」
そう言い席を離れること5分。
戻って来るとその手には新しい紅茶を用意していた。
椎名
「アッサムっていう甘みのある紅茶、ミルクも合うから」
夕日
「あ、ありがとうございます! 紅茶好きなんですか?」
軽く頷く。
夕日
「さっきのお礼をしたくて後を追いかけたんです! そしたら探偵事務所ってあってびっくりしました! あたしと変わらないくらい若いのに!」
椎名
「お礼って別に君に何かしたわけじゃないだろ?」
夕日
「でもあの男の子喜んでました!それを見た私も嬉しかったですし!」
椎名
「…まぁ僕は何もしてないけどさ…」
夕日
「またまたぁー、謙遜しちゃってこのこの!」
椎名
「うざっ!いきなりなんだそのノリ!?」
そう突っ込まれた葵の顔はとても笑顔で楽しそうだった。
椎名
(なんだ…? いつもならこんなうるさい奴、軽く突き放して終わるのに… 放っておけない…?)
夕日
「それと、ここに来た理由はそのお礼だけのつもりだったんですが… 探偵をやってるということなのでお願いがあります!」
椎名
「…? 依頼ってこと?」
葵の表情は先ほどまでと一変し重苦しい雰囲気に包まれている。
夕日
「はい… 、 いきなり押しかけて勝手なのは承知なんですけど… その、 あたしの彼氏になって下さい!」
椎名
「………は?」
夕日
「1日! 1日だけでいいから! ね?」
椎名
「お、おぅ… お断りします…」
夕日
「何よ! ちょっとくらいいいじゃない!」
椎名
「逆ギレ!? てかどういう話しでそういう話しになるんだよ!」
夕日
「実はね、 今朝お母さんと喧嘩したの、 良い歳なんだから彼氏の1人くらい作りなさいって言われてさ…」
椎名
「おぅ…、 で?」
夕日
「お母さんに言われなくても既にいるし! 連れてくるから待っててよ! って言った訳よ! まぁ途中道草食ったりしたんだけどさ、 そういう訳で1日だけ協力して?」
椎名
「馬鹿じゃねぇーの?」
夕日
「むきーーー!!」
1時間後…
要と葵は5階建てのマンションの前まで来ていた。
夕日
「いやぁ、なんだかんだ困ってる人は見過ごせないその精神! 感服ですわ!」
椎名
「ふざけるな! 君が駄々こねて大声出して暴れるから仕方なく協力してやるんだ! まったく…ペースが狂う…」
夕日
「えへへー」
椎名
「いいか? 恥ずかしいから顔を一瞬見せたら帰るかな! 間違っても中に居れる方向に持ってくなよ?」
夕日
「うーん、 ポストの番号なんだったかなぁ? しばらく開けて無いから忘れちゃった?」
椎名
「話しを聞け! エレベーター押すぞ! 部屋は何階?」
夕日
「今エレベーターの表示に出てる4階だよ〜」
ポストで試行錯誤してる葵をよそに要はエレベーターのボタンを押す。
椎名
(あれ?… なんで…)
夕日
「今、階段はペンキ塗りなおしてるから使えないんだよねぇ…」
椎名
(4階まで階段を使う発想はまずないけど…)
最上階から降りて来た無人のエレベーターに2人は乗り込み4階まで上がっていく。
夕日
「ここだよ! インターホンで呼び出してお母さんびっくりさせてやるんだから!」
そう言うと例のごとくインターホンを連打する。
しかし中から人が出てくる気配はなかった。
夕日
「あれぇ? いないのかなぁ?」
ガチャ
夕日
「あ、開いた」
椎名
「なっ…!」
その時、ちょうど要の位置からは葵よりも先に部屋の中が見えた。
そして真っ先に視界に入ったのは、玄関の前で俯きに倒れている女性の姿だった…。
夕日
「どうしたの? …えっ?」
葵も扉を開けて倒れている女性を確認、 背中には刃物が突き立ててある。
夕日
「お母さんっ!?」
そう叫び近づく葵を要の腕が遮る。
椎名
「僕が見る!君は救急車を! はやく!」
夕日
「ぅぅ…、 うん!」
椎名
(物分りが早くて助かる、 …しかし…)
電話で救急を呼ぶ葵、 要は倒れた女性の体を抱き上げる。
椎名
(背中から脇腹を抉るように刺さってる、 刃物が心臓の位置に近い…、出血も酷いが脈もまだ動いてるし顔色も悪くない… それに…)
葵の母
「……うぅ…」
椎名
(意識もある…まさか襲われたばかりか? …だとしたら!)
夕日
「お母さん! 今救急車呼んだから!」
電話を終えた葵が玄関に戻ってくる。
葵の母
「葵…? おか…えり、 今朝はきついこと言ってごめん……ね」
夕日
「お母さん!? 喋っちゃダメ!」
葵の母
「…あんたが…葵の彼氏…かい?」
椎名
「え…?」
葵の母
「そう…、 ごめんね、娘をよろしく… 許し…て、 ね…」
夕日
「お母さん!?」
椎名
「………」
抱きかかえていた葵の母の体の力が一気に抜ける。
椎名
「……ここはお願い、 あまり刺激しないように救急の人達が来るまで見てて」
夕日
「椎名さんは?」
椎名
「エレベーターの前にいるからなんかあったら呼んで」
そう言いエレベーターの前までくる。
椎名
「4階のままか…だとしたらあの人を襲った人はおそらく…」
…
…
…
しばらくするとエレベーターが1階へと下がり4階まで戻ってきた。
中から救急隊員が3人出てくる。
要は隊員を事件のあった部屋へと案内すると迅速に葵の母は運ばれる。
夕日
「あたしもついていきます! 椎名さんもご一緒出来ますか?」
椎名
「僕はいかない」
夕日
「……っ、 そうですよね、面倒に巻き込んですいませんでした!」
椎名
「……君のお母さんを刺した犯人、 多分まだこのマンションにいるよ」
夕日
「……え?」
椎名
「ある程度までの絞り込みも出来てる、 僕はその犯人を突き止めようと思う」
夕日
「…ど、 どうして?」
隊員
「君たち! 乗るなら早く!」
救急車の中から隊員が呼びかけて来た。
椎名
「どうして…って、 探偵だから」
夕日
「…ぁ 、 あの…あたしも! …お母さんはきっと大丈夫だから… あたしも椎名さんの…!!」




