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ミチアナ  作者: Hekuto


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16/16

第16話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。



<穴見様……体調に問題でもありましたでしょうか? メディカルチェックのクーポンを発行できますが、どうします?>


 お清めで気分爽快とは行かず、ロカチャを見た所為か余計なことを考えてしまうので、事故を起こす前にと早めに帰って来たらこれである。開口一番、深刻な表情をした受付さんに体調不良を疑われたでござる……そんなに不健康な顔をしていたかな。


「え? なんで?」


<おかえりがいつもより早く、また採取量も少ないようですので……何か問題があったかと>


 あ、そういうことか……すでに収穫量を把握されているだと? いや、まぁカメラで見ればいつもより収穫袋がしぼんでいるとわかるか。ストーキングされてたのかもとか、ちょっとドキドキしてしまった。そんなわけないよな。


「あーうん、まぁ昨日は大変だったし」


 嘘はついてない。色々大変だったから筋肉痛なのは事実だ。動けないほどではないけど今も少し怠い。休んでも良かったんだろうけど、今は少しでも稼いでおかないと不味いのだ。


 あぁ世知辛い。


<そうですか、確かに休養は必要ですね。では……失礼、少々お待ちください>


「ん?」


 珍しく受付さんがモニターから消えたが、なんだろう。顔はいつも通り変な表情はしてなかったはずだ。心では涙が出そうだったけど、表に出さないように訓練はしている。下手に表情に出すと舐められるし、変な奴らが近づいてくるのはもう施設で経験済みだ。


 ダンジョン庁のまーるいロゴがモニターの中でくるくると回っている。見慣れたロゴだけど、マークの由来は知らない。


<適応基準精査のためデータの提出を要求します>


「でーた?」


 戻って来たけど、データとはなんぞ? 特に何か持ってるわけではないけど、にっこり微笑まれましても、何の事だか。


<監視カメラの情報提出許可をいただけますか?>


「え? うん? うん、いいけど」


 なるほど、監視カメラの……そういうのも一々確認しないといけないのか、まぁ確かに勝手に利用されても気持ち悪くはあるけど、行政なら勝手に使ってるもんだと思ったよ。


 しかし監視カメラのデータで何をするつもりなんだろう? 変な姿は映ってないと思いたいけど、監視カメラなんてどこにでもあるからな。艦内もあれば、ダンジョン内も、浅い層の階段付近や安全エリアには結構な確率で置いてある。床置きもあれば壁固定もと意外とバリエーションは多い。


<ありがとうございます……>


「んー?」


 今度はサウンドオンリーになったな。今までにない珍しい対応だけど、疲れてるところに追い打ちみたいなのはやめてほしい。人によっては強制人間ドックとか入院コースとかあるらしい。情報源はサカナおじさんと水汲みおじさんの二人である。


 酒の飲みすぎと言われて数日間の強制人間ドックを受けさせられたらしく、数日の禁酒は堪えたと言っていた。最近も健康診断3時間前まで酒を飲んでいて怒られたとか、なんであの二人はあんなに元気なんだろうかと思う。


<厚生労働省管理AIと交渉中……労災保険の確認……資料精査実施。ダンジョン災害補助金の申請……一部許可確認>


「んんん?」


 厚生労働省? ガチで健康診断かと思えば、補助金? え、お金貰えるの? マジ? 上げて落とさないでね。


<申請が通りました。後ほど補助金が交付されます>


「なにそれ」


 どういうことでしょうか先生、じゃなかった受付さん。


<ダンジョン災害に遭われたロードメイカーの生活補填として、申請した場合に交付される補助金制度です>


「そんなのあるんだ」


 知らなかった。いや、ローカー補助金と言うのが色々とあるのは知っている。だけど、あの手この手で申請却下させようという魂胆丸見えの、非常にめんどくさい条件付けがいっぱいあるし、補助金の種類もこまごまと多くて、全部覚えている人間なんてほとんどいないんじゃないかな。


 俺は面倒で覚えていない。ので、そもそも補助金を当てにしていない。


<申請されないと交付されませんので、今後お気をつけください>


「あ、ありがとう」


 当てにしてないからと言って、ほしくないというわけではない。


 今回は受付さんが気を利かせてくれたおかげで貰えるみたいだけど、本来は自分から申請しないと貰えないのが補助金。確か俺が知ってる限りだと、大体の補助金は申請しないと貰えない。AIが進歩した世の中でもこういう所は昔から変わらない気がする。


 行政はなるべくお金を払いたくないんだろうな。


「おいちょっとまて! なんでそいつはもらえて俺はもらえないんだよ!」


 うお!?びっくりした…… ブースのパーティションの上から首が生えてる。


<受付のルールを守ってください>


 そうだそうだ! なんでいきなり隣のブースから人が出て来るんだよ。ほら見ろ、こっちの受付さんおこだぞ? こんな顔見たこと無いぐらい眉間に皺よってるぞ。


 ……普通に怖いな。


「うるせえ! 俺の申請は却下したじゃないか! こんな死体攫いが通って俺の申請が通らないのは可笑しいだろ!」


「……」


 またこの手の言いがかり野郎か、てかこっちに入ってこようとしてるんですけど? なんでパーティションを乗り越えて入ってこようとしてんだよこの猿。入りたいなら普通にドアから入ればいいだろうに、いや入って来てほしくないんだけどさ? 流石にそれはないだろ。


