対ワイバーン
前回、ワイバーン討伐の緊急クエストが発令された。ゼルは参加するのだが、ワイバーンを倒せるのだろうか?
町中が騒がしい。
当たり前だ、ワイバーンが出現したのだ。俺たちパーティーはギルドでの参加承認をもらい、北側の草原に向かっていった。
「俺たちは金目当てで参加したけど大丈夫なのか?」
移動している最中に心配になり、エルザに聞いた。
「そうですね、種族的には弱いですが、普通の人間からしたら脅威かもしれません」
「どういうことだ」
「魔物には個体差があります。強いものと弱い者の差が激しいのです」
「そんなのがあるのか?」
「はい、例えば我々ハーフエルフ族は世界でも有名な種族です」
「種族間でも差があるのか」
「もちろん、この世界には5大種族が存在します」
「6大種族?」
「世界で最も能力が長けている6つの種族です」
「それが、魔人族、鬼人族、妖精族、海人族、天空族、竜人族の6つです。ちなみに私たちハーフエルフは妖精族から生まれた種族です。派生族と言われます」
「なるほどなそんな感じか」
「そしてワイバーンは我々と同じく竜人族から生まれた種族です」
「じゃあ、めちゃくちゃ強いんじゃないか?」
「いえ、派生族の中でも下級なので大丈夫かと」
「ほんとかよ」
疑問に思いながら、歩みを進める。
「作戦どかあるんですか?」
ミケが聞いてきた。
「作戦か...」
「エルザ、ワイバーンの行動傾向どか分かるか?」
「そうですね、基本的には飛行しているので中距離から長距離の戦いになるかと」
「ミケはどうにかなるとしてエルザはどうやって戦うんだ?」
「わたしは魔力で弓は作り出せますが、火力を出すのに魔力をためなくてはいけないので時間がいると思います」
「なるほど、弱点どかないのか?」
「喉元の魔力が集中しているところを攻撃できれば」
「うーん、じゃあ、エルザの弓で羽を狙って撃墜させた後、ミケの高火力で殲滅ってのはどうだ?」
「良いとは思いますが、ミケの魔力が持つかどうか」
「どのくらい撃てる、ミケ?」
「1日3発かな?」
「3体も倒せれば上出来だろう」
「そうですね、わたしが絶対に倒します!」
意気揚々としているが心配である。しかし金が稼げるなら頑張りたいところだ。
そうこうしていると、広いさら地に出た。
見る限り、緑も生い茂っていて、ワイバーンなんているのかと疑問に思い始めた。
その時、一緒に来ていた騎士団の小隊とエルザが構えた。
「ど、どうしたんだよ急に!」
俺は驚きのあまり大声で叫んでしまった
「来ます」
真剣なまなざしでエルザが言った。
すると、正面からワイバーンの群れがやって来た。
他の冒険者も呼応するように声を上げた。
「ワイバーンだ!7匹いるぞ」
そうするとB級パーティーが布陣を作り始めた。
金目当てのパーティーは恐怖で動けていなかった。
俺も焦ったが、瞬時に頭をまわす。
「さっきの作戦で行くぞ」
俺たちは後ろに走って後退し、距離を取る。
騎士団が3匹、B級パーティーの3組が3匹を誘導してきた。
そしてこちらには1匹迫っていたのだが、違和感を感じた。
「なんかでかくないか?こいつ」
エルザが顔をゆがめた。
「ミケ、最大火力になるまでどれくらいかかりますか?」
「えっと、2分ぐらい」
「分かりました。ゼルさん、おそらくこのワイバーンはリーダーです。私がひきつけるのでミケさんの護衛をお願いします。ミケさんは最大火力のための準備を」
「何が何だか分からんが、分かった」
エルザはデカいワイバーンにツッコんでいった。それはまるで昔ゲームで見た勇者みたいだった。
近距離、中距離でバランスよく戦って圧倒していた。でも決め手に欠けているように見えた。
ミケは集中しているから邪魔もできない。
俺はただ見ているだけしかできない。
圧倒していたエルザの動きが鈍くなってきたのが分かった。
エルザは防御はできていてもダメージはある。
その時、ミケが叫んだ。
「エルザ!できました!そこをどけてください」
どけるって言っても、広範囲攻撃じゃエルザごと吹っ飛んでしまう。
声に気づいたワイバーンが迫ってくる。何とかしようとしたが、近づいてきたことにより攻撃の範囲ギリギリにエルザがいたのに気づいた。俺は隠密スキルで走り出す。
「ミケ!ぶっ放せ!」
「で、でも」
「大丈夫だ!」
「分かりました!くらえ!アグレッシブルボム!」
ギリギリ俺はエルザを抱える。
次の瞬間、けたたましい爆発音と爆風で俺たちは飛ばされた。
煙幕が晴れて、起き上がるとエルザはもう立ち上がっていた。
「いてててて、大丈夫か?」
満足げな顔でエルザがこっちを見ていた。
目の前には倒れているワイバーンと生まれたての小鹿みたいになっているミケの姿があった。
俺はエルザに抱えられ、ミケのもとに行った。
「ごめんな、エルザ」
「大丈夫ですよ、走って私を助けるなんて。」
「だって、危なそうだったかじゃないか」
エルザはくすっと笑っていた。
「大丈夫ですか?ミケ」
「ダ、ダ、ダ、ダイジョウブ」
大丈夫ではなかったぽい。
3人で回復薬を飲んで回復した。
そうすると、騎士団とB級パーティーが続々と戻って来た。
「それにしてもデカいな...」
1人の冒険者がワイバーンに触れた瞬間、ワイバーンが再び動き始めた。
俺たちは油断していたせいで攻撃を食らいそうになった瞬間、
光がワイバーンを貫いた。ワイバーンは体に風穴を開けて絶命した。
光が飛んできた方向を見ると、そこには両手ぐらいで収まる。羽をつけていて耳がとんがっていて鱗粉なのかは分からないがキラキラした女の子がいた。
それを見て、エルザが驚いていた。
「エルザ、知り合いか?」
「ミュース様」
するとこちらを見て、女の子が近づいて来た。エルザを凝視した。うーんと唸っている。
何かを思い出したかのようにしゃべり出す。
「あ!ベネッタの娘ちゃん?」
「そうです!」
「やっぱり!最後にあったのは赤ちゃんの時だったけど、ベネッタちゃんに似ててすぐ分かったよ」
「なんでここにいるの?」
「込み入った事情がありまして」
「えー?なになに」
咳払いをしつつ
俺が会話に割り込む
「エルザ、いったい誰なんだ?」
「あ、すみませんこの方は妖精族の女王であり、6大種族の治安監視役を担っているミュース様です。」
「てことはめちゃくちゃ偉い人なのか」
「そうだ!私は偉いのだ!」
小さくて威張るのはどこ行っても変わらないんだと思った。
「さっきの魔法どうやって出したんですか?」
づけづけとミケが質問する。
「こら、ミケさん!失礼ですよ」
「大丈夫、大丈夫」
「てか、君もなかなかだったよ」
「ありがとうございます!」
説明しだそうとしたが、長丁場になることを察したのかエルザが止めに入り、いったんギルドに戻った。
ギルドに戻ると、南の討伐隊も負傷者を出しながらも全部倒したらしい。
俺たちは金貨1枚をもらい、颯爽とギルドを離れた。
一応は緊急クエストはクリア。正直、祝勝会に参加したかった。泣




