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君と過ごせる魔法のような日常  作者: 菜乃音
第三章:record with you

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百二十三:やりたい事、秘密探しの説明

「今から、決まったやりたい事のルール説明をしますね」


 休日明け、灯と心寧が教室の黒板前に立ち、説明会をしようとしていた。

 心寧は書記担当らしく、手にはチョークを持ち、早く説明してほしい様子でうずうずしている。


「常和、ちゃんと聞くんだろ? あまりもたれかかった姿勢はやめとけよ」

「細かいことは気にするな!」


 明るく言い切る常和に、清は微笑ましく思う。

 常和は自分の席に座らず、清の机にもたれかかりながら聞こうとしている為、どうしても気になってしまったのだ。


 今の教室には光が差し込み、この日を楽しみにしていました、と言わんばかりの温かなムードに包まれている。

 無論、清も楽しみであったため、表情には笑みが宿っていた。


 灯の説明が始まる前に、ツクヨが教壇へと上がり前に出る。


『先に補足として言っておくが……今日は七夕であり、いつやるかは君達の準備次第になる、というのは覚えておくように』


 七夕だから、といって行事が増えるわけではないが、季節感を大事にしているのは良いものだろう。

 注意事項に四人が「はい」と返事をすれば、ツクヨは教壇から降り、黒板の横へと移動した。


 チョークで黒板を叩いて音を鳴らし、心寧が注目を集めてくる。

 いつも率先している心寧だからこそ、この家族を上手くまとめ、楽しい環境をつくれるのだろう。


「まずはー、やりたい事の行事名を発表だよ!」

「心寧さん、発表お願いします」

「行事名は、こちら!」


 心寧はそう言いながら黒板に文字を書いていく。

 そして書かれた文字と共に「秘密探しだよ!」と言ってくるので、単純明快でわかりやすい事この上なかった。


 以前灯から言われていた話を含めても、これ程までに似合う行事名は無いだろう。


「秘密探し……普段は言えない事や、プレゼントをあげようと思っても密かに抑えているかもしれない、という相方の気持ちを探そうから取った名前だよ」

「今の俺らにはピッタリかもな、清」

「灯と心寧が考えてくれたんだ、似合わない理由がないだろ」

「お、素直に肯定的だな」


 笑いながら言う常和をよそに、心寧は『秘密探し』と書かれた文字の近くに宝箱を描いていた。


 それぞれが自由にやりたい事をやっている空間に、清も思わず笑みをこぼす。

 灯はそんな清の笑みを見ていたのか、釣られたように小さく微笑んでいた。


 心寧が宝箱を描き終わったところで、灯が咳払いをして注目を集め、口角をゆったりとあげながら手に持った紙を見ている。


「では、本題に移りますね」

「あかりー、うちはいつでも良いからね」

「ありがとうございます」


 心寧も灯と同じ紙を持っていたらしく、手に持ちながら黒板に書く準備をしていた。


「内容になりますが、相方が学校のどこかに隠した探しものを、ヒントを元にして探していく遊びです」


 黒板にはチョークの当たる音と共に、灯の言った言葉が書き足されていく。

 細かい内容までは知らなかったのもあり、清は納得したように相槌を打つ。


「役割としては、問題提供者、隠す者、探す役の三つに分類されます……」


 それから灯は、三つの役割の人数配分及びに、役割の使命を説明してくれた。


 問題提供者となるものは二人で、探す役に対して最初の問題を提示し、時間や探す位置によってヒントを追加する役割がある。


 隠す者は、秘密探しをする前に隠す場所を見つけておく必要があるらしい。また、隠す位置を問題提供者に共有し、探す役だけが知らない状態にする。

 隠す者は探す役と行動をする、というのがこの遊びの目的状、絶対条件という事だ。


 隠す者に関しては、ペアである相方が探す役になるのは絶対となるため、一緒に探して距離を縮めるのが目的だろう。


 探す役の役割として、ヒントを元にし、学校の至る所を隠す者と一緒に探索し、隠された秘密を探すのが使命だ。見つからなければ、問題提供者が更なるヒントを与えてくれるらしい。

 この際の注意点として、必ずしもそのヒントが答えに導くとは限らない、と言っていた。


 時間を多くとっているのもあり、簡単に終わらせたら目的状の意味が無いから、と言った理由のようだ。

 余計なお世話かどうかは置いといたとしても、親睦を深める面ではありがたい話だろう。


「最後に、全ての役割と流れをまとめますね……探す役は最初のヒントを元に隠す者と探しに出ます。そして、問題提供者から追加されるヒントを元に、隠された秘密を探していくのが全貌となります」

「あかりー、長い説明お疲れ様!」

「灯、理解しやすい説明をありがとう」

「星名さんと心寧が頑張って考えてくれたんだ、盛り上げていくぞ!」


 盛り上がる空気の中、心寧が遅れて秘密探しの全貌を書き終われば、黒板はぎっしりと文字で埋まっていた。

 それは、要らない要素は絶対にない、という風に思わせてくるようだ。


 文字の書かれた黒板を眺めていれば、心寧が両手を近寄せ、魔法で四角い箱を創り出していた。


「そうそう、隠す器に関して何だけどね……うちが創る特製の箱か、探す役、ペアが分かれば何でもいいよー」

「まー、俺らには箱のような縛りは合わないもんな! 俺は心寧の箱を使うけど」

「常和は抜け目ないな」


 常和がニヤリとした視線で見てくるため、心寧にこちらの探せたいものを話したのだろう。


 心寧の『ペアが分かれば何でもいいよ』というのは捉え方次第で、形が無くても、言葉で伝えれば問題ない意味も含まれていそうだ。

 ルールの抜け穴的ものにはなるが、灯に伝えたい気持ちがある清からしてみれば、二人の気遣いに感謝しかなかった。


 聞いていた灯も嬉しそうに瞳を輝かせ、手と手を重ねているため、こちらに探させるものは決まっているのだろう。


 温かな空気になっていれば、ツクヨが再度教壇へと上がった。


『最初にも言った通り、君達の準備……ヒントの書き終わり次第になるから気をつけるように』

「よーし、頑張ってヒントを考えていこうぜ!」

「とっきー、口を滑らしちゃだめだからね」

「探す場所次第でも、ヒントを考えるのが大変になりますね」

「まあ、頑張っていくか」


 ヒントを書く紙は灯と心寧の方で準備済みらしく、清と常和、灯と心寧の二人一組のペアで分かれ、ヒントの準備を着々と進めていく。

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