<使用中の受付個室内への不正進入を確認。セキュリティ要請>


 あぁ、呼ばれちゃった。


「は!? ちょっと入っただけだろうが! よくある事だろ」


<よくありません>


 よくないらしい。普通に考えて使用中の個室に入ってくるとかありえないよな、短期間での遭遇率が高いけど、本来珍しいハプニングだと思うんだ。


 こうも運が悪いとなると、やっぱり何か悪霊に憑かれているのだろうか、お清めスキルじゃ払えない様なとんでもない悪霊とかだとどうしよう。今までの事を考えると笑えない。


 あといい加減パーティションから降りようよ、なんで上で暴れてるの? 口臭いし、なんかこういう猿の映画をアーカイブ放送で見た気がする。


「……やっぱ申請通らないことあるの?」


<基本的にダンジョン災害に遭遇した場合は支給されます>


「ならなんでだよ!」


 俺が聞きたい事をパーティションの上から代弁しないでほしい。あと受付さんはニコニコとこっちを見たままでお猿さんの疑問に答える気はなさそうだ。まぁ、俺も気になるから聞いておきたいところではある。


「……なんで?」


<ダンジョン内遭遇が前提であって、災害中にダンジョン内に居たという証明ができないといけません>


 なるほど、前に起きたパニックの時は落ち着いてから入ったので駄目なわけか、今回はまだパニックの対処中に入ったから申請が可能だったと、まぁそれ以前に緑ウヅラと遭遇したり討伐したりと、それなりに被害に遭ってるから、その辺はクリアしてると思う。


 でも、それならこのパーティションの上のお猿さんはいなかったのだろうか。


「いたし! ダンジョンに入ってたし!」


 入ってたらしいですよ? 受付さんに目を向けると困った様に微笑む。


<その証明データの提出を拒否されてはどうしようもありません!!>


 隣の受付さんが大きな声を上げている。受付さんにしては珍しいことだ。いつも落ち着いていて、頼れる大人の女性と言った感じの雰囲気なのに、最近なんだか珍しいことが多い。


 まぁ、パーティションの上にいる人に伝えるなら大きな声にもなるか、顔を上げるとまた叫びそうな怒った顔で自分のブースの受付さんを睨んでいるけど、大きな影が視界の端に入って来た。これは終了のお知らせだな。


「いやだから! 「そこまでだ!」うげ」


「あ? てめぇ前にも問題起こしてなかったか?」


「い、いや……」


 パワードスーツを着た警備員だ。ローカーみたいなスキル持ちに対処するために、支援局の警備員は基本パワードスーツを装備している。大きくて強くて頑丈、そして顔が厳ついボディの上からひょっこり出ていて可愛さもある? 俺も欲しいけど高すぎて買えるような値段じゃない。


 それでもまだ軍用に比べれば出力が低いとかなんとか、警察仕様よりもさらに出力が抑えられているらしい。そりゃパニックの時に見たパワードスーツ部隊の動きが良いわけだ。うらやましい。


「おま、セキュられたの今月、いや今週3回目じゃねぇか! じっくり話聞いてやるから今日は帰れると思うなよ!!」


 ヘルメットのバイザーに何か映してると思ったら、このお猿さんはそんなにやらかしてるのか、そんなにやらかしてたらそろそろ警察の方にもお世話になるんじゃないだろうか。


 お猿さんがパーティションの上から俺の方にチラチラ視線を向けて来るけど、そんな視線向けられても知りませんよ? わたくし被害者ですしおすし。


「ちが、悪いのはこいつで! 不正、そう不正して <ません> は?」


 お? 俺が否定するよりも早く大きな声が、振り返ったら怒り顔の受付さんだ。驚いて思わず目を逸らすと、バイザー越しに困ったような表情を浮かべたセキュリティの男の人と目が合う。パワードスーツの大きな体が肩を竦めて、動きに合わせて人工筋肉の駆動音が聞こえて来る。


 かっこいい。


「AIが言うならしてないんだろ、あんたも災難だったな」


「えっと……はい」


 気を使ってくれているのか、肩を叩かれたが、そのデカい腕で肩を叩かれるのはちょっと恐怖がある。随分とソフトタッチだけど、反対の手はパーティションの上のお猿さんの胴を鷲掴みにしている。暴れるお猿さんに対してびくともしないパワードスーツの大きな手と腕、実に頼りがいのあるパワードスーツである。


 お猿さんをそのまま掴んで運ぶ姿を、パーティションから顔を出して眺めずにはいられない。周囲の人も同じように眺めている。やっぱりパワードスーツにはロマンがあると思います。


 でも、受付さんが不満顔だったのは何故なのか、聞いても答えてくれなかったので何もわからず、その後のやり取りは終始不機嫌そうであった。うん、業務妨害されたのだから、当然と言えば当然かもしれない。



 いかがでしたでしょうか?


 パワードスーツにはロマンが詰まっています。しかし受付さんはどうして不機嫌だったんでしょうね???


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

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