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プロローグ:百歳、最新技術(ぶいあーる)に触れる

「……ばあちゃん、準備はいい? 無理しなくていいからね。気分が悪くなったらすぐに目を閉じるんだよ」

 

孫の正一が、心配そうに私の顔を覗き込む。

 

今日は私の百歳の誕生日だ。正一が「お祝いに」と持ってきたのは、なんだか近未来的な、重たい水中メガネのようなものだった。

 

「大丈夫ですよ。私はこう見えても、昔はトラクターだって乗り回していたんですから。これくらい、どうってことありません」

 

私は、使い古した縁側のような穏やかな笑みを返した。

 

正直に言えば、機械のことはさっぱり分からない。


けれど、正一が私の「ボケ防止」と「運動不足解消」のために一生懸命選んでくれた贈り物を、無下にするわけにはいかないのだ。

 

「それじゃあ、スイッチを入れるよ。……『エターナル・ファンタジー』へ、いってらっしゃい!」

 

正一の声が遠ざかる。

 

直後、まぶたの裏に真っ白な光が弾けた。

 

大正、昭和、平成、令和。

 

いくつもの時代を駆け抜け、ただひたすらに「誰かのために」と徳を積み続けてきた百年の魂が、今、最新の仮想世界へと解き放たれた。

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