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三百枚書けるようになるお得な「小説の書き方」コラム  作者: カイ.智水
構文篇〜正しい日本語を身につけるには
1427/1500

1427.構文篇:重要かどうかは消せばわかる

 小説を書いていて、どうにもまとまりがないと感じるときがあります。

 だいたいが「不要なキャラクターがいる」か「不要なアイテムがある」場合です。

 では誰が不要で、何が不要なのか。

 書き手目線でも判断できる方法があります。

重要かどうかは消せばわかる


 物語で重要な役割を果たしていないようなキャラクターがいるとします。

 そのキャラクターはこの物語に「必要不可欠」なのか「不要」なのか。

 読み手目線で見れば「必要不可欠」なのか「不要」なのかが一読してわかるのです。

 しかし書き手では見分けにくい。どうすれば判断できるのでしょうか。




怪しいキャラクターを消してみる

「必要不可欠」か「不要」か、一発でわかる方法があります。

 当該のキャラクターそのものを消して読んでみるのです。

 なぜわかるのか。たとえば主人公の冒険者仲間を五人にした場合、どうも五人も要るのかどうか判断がつかない。そこでまずひとり消して、役割を他の仲間に預けてみます。

 そうして「小説賞・新人賞」応募作を頭から読み直すのです。

 するとひとり消しても物語がすんなりと成立する場合も多々あります。もし消しても成立するのなら、その人物は「不要」なのです。そのひとりを消してリライトすれば、より引き締まった物語になります。続けてもうひとり消せないか同じ手順で試してみましょう。

 もし消したら物語が成立しないのであれば、その人物は「必要不可欠」なのです。

 しかし冗長さを醸し出しているのは他のキャラクターかもしれません。他のキャラクターを消してみて同じ手順を踏んでください。

 そうやって「必要不可欠」「不要」に分けていけば、書き手でもどのキャラクターが物語に「必要不可欠」か「不要」か一発でわかります。

 小説とくに「小説賞・新人賞」の応募作は、可能なかぎり「必要不可欠」なキャラクターだけで構成されるべきです。ただ存在しているだけのキャラクターは要りません。

 物語を書いていると、登場人物の少なさに不安を抱くものです。

 だからついついキャラクターが増えてしまいます。しかし増やした結果、ただ存在しているだけのキャラクターや、ひとつの役割しか果たしていないキャラクターが生まれてしまうのです。

 それでは本末転倒。要らないキャラクターを増やさないよう、可能なかぎり少ない人数で物語が構成できるように頭をひねってください。




三種の神器よりひとつのキーアイテム

 物語に「必要不可欠」なアイテムとして「三種の神器」を出す方がいます。

 しかし「小説賞・新人賞」に応募する十万字の作品では、重要なアイテムが三つもあると多いのです。

 十万字で物語を過不足なくまわすには、「たったひとつのキーアイテム」に絞りましょう。

 簡単に言えば、キーアイテムがひとつなら十万字をそのアイテムの話に費やせます。

 しかし三種の神器は、三つの重要なアイテムを手に入れて、適宜使い分ける必要があるのです。これだと十万字に三つですからひとつあたり三万三千字余りしか使えません。そのぶんアイテムの後光が目減りしてしまいます。とんでもなくすごいアイテムなのに、三つもあると魅力が分散されるのです。

 それほどすごくないアイテムひとつのほうが「三種の神器」よりよっぽど魅力的に映ります。

 だから「三種の神器」を推したいのなら、すでにふたつは手に入れている状態からスタートしてください。そして残るひとつを手に入れる旅に出る、くらいのほうが物語がすっきりするのでオススメです。

 物語はたったひとつのアイテムを手に入れるための旅路を描く。

「小説賞・新人賞」を狙いたいなら、そのくらい割り切った作品のほうがウケはよいはずです。

 十万字には収まっていませんが、J.R.R.トールキン氏『指輪物語』は「ひとつの指輪」をめぐる戦いの物語ですよね。キーになるアイテムは「たったひとつ」でよい典型といえます。




ひとつのスキルで世界最強

 小説投稿サイトでは現在「RPGのような異世界ファンタジー」が持て囃されています。

 中でも「主人公最強」「チート」「俺TUEEE」「無双」「SSランク」といったキーワードに人気が集中しているのです。

 だからといって「RPGのような異世界ファンタジー」で「小説賞・新人賞」に挑むのはかなり高いハードルとなります。同じようなキーワードの作品が雲霞(うんか)の如く殺到しているからです。

「ゲームのような」は魔法の物語で、いかにレベル、ランク、スキルで最強を演出するか皆が頭をひねっています。だからこそ前回大賞を射止めた作品よりも「強い主人公」を求めて、あらゆるものが「世界最強」で揃っている「完璧超人」になりやすいのです。

「完璧超人」は読み手を白けさせるだけ。だってこの先どうなるかハラハラ・ドキドキしないのですから。せいぜい「どう敵をやっつけてくれるのかな」とワクワクするくらいですが、そのワクワクも最初の一回だけ。二回目以降は一回目の圧勝を見て「どうせ今回も圧勝するんだろうな」と思ってワクワクしてこないのです。

 であれば主人公を「完璧超人」にしなければよい。なんでもかんでも超一流だから白けてくるのです。倒すか倒されるか結果が想像もつかない。だからハラハラ・ドキドキしてきます。

 どうすれば「完璧超人」にならずに済むのか。

 一芸を極めてください。

 ある主人公は農耕スキルが最強かもしれません。ある主人公は隠密スキルが最強かもしれません。ある主人公は水魔法スキルが最強かもしれません。

 たったひとつのスキルだけ「世界最強」にするのです。そうすると主人公が「無双」するにはそのスキルを活かした戦いに持ち込むしかありませんよね。それ以外の戦いに持ち込まれそうになるとハラハラ・ドキドキしてきます。主人公はいかにして世界最強のスキルを活かした戦いに持ち込めるのか。

 そう考えると、世界最強のスキルとは「戦略」「交渉」「駆け引き」といったものであるとわかりますよね。相手を誘導して、自分の強みで相手と戦うように仕向けるのです。

 自分の強みを活かす「駆け引き」なら中国古典の韓非氏『韓非子』を読むとよいでしょう。性悪説に立った理詰めで相手を追い込んでいく「駆け引き」の妙が手に入りますよ。





最後に

 今回は「重要かどうかは消せばわかる」について述べました。

「小説賞・新人賞」狙いの作品であれば、無駄を絶対に書かないでください。なんの役にも立たないキャラクターが多いと、それだけで選考さんが「無駄」と見て減点してきます。

 アイテムもできればひとつまで絞りましょう。マンガの鳥山明氏『DRAGON BALL』は7つのドラゴンボールを集める旅ですが、十万字の小説で7つも集めている余裕なんてありません。だからブルマ側とレッドリボン軍側で合わせて6つは集め終えていて、「残るはあと1つ」の状態で物語を始めましょう。




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