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窓際の不思議な彼-part67-明智

窓際にいる不思議な彼

彼に悩みを話すと解決するという噂が・・・

■明智

「それでは、お父様、お母さま」

「行って参ります」



「テストで満点を取りました」



「成績はトップです」



「コンクールで入賞しました」



「更に上を目指します」



「お父様。あの子と・・・」

「遊んできても良いですか?」



「名門中学に入りました」



「名門高校に入りました」



「名門大学に入りました」



「お父様の跡を継ぎます」





「はっ!?」

「夢か・・・」

「ふふ・・・」

「死ぬわけでもあるまいし・・・」

「まるで、走馬灯みたいに・・・」

「今までの、人生か・・・」

「はは・・・なんとつまらない人生だろう・・・」



「おはよう」

「今日の予定は?」

「うん。分かった」

「・・・」

「なあ、黒瀬・・・」

「僕の・・・明智の家に仕えて、何年になる?」

「そうか・・・そんなに・・・」

「いつも、ありがとう」

「ん?おかしいかい?」

「お礼を言っただけだよ」

「はは。そんな顔するなよ」

「僕だって感謝の言葉くらい言うさ」



「今朝、夢を見たんだ・・・」

「今までの・・・」

「そう。子供の頃からの」

「まるで、走馬灯みたいにさ」

「ふふ。黒瀬は・・・」

「僕を子供の頃から知ってるだろうけど」

「随分と、滑稽に見えてたんじゃないか?」

「ああ、悪い。変なことを聞いて」

「答えられる訳ないよな・・・」

「忘れてくれ・・・」

「え?昔と今じゃ?」

「今の方が?」

「はは・・・」

「ありがとう」



「待たせて悪いね」

「終わったよ」

「次は?」

「え?予定はキャンセル?」

「先方から?」

「そうか・・・」

「じゃあ、今日はもう予定は無しか?」

「ふむ・・・」

「いや、待ってくれ・・・」

「家に帰るんじゃなく・・・」

「あそこへ寄ってほしい」

「うん。あの寂れたところさ・・・」



「黒瀬は、彼を憶えてる?」

「はは。そうだよな。さすがにね」

「うん。あれは・・・」

「著名人のパーティー・・・だったかな」

「うん。そこでね、僕と同じ年の子がいてね」

「そう。その子が彼」

「はは。ホントにね」

「不思議な縁さ」

「また・・・会えるなんてね」



「混んでるな・・・」

「ちょうど帰宅ラッシュの時間かな」

「なあ、黒瀬・・・」

「黒瀬には、お子さんがいたよね?」

「男の子?」

「そうか・・・」

「どんな子供?」

「え?もう子供じゃない?」

「高校生?」

「生意気で?」

「良く食べて?」

「ゲーム?アニメ?漫画?」

「ふふ・・・良いね」

「僕は・・・最近になって・・・」

「そういうの・・・羨ましく思えてね・・・」

「僕と父が遊んだのは・・・」

「記憶に無いな・・・」

「母も・・・」

「一緒にいるようで・・・」

「一緒にいなかったような・・・」

「不思議なものだ・・・」

「子供の頃は・・・」

「いや・・・高校生の終わり頃かな・・・」

「疑問にも思わなかったことを・・・」

「色々と考えるようになってね・・・」

「そういえば・・・」

「父や母よりも・・・」

「黒瀬と過ごした時間が一番長いかな・・・」

「はは。そんな顔するなよ」

「感謝してるってことさ」



「黒瀬・・・」

「ここで降りるよ」

「あとは歩いて行くよ」

「帰りは自分で帰るから」

「黒瀬はもう帰って良いよ」

「いいんだ。大丈夫だから」

「ふふ。黒瀬・・・」

「僕も・・・もう、子供じゃあないんだ」

「大丈夫だよ」

「ちょっ!?」

「なんで、ドアをロックする!?」

「一人で行くのは駄目?」

「黒瀬・・・」

「この頑固者・・・」



「なあ・・・黒瀬」

「分かった。降参だよ」

「今日はもう帰ろう」

「あんまり遅いと黒瀬も家族との時間が・・・」

「え?奥様と息子さんから?」

「僕に張り付いて?しっかり働いて来い?」

「しっかりお金を稼いで来いって?」

「それに?」

「ああ、残業代ね・・・」

「はは・・・そうか・・・」

「じゃあ、もう少し、この渋滞を楽しむか・・・」



「僕はさ・・・」

「楽しい思い出は、子供の頃の・・・」

「彼と、ほんの一瞬だけ遊んだ時間・・・」

「それが、唯一の楽しい思い出でさ・・・」

「でも・・・」

「不思議と・・・」

「僕は孤独ではなかった・・・」

「何でだろうと考えたんだけど・・・」

「黒瀬のおかげだったよ・・・」

「いつも、僕の側にいてくれた・・・」

「・・・」

「この前さ・・・」

「彼を家に送って、別れ際、話した時に・・・」

「彼は僕に・・・」

「救われた。って・・・」

「言ったんだ・・・」

「多分だけど・・・」

「彼は、孤独だったんじゃないかな・・・」

「僕にとっての、黒瀬のような存在が・・・」

「彼には・・・」



「もう少しだね・・・」

「もしかしたら・・・」

「もう、帰ってるかもしれないけど」

「・・・」

「今日は・・・」

「彼に、素直に話そうと思うんだ・・・」

「会えて嬉しかったこと・・・」

「また、一緒に遊びたいこと・・・」

「僕も・・・」

「彼に救われてるってことをさ・・・」



「僕も・・・」

「黒瀬がしてくれたように・・・」

「僕も・・・」

「誰かにとっての黒瀬みたいに・・・」

「なれると良いな・・・」

連載となります。

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