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944.鳳雛篇:失敗しても落ち込まない

 今回は「失敗しても落ち込まない」ことについてです。

 落ち込むより先に、なにが原因で失敗したのかを明らかにしましょう。

失敗しても落ち込まない


 ひとりで「小説賞・新人賞」応募作を執筆していると、結果入選できなかったときがとてもツラい。

 何十時間もかけて書いた長編小説が、一次選考すら通過できなかったときなどは、悲観的になって「私には文才がないのかな」と思いがちです。

 しかし「小説賞・新人賞」で大賞や優秀賞、佳作に残った作品は全体の千分の一から百分の一ほど。

 入選しなかったからといって悲嘆に暮れても、千分の一の壁は越えられません。




一次選考の通過は総数の十分の一ほど

 まず「小説賞・新人賞」の一次選考通過は応募総数の十分の一程度です。

 つまり一次選考で落ちたからといって、あなたに文才がないとは決めつけられません。

 もちろん、あなたの応募作に欠点があったから落とされたのは間違いないでしょう。

「小説賞・新人賞」の一次選考では、小説の文章として欠点がないかどうかが問われます。

 つまり一次選考で落とされたのは、小説の文章としてなにか欠点があったという事実を突きつけているのです。

 助詞の重複、重ね言葉、文末の乏しさ、誤字・脱字・余字、形容詞の多用、視点の混在。

 これらが一次選考で主に見られている部分になります。

 いずれも文章の基本です。

 助詞が重複していたら、なにが言いたいのかわからない文になります。

 重ね言葉を用いたり形容詞を多用したりすれば、文が幼稚に映るのです。

 文末が乏しいと、文章をすらすら読めません。

 誤字・脱字・余字があると、推敲をちゃんとやっているのかというそもそも論が生じます。

 視点が混在すると、今誰の視点でこの文章が書かれているのかわからなくなるのです。

 これができていないから、一次選考で落とされます。


 一次選考は粗探しの場なのです。小説の文章として成立していない応募作を落とすために選考さんは粗探しします。

 あなたの応募作を、落とす前提で読み返してください。

 きっとなにかがおかしな文章のはずです。

 重箱の隅をつつくように、自分の文章に駄目を出しましょう。

 自分で気づけなければ、身になりません。

 なにが駄目だったから今回一次選考を通過できなかったのか。

 すべての答えはあなたの応募作にあります。

 駄目だった部分に自ら気づき、次回作では同じ轍を踏まないように注意しながら執筆するのです。

 回数を重ねていけば、必ず一次選考は通過できます。

 通過できないということは、応募作にはあなたが気づいていない駄目な部分がまだあったのです。

 だからこそ、「落とす前提で」重箱の隅をつついて駄目を出さなければなりません。




ふて寝も深酒も禁物

「小説賞・新人賞」に応募したけど、大賞や優秀賞、佳作にすら残れなかった。

 だからといって、ふて寝しても事態が解決するわけではないのです。

 二日酔いになるほど、泥酔してしまうほどアルコールを摂取するのもよくありません。

 現実から逃避しても、状況が改善することなどありえない。

 ふて寝したから、深酒したから明日になれば大賞や優秀賞、佳作に入選するなんてことは起こりえないのです。

 一次選考を通過して、「よし、これなら入選するはず」と思っても、それはただの思い込みにすぎません。

 小説の文章が書けているから一次選考を通過できたのです。

 二次選考は「内容が面白かったか」「人物が立っているか」「構成や展開がよかったか」「比喩や表現が筆者固有か」といった部分で落とされます。

 つまり一次選考は「違和感のない小説の文章」を求められ、二次選考は「物語の中身」が問われるのです。

 だからこそ「面白かったか」「キャラ立ちしているか」「構成や展開は」「比喩や表現は」について徹底して分析しましょう。

 どこかに「主人公のキャラがいまいち弱かった」「構成や展開が強引すぎた」「比喩や表現がありきたりだった」そして「やはり内容が面白くなかった」と分析するのです。


 こちらも「落とすつもりで」分析しましょう。

 一次選考を通過した作品で二次選考を勝ち残るのは、やはり十分の一ほどです。

「落とすつもりで」読んでいれば、粗はいくらでも見つかります。

 見つける眼を持たないかぎり、二次選考は通過できません。

 絵画には「審美眼」というものがありますが、小説にも「審美眼」が必要なのです。

 ふて寝や深酒をしている暇はありません。

 落選したら、すぐに反省会です。

「なぜ今回二次選考を通過できなかったのか」

 これを突き止めないかぎり、これから何作書こうとも入選するはずがないのです。

 じゅうぶんに原因を分析して問題点が明らかになったら、改めて気分転換しましょう。

 運動したりスポーツしたり映画を観たり、それこそ軽くアルコールを飲んで憂さ晴らししたり。でも深酒は駄目ですよ。

 ひとり反省会をして原因を分析してください。問題点が明らかになれば、次作で同じ失敗はしなくなるでしょう。より質の高い作品に仕上がるのです。




私の傑作がなぜ落ちるの罠

「小説賞・新人賞」に応募したのに入選できなかった。

 そんな人は毎回数百人から一万人以上います。

「私が書いたのは傑作だ。それがなぜ落ちるのか。納得がいかない」

 そう考えてしまうのも無理からぬことです。

 しかし、入選するのは全体の百分の一から千分の一ほどしかいません。

 他の書き手も「傑作だ」と思っている作品が落とされています。

 なにもあなただけに限った話ではないのです。

 あなたにとっての「傑作」が、他の人にとっても「傑作」である保証はありません。

「傑作」を書いたから必ず入選するわけではないのです。

 あなた以外の書き手も、皆「傑作」を書いています。

「傑作」同士の入選争いですから、少しでも質が低いほうが落とされるのです。

 あなたの「傑作」は、入選した書き手の「傑作」には及ばなかった。それが真実です。


 選考さんは、よい作品を入選させるのではありません。

「落とすつもりで選考して」います。

 これは一次選考、二次選考と同じです。

 最終選考がある場合も、やはり「落とすつもりで選考して」いるので、よほどの作品しか残りません。

 よく「小説賞・新人賞」で「大賞なし」「受賞作なし」ということがありますよね。あれは「落とすつもりで選考して」いることの現れです。

 二次選考に残るけど入選できない方は、今よりももっと質の高い、落とされない「傑作」を書きましょう。

 選考さんが「落とすつもりで」読んでいるのに、物語に惹き込まれてつい最終選考や入選に残してしまう。そんな「傑作」が待ち望まれます。





最後に

 今回は「失敗しても落ち込まない」ことについて述べました。

 落ち込んでいる暇があるのなら、応募作を「落とすつもりで」読んでみてください。

 どこかに必ず粗があるはずです。

 一次選考を通過しても入選できないのは、物語の質が低いと思われます。

 こちらもやはり「落とすつもりで」分析しましょう。

 応募作を「落とすつもりで」読んでいる選考さんと同じ眼が持てれば、どこが悪かったのか見抜けます。

 見抜ければ同じ轍を踏まないよう、次作で注意すればよいのです。

 ふて寝している暇も深酒をしている暇もありませんよ。




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