堂田財閥・自警団・警視庁4.4.4 第一章最終話
2038年7月3日
東京都千代田区霞ヶ関――警視庁本部
その日、警視庁による“緊急記者会見”が行われるという情報は、瞬く間に全国へ広がっていた
テレビ局
新聞社
ネットメディア
海外報道機関
全国各地から記者が押し寄せ、会見場は異様な熱気に包まれていた
フラッシュ
無数のカメラ
ざわめき
その壇上へ、一人の男が姿を現す
荒川総悟警視総監
会場は一気に静まり返った
荒川はマイクの前へ立つ
そして深く一礼した。
「本日は緊急記者会見へご足労いただき、誠にありがとうございます」
短い感謝の言葉。
だが、その目は真剣そのものだった。
そして
荒川は間を置かず、本題へ入った。
「三日前――」
「我々警視庁は、ついに財閥の極秘資料保管場所を特定しました」
会場がざわつく
記者たちが一斉に顔を上げる
荒川は続けた。
「その場所には、“東京自警団”と呼ばれる、政府にも財閥にも属さない未承認武装組織が存在していました」
「警視庁は機動隊を投入し、当該地区の制圧を実施」
「同時に、野毛町全域への強制家宅捜索を行いました」
そして――。
時は三日前へ遡る。
2038年6月30日 午前10時10分
神奈川県横浜市中区野毛町
朝の野毛町
だが、その日だけは違った
町の出入口
高架下
路地
商店街入口
そこへ次々と現れたのは――
黒い装甲車両。
機動隊大型輸送車。
完全武装した警視庁機動隊。
拡声器が響く。
『警視庁だ!!』
『直ちに武器を捨て、建物から出ろ!!』
野毛町全域を包囲
完全封鎖
住民たちは騒然となった
そして午前10時20分
ついに突入が始まる
バンッ!!
防護盾を構えた機動隊が商店街へ突入。
だが次の瞬間。
ダダダダダダッ!!
銃声
屋上
窓
路地裏
東京自警団による激しい抵抗が始まった。
火花
怒号
爆発
警棒を振るう機動隊
応戦する自警団員
野毛町は一瞬で戦場へ変わった
上空では報道ヘリが旋回し、その一部始終を全国へ中継していた。
だが。
そこへ割り込むように現れたのは、堂田財閥の大型ヘリ部隊。
さらにその直後
警視庁航空隊ヘリ二機が接近
空中で睨み合いが始まる
財閥
警視庁
そして自警団
三勢力による衝突は、日本全国へリアルタイムで流されていた。
午後13時49分
三時間以上続いた戦闘の末。
ついに機動隊が東京自警団中央本部を制圧。
地下区画へ侵入した。
爆破装置
金庫室
通信室
武器庫
その最奥
最も厳重に守られていた大型金庫。
機動隊が爆薬を設置。
ドォォン!!
重厚な扉が吹き飛ぶ
煙の中
隊員が叫ぶ。
「資料確認!!」
「発見しました!!」
ついに
堂田財閥と政府癒着の極秘資料が見つかった。
だが、その直後。
堂田財閥直属部隊が本部へ突入
「銃火器の使用を許可する!」
「なんとしてでも資料を奪い返すんだ!」
機動隊との武力衝突が発生。
しかし警視庁側は強引に資料を搬出
財閥部隊の追跡を振り切り、警視庁本部への移送に成功した。
そして現在
荒川総悟は記者会見で続ける。
「単刀直入に申し上げます」
「今回押収した極秘資料から、現政権発足当初より続く大規模不正が発覚しました」
会場が騒然となる。
フラッシュが激しく焚かれる。
荒川は真っ直ぐ前を見る。
「関与しているのは、堂田財閥を中心に、内閣府、財務省、現政権の各大臣です」
「現在、百名以上の人物に関与の疑いがあります」
「その中には――」
荒川は資料を確認する。
そしてはっきり告げた。
「松田修三財務大臣も含まれます」
記者会見場が一気に爆発した。
怒号。
質問。
叫び。
「総理の関与は!?」
「財閥解体は行うのか!?」
「逮捕者は出るのか!?」
荒川は構わず続けた。
「政治幹部への本格調査は近日中に開始します」
「我が国で、このような事実が発覚したことは極めて遺憾です」
「だからこそ」
「この腐敗を正さなければならない」
「警視庁は決して捜査の手を緩めません」
そして最後に。
荒川は静かに言った。
「堂田財閥と日本政府の不正が正され、明るい未来が訪れることを願っています」
会見終了。
だが
その瞬間から、日本は崩れ始めた。
数時間後
関東経済市場
株価は暴落
堂田財閥関連企業のみならず
財閥傘下企業
銀行
建設会社
物流企業
次々とストップ安を記録。
東京中心の財閥経済が、一気に崩壊を始めていた
都内では暴動も発生。
取り付け騒ぎ
デモ
略奪
警察無線はパンク状態になった。
東京は混乱へ飲み込まれていく。
そして――。
とある部屋。
重苦しい空気。
そこへ、一人の若いスーツ姿の男が駆け込んできた。
「失礼します!!」
息を切らしながら叫ぶ。
「東京都千代田区で事件発生!!」
「国会議事堂周辺で革命軍による一斉蜂起を確認しました!!」
部屋の空気が凍る。
男はさらに続けた。
「日本政府中枢が狙われています!!」
その瞬間。
東京はついに――。
“戦争”へ突入した。




